AMDのZen 5を搭載するRyzen AI 9 365でIPCなどをテストした結果が登場。AMDが発表した16%向上という値に近い結果に
AMDが7月から順次ノートPC向けとデスクトップ向けに投入する新世代CPUアーキテクチャーのZen 5はComputex 2024で発表され、この時の発表プレゼンテーションでは先代のZen 4に対してIPCが平均16%ほど伸びていることが明らかにされています。
ただ、ここで示されている表は例えばGeekbenchであればテスト全体ではなく、テストの一部を抜粋しているなど変わった点もあり本当に16%向上しているのか怪しい所もありましたが、海外でZen 5アーキテクチャーを内蔵するAPU『Ryzen AI 9 365』を入手したDavid Huang氏が様々なCPUベンチマークを行い、同CPUアーキテクチャーのIPCやレイテンシー、スループットなどを明らかにしています。
CPU | SPEC CPU 2017 (vs先代) | SPEC CPU 2017 (相対値) | Geekbench 6 ST (vs先代) | Geekbench 6 ST (相対値) | Geekbench 5 ST (vs先代) | Geekbench 5 ST (相対値) |
---|---|---|---|---|---|---|
Zen 3 | – | 100% | – | 100% | – | 100% |
Zen 4 | 111.46% | 111.46% | 117.37% | 124.71% | 113.13% | 113.13% |
Zen 5 | 109.71% | 122.28% | 115.28% | 140.94% | 117.66% | 133.11% |
総合的なベンチマークを基にした結果では、Zen 5は先代のZen 4に対して14.2%の向上率を示しており、AMDがComputex 2024で示した16%のIPC向上に対しては少々物足りない結果になっています。ただ、今回のベンチマークはGeekbench 6やSPEC CPU 2017など限られたベンチマークで行われている結果を基に計算しているため、AMDが含めている3DMarkやCinebench R23などレンダリング、エンコード、ゲームなどを含めると大体16%に達する可能性もあり、盛られた数値ではないことは明らかと言えそうです。
David Huang氏ではベンチマークに加え、Zen 5アーキテクチャーがZen 4に対してどのように変わったのか詳細についても明らかにしています。
簡単に抜粋するとZen 5アーキテクチャーはゼロから設計された全く新しいアーキテクチャーと言えるぐらい変更点が加えられているとのことです。また、今回のノートPC向けRyzen AI 9 365に内蔵されているZen 5ではSIMDユニットがデスクトップ版から半減されるなど設計が大きく異なっている点もあるため、Zen 5世代においてはデスクトップ向けとノートPC向けでCPUの性能差が過去の世代に比べて大きくなる可能性を指摘しています。
AMDのZen 5の発表ではAIに時間を使われてしまったためか肝心なCPUについては詳細があまり語られぬままL1/L2の帯域幅が2倍になり、IPCは先代Zen 4に比べて平均16%向上したことが明らかにされていました。
ただ、発表されたIPC向上率は盛られているのではないかという疑念はあったのですが、今回のテストを見る限りAMDの公称値は正確と言えそうです。ですので、Zen 5 CPUではZen 4と同じ動作クロックであれば15~16%前後とそこそこ高めの性能向上が期待できそうです。
Zen 5 抢先体验:Ryzen AI 9 365 (Strix Point SoC) 简单测试 | David Huang’s Blog
コメント