VRAMは8GBあれば十分は嘘?最新ゲームでは1080pでも8GBを超える場合アリ。

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最近のゲームではグラフィックスが向上していることからVRAM使用量も大きく増えていると言われています。一方で、2023年5月に発売されたNVIDIA GeForce RTX 4060 TiやAMD Radeon RX 7600ではVRAM容量が8GBに設定された上に、NVIDIAでは8GBでも実際には使われていないケースがほとんどだから足りるという考え方も明らかにしていますが、ユーザーからは不満が寄せられています。

今回はそんなVRAM使用量について海外のTechSpotが実際に使われているVRAM使用量を調査した結果が明らかにされています。

目次

VRAM使用量は8GBあれば十分?最新ゲームでは収まらない場合がほとんど。

Why Are Modern PC Games Using So Much VRAM? | TechSpot

グラフィックスカードのVRAM使用量を調査する方法としてはHWiNFOなどハードウェアモニタリングソフトでも確認ができますが、これらのソフトで報告される値はVRAMがアロケート、つまり基本的にはゲームが要求したVRAM容量が使用量として表示されているため、NVIDIAが言うように『実際にゲームが使っているVRAM使用量は少ない』と言う現象は起きていると言えます。一方でTechSpotではMicrosoft PIXと呼ばれるDirectX用のデバッグツールを用いて計測が行われています。

このPIXではVRAM使用についてローカルバジェット、ローカル使用量、ローカルレジデンスの3つが表示されます。この中でもっとも重要となるのがローカル使用量でこれがVRAM容量を基に定められるローカルバジェットを上回り始めるとフレームレートの低下やテクスチャーのロード不良などの不具合に繋がってしまいます。

このメモリー使用量テストでは、GPUにはGeForce RTX 4070 Ti (12GB)が使用されています。

スクロールできます
ゲーム平均のVRAM使用量 (GB)ピークVRAM使用量 (GB)
Far Cry 6☆5.76.2
Dying Light 25.96.2
Assassin’s Creed Valhalla☆7.47.5
Marvel’s Spider-Man Remastered☆8.08.2
Far Cry 6 (HD textures enabled)☆8.08.4
Doom Eternal7.58.2
Cyberpunk 2077☆7.78.9
Resident Evil 48.99.1
Hogwarts Legacy☆9.710.1
The Last of Us Part 111.812.4
☆:オープンワールドゲーム

最初のテストでは解像度が4K、画質設定は最高とし、レイトレーシングはオフの状態で計測が行われています。

ゲームはオープンワールド系とそうでないゲームが混在していますが、近年のゲームの多くはプレイエリアに関係なくストリーミングが多用される傾向にあり、VRAM使用量はジャンルに関わらずバラツキがあります。ただ、一般的にグラフィックス品質が高く、最新ゲームであればあるほどVRAM使用量は多くなる傾向にあり、Cyberpunk 2077では平均7.7 GB、最大8.9 GBのVRAM使用量が記録されています。一方で、Hogwarts Legacyでは平均で9.7 GB、最大10.1 GB、The Last of Us Part 1では平均11.8 GB、最大12.4 GBと非常に多くのVRAM使用量が記録される事が明らかに鳴っています。

レイトレーシング使用でVRAM使用量は爆増。

Game (RT enabled)Average VRAM use (GB)Peak VRAM use (GB)
Dying Light 27.48.2
Doom Eternal8.39.5
Marvel’s Spider-Man Remastered9.29.6
Resident Evil 49.09.7
Far Cry 6 (HD textures)9.910.7
Cyberpunk 2077 (Overdrive)12.013.6
Hogwarts Legacy12.113.9

レイトレーシングでは光線の反射などを基に描写を行うため、非常に多くのVRAM使用量を必要とする処理の一つとなっていますが、解像度が4K、画質設定は最高、レイトレーシングオンで計測を行うと上記のようになります。

全体的にVRAM使用量は10~20%程度上昇しており、ピーク時はどのゲームでも8GBを超え、Cyberpunk 2077のRT Overdriveでは最大13.6 GB、Hogwarts Legacyでは最大13.9 GBと使用量が大きく増えている事が確認できます。

1080pでも最近のゲームは8GBを超える例多数。テクスチャー設定を最低にするなど画質を犠牲にする必要性あり。

上記までの例では4K解像度、最高設定と言う16GBのVRAMを搭載するようなハイエンドグラフィックスカードでの描写を想定したような設定になっていますが、RTX 4060 Tiなどが想定している1080p解像度や設定を引き下げた状態、DLSS適用状態においてもVRAM使用量は比較的多いケースが多いようです。

