AMD Zen 5搭載『Strix Halo』のリーク情報出現。ダイの周りをLPDDR5Xで囲いバス幅256-bitを実現。性能はデスクトップ向けGeForce RTX 4060に迫る
AMDでは2024年下半期にZen 5とRDNA3.5を組み合わせたStrix Point APUをノートPC向けに投入予定ですが、このStrix Point APUに対してグラフィックス性能を大幅に引き上げたStrix Haloと呼ばれる製品を2025年初旬開催のCES 2025にて発表を予定していると言われています。
このStrix HaloについてはノートPC向けとしては初めてチップレット構造を採用し、CPUは8コアのCCDを2基積み、最大16コアに、GPU側は最大40コアのCompute Unitを備えるなどノートPC向けとは思えないような仕様を実現していますが、今回このStrix Haloのダイ構成やインターフェイス、そしてCPUとGPUのパフォーマンスに関するリーク情報が登場しました。
ダイ構成は過去のリークの通りチップレット構造を採用するようで、CPU側はTSMC N4Xで製造されるZen 5を8コア搭載したCCDを合計2基搭載する事で16コア32スレッドとなり、動作クロックは最大5.8 GHzで動作するようです。このチップレットはデスクトップ向けZen 5のCCDをそのまま流用するため、現行のRyzen 9 7945HX『Dragon Range』に近いものになっています。
GPUはNPUや各種コントローラーなどを備えるSoCダイに組み込まれる予定で、GPU単体はRDNA3.5アーキテクチャーを採用し、32MBのInfinity Cacheと最大40コアのCompute Unitを搭載するようです。動作クロックは最大3.0 GHzです。
メモリー関係ではAPUを囲うようにLPDDR5X-8533が8枚配置され、合計256-bitのバス幅を実現し、帯域幅は500 GB/s程度になります。これはSnapdragon X EliteやLunar Lakeで予想されているバス幅120 GB/sを大きく超え、通常のディスクリートGPU並みになっています。
APU全体ではほかにもWindows 11 24H2から搭載されるAI機能を使えるように40~45 TOPsのNPUを内蔵し、TDPは45Wから最大150または170Wに設定されるとのことです。また、CCDとSoCダイの間はRadeon RX 7900シリーズで見られた2.5Dパッケージングで結合されるようです。これによりCCDとSoCダイの通信速度と帯域幅を確保するようです。
インターフェイス類は充実しており、NVMe SSD用にPCIe Gen 5とPCIe Gen 4をそれぞれ4レーン、他にLAN関係のためにPCIe Gen 4を4レーンほど確保するほか、USBはUSB4 40Gbpsに対応するほか、USB 3.2 Gen 2 10Gbpsを2レーン備えています。
性能についてはCPU側はStrix Haloの16コア版はCinebench R23が42,000ポイントとCore i9-14900KSさえも上回る性能で、12コア版でさえもRyzen 9 7950X3Dに近い性能になるなど高いのですが、あまりにも高すぎるだめ相当有利な条件で計測された可能性がありそうです。
グラフィックス性能はラスタライズ性能を計測する3DMark TimeSpyが40CUモデルが13000ポイントで、ノートPC向けのGeForce RTX 4070に迫る性能になっています。また、32CUモデルでも10300ポイントとノートPC向けRTX 4060並みになっています。
このノートPC向けRTX 4070はデスクトップ向けGPUで言うとGeForce RTX 4060に近いため、Strix Haloに関してはRTX 4060並みの性能を持っている可能性がありそうです。
AMD系GPUの弱点でもあったレイトレーシング性能についてはRDNA3.5アーキテクチャーを採用することで改善されてはいるものの、NVIDIA製GPUにはまだまだ劣る見込みです。3DMark Port Royalや3DMark SpeedWayでは40CUモデルがノートPC向けRTX 4070を20%下回り、32CUモデルがRTX 4060を15%下回るレベルの性能になるようです。
AMDのStrix HaloではノートPC向けAPUとして初めてチップレットを採用するほか、巨大なGPUを備えるなど野心的な製品になっています。
特にこのAPUについてはゲーミングノートPCなどCPUとGPUを別々に搭載する事による消費電力と放熱機構の複雑さなどが一挙に解決できるため、APU単体はコストが高そうな仕様にはなっていますが、ノートPC全体としてロジックボードを小型化できるため、バッテリー容量の拡大や、筐体デザインの薄型、軽量化が可能になるほか、冷やす部分がAPUだけになるので冷却機構の簡略化などノートPC全体としてはコストが下げられる可能性があります。
ですので、もちろんAPU自体が高価なため一般的なノートPCにはまず搭載されなさそうですが、同等性能を持つRTX 4070を搭載するゲーミングノートPCより薄く、軽くかつ価格も抑えられる可能性がありそうですので、Strix Halo搭載する製品のラインアップに期待がかかります。
[CPU] Some information and speculation about AMD strix halo | Chiphell
補足情報
Strix HaloはAMDが開発中の高性能APUで、CPUにはZen 5を最大16コア、GPUにはRDNA3.5アーキテクチャーで構成されるCompute Unitを最大40コア搭載する事で、ノートPC向けRTX 4070並みの性能を実現すると言われています。
製品ジャンル | メーカー | 製品名 | 発売予定時期 |
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APU | AMD | Strix Halo (Ryzen 9055HX?) | 2025年初旬 |
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