AMD Zen 5『Strix Point』はすべてHXモデルに。TDP毎の区分けは廃止へ

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AMD Zen 5『Strix Point』はすべてHXモデルに。TDP毎の区分けは廃止へ

AMDは2024年下半期にデスクトップおよびノートPC向けにZen 5アーキテクチャーを搭載するRyzen CPU/APUの投入を計画しています。同CPU/APUについて型番はデスクトップ向けは現行のRyzen 8000などを踏襲し、Zen 5世代はRyzen 9000シリーズと比較的入りやすいモデル名を継続しています。一方で、ノートPC向けはRyzen 8040シリーズなど登場年とSKU、搭載アーキテクチャーを明確化したCPU型番が2022年から採用されましたが、Zen 5世代のRyzenからはRyzen AI 100シリーズとして投入されることが分かっています。

そんなRyzen AI 100シリーズですが、Intel含めノートPC向けCPUでは一般的だったTDP毎にU/HS/Hなど明確に区分けする事を廃止し、すべてRyzen AI HX100シリーズとして投入する可能性が出てきているようです。

中国Lenovoに勤めているWeiboユーザーの思考未来啊氏によるとAMDのStrix PointからU/HS/Hと言ったTDPを示すことを取りやめるとのことです。この変更によりCPUのSKUが大幅に減少するためノートPCを開発するメーカー側は検証の組み合わせや時間を減らすことが可能となります。一方で、ユーザーにとってはCPUの性能を区分けする事が困難になると明言しています。また、TDPを区分けはなくなるものの、ノートPC向けでは『HX』と言う名前は引き続き使うようですが、これは過去にあったTDP55Wを超えるモデルに付けられるHXとは異なるとも述べています。

AMDでは現行Ryzenでは消費電力に応じて末尾にアルファベットが付与されており、これを見れば例えば同じRyzen 7 7840でもどちらの方が高いTDPで動作し、性能が高いか判別が容易でした。このアルファベットはUがTDP15~28W、H/HSが35~54W、HXが55W以上で区分けされていました。

ただ、この区分けの中でも例えばUなら15~28WなどノートPCの排熱性能やバッテリー持続時間など商品性に応じてTDPを調整できるcTDP(c=configurable)が採用されているため、同じRyzen 7 7840U搭載でも性能がかなり異なると言った事が起きています。

しかし、Ryzen AI HX100シリーズからTDPの区分けが無くなることでTDPが15~54Wの範囲で動作するなど今まで以上に広い範囲でメーカーはTDP設定ができてしまいます。

そのため、極端な例を言うと同じ価格帯で同じ大きさのノートPCが2台あったとしたら、1台は冷却機構をケチってTDPは15Wに設定されている一方で、もう1台の方は優れた冷却機構を備えてTDP 30Wで動作しても同じCPUモデルが表示される事になります。

まただ、AMDからStrix Pointは公式発表前であるため最終的にこのモデル型番で行くのかは確定ではありませんが、仮にTDPによる区分けが無くなるようであればノートPCを購入する際はCPU型番以外にも動作するTDPまで仕様やレビューなどを見に行くと言った手間をかける必要が出てきそうです。

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AMDの新しいCPU型番は複雑でわかりにくい一方で、IntelがMeteor Lakeから投入したCore Ultra 100シリーズのCPU型番もわかりづらくTDP毎の区別の中で異なるTDPが2つ存在し、数字が大きい方がTDPが小さいなどカオスを極めています。ただ、それでも調べればそのCPUのcTDPのレンジが確認できていましたが、このTDPを区別する符号を無くすのは消費者にとっては最悪な判断と言えます。

と言うのも上述の例えで書いた通りRyzen AI 100シリーズは15~54Wと範囲が非常に広く、ノートPCの仕様書を見てもcTDPの設定値まで書いてあるメーカーはほとんどありません。

そのため、このCPU型番が採用された場合、あまり知識がないユーザーは同じ価格帯と大きさの中で低いTDPで動作する製品を掴まされる可能性があります。知識があるユーザーでも製品を比較検討する際にレビュー記事などで設定されているcTDPまで調べに行かないとならないなど非常にめんどくさくなる事が想定されます。

これが最終決定でない事を祈りたいですが、Computex 2024が6月に迫り、各メーカーにもRyzenステッカーの配布や各社で広告宣伝資料などが作られているタイミングですので今からCPU型番が大幅に変わるというのはなかなか考えにくいのが現実です。

ソース

思考未来啊 | Weibo

https://weibo.com/7517897889/OemapsIBf

補足情報

Strix PointはAMDが2024年下半期に投入を予定しているAPUで、CPUにZen 5を最大12コア、内蔵GPUにはRDNA3+を採用し、最大16基のCompute Unitを搭載する事で高いグラフィクス性能を実現したノートPC向けAPUになっています。

発表は2024年6月開催のComputex 2024で行われると予想されています。

製品ジャンルメーカー製品名発売予定時期
APUAMDStrix Point (Ryzen AI 100シリーズ)2024年下半期
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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
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