AMDが FSR Redstone を発表。NVIDIA DLSS 3.5相当の機能搭載し2025年下半期投入へ
AMDは2025年5月21日のComputex 2025での基調講演でミドルレンジ向けグラフィックスカードのRadeon RX 9060 XTの発表に合わせて同社のアップスケーリング技術であるFSRの次世代アップデートにあたる『FSR Redstone』を発表しました。

AMDのFSRは2025年3月に発売されたRadeon RX 9070シリーズと共に最新バージョンであるFSR 4が導入され、従来のFSR 3に対して大幅な画質向上が行われ、NVIDIAのDLSS 3と同等以上のパフォーマンスと画質を実現するなどアップスケーリング技術でNVIDIAに対する差を縮めようとしています。
そんなAMDですが、2025年下半期を目途にFSR 4のアップデートを予定しており、それが『FSR Redstone』と言うコードネームの元開発中であることを明らかにしています。



このFSR Redstoneは主にレイトレーシングでの画質とパフォーマンス向上に焦点を当てたバージョンアップになるとのことで、主に新機能である「Neural Radiance Cache (NRC)」と「Ray Regeneration」に加え、現行のFSR4などに導入されている『アップスケーリング』と『フレーム生成』の改良版で構成されます。
FSR Redstoneで導入される新機能の1つであるNRCはシーン内の光の反射や挙動を機械学習モデルが解析し、間接光を効率的に予測し、キャッシュすることで間接光のリアルタイムレンダリングの高品質化、効率化を行うなどレイトレーシングの負荷を軽減する技術になっています。
そして2つ目の新機能が「Ray Regeneration」と呼ばれる技術で、これはNVIDIAのDLSS 3.5で導入された「Ray Reconstruction」と似た技術になっています。レイトレーシングではその機能上、正確な光線の追跡が困難だったり、一部ピクセルが欠けてしまいこれらは最終出力時にノイズや描写不良などに繋がると言う問題があります。これに対して、Ray Regenerationでは機械学習を用いて欠けたピクセルや光線を補完し、ノイズを抑制することでレイトレーシング画質向上を行うと言うものになっています。


FSR 4などに実装されているアップスケーリング技術やフレーム生成などの既存技術もFSR Redstoneでは強化されており、アップスケーリングに関しては機械学習モデルにより画質向上が行われており、FSR 4より低い解像度で出力し、同等画質にアップスケーリングすることが可能になるなどパフォーマンス向上が行われています。またフレーム生成には機械学習を取り入れることで現行FSRよりさらなる画質向上を実現することを目標として開発されているようです。
このFSR RedstoneはFSR 4に対応するRDNA4アーキテクチャーを搭載するRadeon RX 9000シリーズで利用することが可能であることを明らかにしており、FSR Redstoneが導入されればNVIDIAのDLSSに対する差をさらに縮めることが可能になると考えられています。また、このFSR 4などはノートPC向けに搭載されているRDNA 3.5でも動作できるように開発されていると言うリークも出ているため、将来的にFSR 4に加えFSR RedstoneもStrix PointやStrix HaloなどのAPUで利用できるようになる可能性があり、仮にそうなればノートPCやハンドヘルド型デバイスでのゲーミング性能はさらに向上すると言えます。
AMD’s FSR Redstone uses machine learning to achieve parity with Nvidia DLSS | Tom’s Hardware
コメント
コメント一覧 (3件)
FSRの唯一の強みだった汎用性を捨てて最新世代のGPUのみに絞ったのに相変わらずDLSSの周回遅れなの泣ける
技術開発を進めNVIDIAに一泡吹かして欲しい
そうすれば価格競争や技術競争がまともになる
これはUDNAまでの布石のひとつだと思ってる
正直APUで使えるようになるかは半信半疑だけど、もし実現したら選択肢が一気に広がるし、めちゃくちゃ面白いよね
Blackwellでサボってる間にじわじわと追い上げて来てるのは、まさにウサギとカメ状態