ゲーム設定Average VRAM (GB)Peak VRAM (GB)
The Last of Us1080p9.19.4
The Last of Us1080p + 最低テクスチャー6.46.6
The Last of Us4K + 最低画質設定6.46.6
The Last of Us4K + 中画質設定7.37.7
The Last of Us4K 最高画質設定 + DLSS Performance10.0
Cyberpunk 20774K + Low preset6.3
Cyberpunk 20774K + DLSS Performance7.7
Cyberpunk 2077FSR 2.1 Balanced8.2
Cyberpunk 2077FSR Ultra Performance8.1
Cyberpunk 20771080p + DLSS Performance + RT Overdrive7.07.5
Cyberpunk 20771440p + DLSS Performance + RT Overdrive7.58.0
Hogwarts Legacy1080p + DLSS Performance + RT8.510.0
Resident Evil 4FSR + 4K + 最低画質設定Under 8.0

最もVRAM使用量が多いThe Last of Usにおいては1080pの最高画質設定ではVRAM使用量は平均9.1 GB、最大9.4 GBと1080pで想定される8GBを超えるVRAM使用量になっています。ただ、テクスチャー画質を引き下げれば最大6.6 GBと8GBに収まりますが、1080pでもテクスチャーの粗さが気になるレベルになってしまうようです。

また、他の解像度でもテクスチャーがVRAM使用量に大きく影響しているため、テクスチャー画質を下げればVRAM使用量を抑える事は可能になるようでが、特にテクスチャー画質などグラフィックス全体の品質に影響する変更を加えない限りVRAM使用量を8GBに抑える事は困難なケースが多いと言えそうです。なお、4K状態でDLSS Performanceを設定した場合、内部で描写される解像度は1080pとなるため、このケースではレイトレーシングをオンにすると多くの場合、8GBを超えるVRAM使用量が一部ゲームでは確認できます。

コンソールゲーム機のVRAM増加で8GBでは足りなくなり始めている?

最近登場しているゲームではPCに加え、PlayStation5(PS5)やXbox Series X(XSX)など現行世代のコンソールゲーム機にも対応したマルチプラットフォームで登場していますが、これがVRAM使用量増加の原因の一つになっていると考えられています。過去に登場していたPS4などではVRAMとして使えるメモリー容量が6GB程度と比較的少ない状態でしたが、PS5やXSXではこれが16GBにまで増え始めていますが、数年前のタイトルまではPS4までサポートするケースも多くPS4などでプレイが出来るようにVRAM使用量を減らすための最適化にある程度の工数を開発者側はかけていたと見られています。

しかし、最近登場しているゲームではPS5、XSXのみサポートとすることでVRAM使用量をあまり意識する必要が無くなり始めた事から一気に増えてきていると見られています。特にPS5やXSXではVRAMとメインメモリーが分けられておらず、16GBの統合メモリーがあるだけとなっているため、ゲーム開発者は場合によってVRAM使用量を10GBなど使う事も可能になっているため、これらがそのままPCへ移植された際にはVRAMを非常に多く使ってしまうという状況になってしまうようです。

今後、PS5やXSXのみに対応するマルチプラットフォームのゲームは増える事は確実と言え、ゲーム開発者側もPCのために多くの時間をかけてVRAM使用量の適正化を施すケースは少ないと考えられるため、今後1080pでも8GBのVRAM使用量を超えるゲームと言うのは確実に増えて来る見込みで、RTX 4060 Tiなど8GBのVRAMしか搭載しないグラフィックスカードの場合、例えGPU性能は高くても1~2年程度先に登場するゲームをコンソールゲーム機を超える様な画質でプレイする事は厳しくなる可能性が高いと言えそうです。


12GBのVRAMを搭載するRX 6700 XTはオススメモデルとなっています。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。
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コメント

コメント一覧 (4件)

  • 「ゲーム機以下の環境でくやしいかね?コレに懲りたらハイエンドグラボを買え!」
    って事だな

  • PS5を引き合いに出すと途端に信憑性が薄くなりますね。VRAM 16GBは普通のメモリと兼用で、メモリ自体が16GB必須となってきているのに。

  • ゲーム専用機なのでWindowsで使わな機能が省けてゲームに使えるメモリが少し増えそう。あとユニファイドメモリだとstaging bufferが不要になってそれだけでもメモリ節約になるから、VRAM+メインメモリ容量と単純に比較できるものではないかな。ただXbox Series Xは10GBのみ帯域が広いから、実質的なVRAMは10GBといえそう。

  • 2160P(4K)で14GBであれば1080Pで帯域幅半分で7GBで良いような気がするけどねぇ。メモリは必要量と使用量と割当量違う。メモリ32GB積んでるんで、マイクラは16GB割当ててるが、メモリ使用量は13GBとか出てくる。けど、4~8GB割当てたら十分っぽい。それと似たようなもんだと思う。

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