Intel Arrow Lakeのキャッシュ構成とNPU性能が判明。NPUはMeteor Lakeと同じでCopilot+には対応できず
Intelでは2024年秋から年末にかけて次世代CPUのArrow Lake (Core Ultra 200シリーズ)をデスクトップ向けと高性能ノートPC向けに投入しますが、今回このArrow Lakeのキャッシュ容量含めた各構成とNPUの性能などの詳細情報が登場しました。
キャッシュ階層 | Lunar Lake (P-Core) | Lunar Lake (E-Core) | Arrow Lake (P-Core) | Arrow Lake (E-Core) |
---|---|---|---|---|
L0 Data | 48 KB 12-Way | なし | 48 KB 12-Way | なし |
L1 Data | 192 KB 12-Way | 32 KB 8-Way | 192 KB 12-Way | 32 KB 8-Way |
L1 Instruction | 64 KB 16-Way | 64 KB 16-Way | 64 KB 16-Way | 64 KB 16-Way |
L2 | 2.5 MB 10-Way | 4 MB 16-Way (4コア毎) | 3 MB 12-Way | 4 MB 16-Way (4コア毎) |
L3 | 3 MB | None | 3 MB | 3 MB (4コア毎) |
Intel Arrow Lakeに搭載されるP-CoreとE-CoreはLunar Lakeと共通のアーキテクチャーになっていますが、Lunar Lakeでは低消費電力かつダイサイズ縮小に力が入れられている一方で、Arrow Lakeは性能重視のため細部では異なっています。
Arrow Lakeに搭載されるP-Core (Lion Cove)ではCPUの根幹部分のL0/L1系はLunar Lakeと同じで、先代のRaptor Coveと比べるとL1 Dataは4倍、L1 Instructionは2倍に拡大しています。また、L2キャッシュは2 MBから1.5倍の3MBに拡大しています。
E-Core (Skymont)ではキャッシュ容量はRaptor Lake系に搭載されていたGracemont系から変更はありませんが、アーキテクチャーが刷新されているため、性能は大きく向上していると言われています。
この変更により、最上位のCore Ultra 9など8P+16E構成のCPUでは36MBのL3キャッシュと40MBのL2キャッシュを搭載し、CPU合計では76MBのキャッシュサイズを持つようになります。これは8P+16E構成のRaptor Lake-Sの68MBに対して12%多いキャッシュサイズになります。
Core Ultra 5などメインストリーム向けに6P+8Eを搭載するCPUではL2キャッシュが26MB、L3キャッシュが24MBとなり、合計50MBのキャッシュサイズを搭載します。これもRaptor Lakeの6P+8E構成よりもサイズが13.5%ほど大容量化されています。
TOPs | Raptor Lake-S | Arrow Lake-S |
---|---|---|
CPU TOPS | 8 | 15 |
NPU TOPS | 0 | 13 |
GPU TOPS | 3 | 9 |
Total TOPS | 11 | 37 |
他にもArrow Lake-SのAI処理性能についても情報が明らかになっています。Arrow Lake-Sでは現在、ノートPC向けにのみ展開されているMeteor Lakeと同じSoCタイルが用いられる予定で、NPU性能は13 TOPsになります。Meteor Lakeに搭載されているNPUは最大1.4 GHzで動作して11 TOPsと言われているため、Arrow Lake-Sに搭載されるNPUは1.7 GHzほどにクロックアップされることで、20%近い性能向上を実現していると見られています。ただ、この13 TOPsというNPU性能はMicrosoftがリリースしたCopilot+に必要な40TOPs以上という要件を満足しないため、この機能は使えません。IntelではこのArrow Lake-SにLunar Lakeで使われている高性能NPUを搭載したArrow Lake Refreshを2025年下半期投入で計画していますので、デスクトップ向けでCopilot+が使えるPCはAMD含めてしばらく登場しないことになります。
ただ、CPU全体で見たNPU性能で見るとArrow Lake-SはRaptor Lake-Sの3倍以上の性能を持っており、特にGPUは12.2世代のGPUからArc Alchemistベースに変更されているため性能が3倍に向上しています。
Arrow Lakeのキャッシュ容量は最大76MBとなっているため、Ryzen 9 9950Xに対してはわずかに少ない容量になっています。ただ、Ryzen 9000はL3キャッシュが多めの一方で、Arrow LakeではL2キャッシュが多く積まれているため、ワークロードによってはArrow Lakeの方が有利に立てる場面もありそうです。
Arrow LakeのNPUについてはベースはMeteor Lakeに使われているSoCタイルを流用するようですのでCopilot+に対応できるほどの性能は無いようです。ですので、結局デスクトップ向けでCopilot+が使えるようになるのは速くても2025年と言え、Ryzen AI 300シリーズのデスクトップ向けが登場するタイミングか、Arrow Lake Refreshが投入されるタイミングのどちらかと言えます。
補足情報
製品ジャンル | メーカー | 製品名 | 発売予定時期 |
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