AIブームが原因でAMDの次世代Ryzen APU『Strix Point』のGPU性能が低下し、投入時期も遅延
ここ最近、話題が尽きないAIについては2024年下半期にはWindows 11に搭載されているAIアシスタントのCopilotがローカルでの動作に対応する予定と言われていますが、この機能に対応するにはAI処理を行うNPU性能が最低でも45TOPs必要と言われており、2024年4月時点で発売されているCPUは対応できていません。
そのため、AMDやIntelが2024年後半以降に投入するCPUではNPU性能が大きく高められると見られていますが、このAI対応に伴うNPUの高性能化でAMDが2024年末に投入予定のRyzen 8050シリーズ、通称Strix Pointについて多くのユーザーが求めているCPUやGPU性能が当初計画より引き下げられた事がリークされました。
Anandtechの掲示板に書かれたリーク情報によると、AMDのStrix Pointは当初の計画ではCPUとGPUで共有する16MBのキャッシュ容量を備えていたとのことです。この共有キャッシュによりZen 5 CPUとRDNA 3.5 GPUの性能は飛躍的に高まると見られていました。
しかし、AIブームとそれに伴い導入されるWindows 11のCopilot機能では最低40TOPsと言う非常に高い性能のNPUを求められるようになりました。この要件の追加に伴い、AMDではCPUやGPUの性能向上につながる共有キャッシュを犠牲に、Phoenixに搭載されているXDNAに対して3倍以上高性能なNPUを搭載する事に変更したようです。
実際に、AMDのStrix Pointについては最初のリークではNPUは20TOPs程度の性能になると言われていましたが、AMDが2023年末に行った発表ではStrix Pointに内蔵されるXDNA2はHawk Point内蔵のXDNAに対して3倍程度の性能、つまり48TOPs程度になると明らかにしています。
また、投入時期についても当初は2024年第二四半期から第三四半期にリリース予定と言われていましたが、最新のリークでは2024年末と遅くなっており、このXDNA2搭載などAIへの全面対応がStrix Pointの投入時期遅延に繋がっている可能性も高そうです。
ここ最近、AIをマーケティングとして使う場面が増えてきている印象があり、AIを使わなくてもいいものまでAI対応を謳いだしたりしています。特にその印象が強いのがWindows 11に内蔵されているCopilotで、例えばメールの文面を考えてくれるなどCoPilot Proの機能ならまだ使えますが、標準で内蔵されている無料版Copilotは何の役に立つのか分かりません。
さらにこれをわざわざNPUを使いローカルで実行する必要性も一般ユーザーであれば不要な機能と言え、そのために多くのソフトウェアで恩恵を受けられるCPUやGPU性能が削られるのは本末転倒と言えます。
AMDとしてもIntelがAIを前面に推す中で、Windows 11に追加されるAI機能がすべて使えないと言われてしまうとマーケティング的に悪く、売り上げに悪影響が出ると判断してCPUやGPU性能を多少犠牲にしてNPU性能を向上させたと言えそうで、AMDの判断が間違っているとも言えません。
個人的にはAI性能なんかより内蔵GPU性能を上げてくれた方が数倍購買意欲が上がるのですが、しばらくこのAIブームが続く限りCPUやGPU性能を多少犠牲にしても、NPU性能向上に焦点を当てた製品が増えるかもしれませんね・・・
Zen 5 Speculation (EPYC Turin and Strix Point/Granite Ridge – Ryzen 9000) | AnAndTech Fourm
コメント
コメント一覧 (3件)
先に8945+4070、8845+4060のノート(最大70TOPSぐらい?)買って早まったかなと思ったけど、遅れそうなら失敗でもなかったかな
どちらにしてももうノートと呼べる消費電力じゃなくなってるんですね
ノートは5-7年に一回しか買わない、最後に買ったのがMBA
NPU専用のスロットをチップセットに搭載して別扱いにするか、
業務用製品のみに絞ってクラウド上でAI利用すれば良いだけなのでは…?
黎明期特有の業界規模の迷走ですね。
Windows12でNPU性能が統一されればxboxなどのCS機のようにゲームが作りやすくなると言うメリットもあります
フレームレートや解像度と違いAI部分はゲーム性に影響が出るのでこれはいい判断だと思います