自作でパソコンを作る際にある程度高性能なCPUを買うと付いてくる悩みがあります。それが、CPUクーラーを空冷にするか、水冷にするかです。
今回、そんな疑問に応えてくれた、海外のテック系チャンネル『Linus Tech Tips』の動画について紹介します。
PCを水冷にすべきじゃない理由
パソコンを組み立てる際に、Ryzen 5やCore i5以上のCPUを搭載でオーバークロックを少し考えている方だと冷却性能はかなり気になる要素だと思います。
特にその中で気になるのが
『空冷』か『水冷』のどっちを選ぶべきか。
今回、そんな2つ、どちらが良いのか『冷却性能』『静粛性』『メンテナンス性』などを元に調べてくれた海外のテック系チャンネル『Linus Tech Tips』*の動画を紹介します。
*英語ですが、要所を捉えた実験や説明をしてくれるので非常に分かりやすいチャンネルなのでオススメです。
Why you shouldn’t water cool your PC – YouTube
Core i7 9700K@5GHzのお手並み拝見
通常、冷却力が不足した状態でオーバークロックをしてもサーマルスロットリングと言われる保護機能が働き、CPUが焼けてしまう前にクロック周波数を落として温度を下げる機能が搭載されています。
そんな保護は無視し、早速動画内では『空冷』でCore i7 9700K@5GHzで動かします。
消費電力にして大体200Wは超える計算になります。
しかし、12inchファン搭載のNoctua NH-U12S(実売8780円)であってもサーマルスロットリングなしで5GHzを定常で動かせました。
ただし、43dbと小雨時の音と同じぐらいで『確実に騒音として聞こえる』レベルの音かつ温度はフルロードで81度近くを張り付く状態でしたのでもっと良くなりそうな水冷も含めて比較します。
空冷(ファン1or2基)vs 水冷(12/24/36cmラジエーター)で比較
比較対象は全部で5つあります。
空冷は、空冷で最強と名高いNoctua製2つ
- 1基のファン搭載のNH-U12S(約9000円)
- 2基のファン搭載で6本のヒートパイプ搭載のNH-U12A(約1.3万円)
水冷は、Corsairラジエーターサイズ違いを計3つ
360mmラジエーター搭載 H150i PRO
240mmラジエーター搭載 H100i PRO (動画内では旧型のV2)
120mmラジエーター搭載 H60
結果は騒音、冷却共に空冷の勝利!?
タイトル通り、結果は空冷のNH-U12Aが最も性能が高いという結果になります。
しかも、騒音面では水冷はNH-U12Sより静かなものの、温度では水冷12mmラジエーター搭載のH60が86度が5度差をつけてダントツのビリ。水冷36mmラジエーター搭載のH150も空冷で1基ファン搭載のNH-U12Sと同じと言う結果に。
唯一、水冷24mmラジエーター搭載のH110iは温度面ではトップのNH-U12Aと健闘しているものの、騒音面では5dbと圧倒されています。
転勤族には水冷パソコン?
動画では、パソコンを頻繁に移動させる人などは水冷がオススメとの事です。それは、水冷の場合、軽量なポンプ部分のみがマザーボードに固定されており、重量があるラジエーターは強固なPCケースに固定されているため振動に強いとされているからです。
空冷の場合、マザーボードのみで巨大なヒートパイプとファンを固定するため、移動など振動が多い環境で利用すれば最悪マザーボードが反り返ったり、最悪の場合マザーボードが破損する可能性が指摘されています。
ですので、年に2回以上引っ越すなど転勤族な方はもしかしたら空冷より水冷パソコンの方が良いかもしれません。それか、e-Sports選手として自分のゲーム用PCを会場まで持ち運ぶ方など。
総合的に見ると空冷はオススメ
信頼性と言う観点で見ても、空冷の方が良さそうです。
水冷では、温められた水を回すためのポンプが内蔵されており、それをラジエーターに搭載されているファンで冷やすという仕組みで稼働部品がファンとポンプの2つあります。
一方で、空冷はファンだけで1つです。(2つ搭載の場合もありますが・・・)
これだけ見れば明白ですが、壊れやすいのは圧倒的に水冷になってしまいます。なぜなら稼働部品が空冷の2倍=故障頻度も単純に2倍になるからです。また、機構としても単純な空冷ファンより複雑なため、実際に簡易水冷は5年程度が寿命と言われています。
また、動画内でも指摘されていますが、水冷ポンプの故障の場合、水の動きやポンプの動きが見えないためサーマルスロットリングなどが起きてから故障発覚など遅れる可能性が高まります。空冷であれば、ファンが回っていないと見れば一瞬で分かります。
性能を見る限り、NoctuaのNH-D14は値段が張るものの、水冷のように壊れる心配がないのでかなりオススメです。
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ただ、『水冷』と言う響き、そしてロマンを感じるのは確かです。そのような方には表面積では360mmラジエーターと大きく変わらない280mmラジエーター搭載のH115iがオススメかもしれません。
コメント
コメント一覧 (2件)
これは一概には言えません。
動画のようにクーラーからの排熱をダイレクトにケース外に排出できるような理想的なエアフロー状態なら、ヒートシンクのサイズが同じ場合、冷却能力は空冷が勝るでしょう。
水冷の場合は、いくら熱容量、伝導率の高い液体を使用してCPUから熱を移動していても、銅ブロック→クーラント→ラジエター→外気と、熱的抵抗が多く発生する上に最終的には空冷と同じように空気で冷却、しかも空冷クーラーよりも薄いコアで熱交換を行いますから、その結果は当然かと。
しかし、クーラーからのエアフローが適切にレイアウトできない状況では、ケース外側向けてラジエターを配置できる水冷の方が適している可能性があります。
エアフローの考慮されていないケースでは、クーラーからの排熱がそのまま再導入される可能性がありますから。
エアフローの重要性は、偶然なんですけど現在の構成で再確認しました。
フロント150ミリ+120ミリ、トップ280ミリ簡易水冷という構成で、吸気過多の状態で開口部からの自然排気をグラボとHDD脇のみに絞ったレイアウトにしているのですが、GeForce3050 稼働率60% 室温26℃の状態で39℃安定、まったくグラボのファンが回らない状態です。
煙を流すと、HDD脇とグラボ脇からかなりの排気があるので、ケースファンのエアフローのみでグラボ冷えちゃってますね。
冷えと信頼性とPGAのCPUに対するすっぽ抜けの耐性(IFE2やSST-AMD)だけを見ると空冷ですがその分ケースやメモリに対して要求が厳しいのも空冷ですね。