QualcommがSnapdragon 8 Gen 5のコスト削減のため、サムスンとTSMCの両ファウンドリーでの製造を計画中
Qualcommのスマートフォン向けチップセットの最上位モデルにあたるSnapdragon 8シリーズではここ最近はTSMCファウンドリーを使って製造が行われていますが、製造プロセスが微細化される度にチップセットの大幅なコスト高騰に悩まされている状況です。実際に、Snapdragon 8 Gen 3の供給価格は$170~180前後と言われていますが、Gen 4になると$200程度に高騰するなどこれ以上価格が高騰すれば徐々にメーカー各社がSnapdragon 8シリーズの採用を取りやめる可能性さえあります。そのため、Qualcommではコスト削減を追求するために2025年に投入が予定されている次世代チップセット、Snapdragon 8 Gen 5ではTSMCに加え、サムスンファウンドリーの2つを採用したデュアルソーシング戦略を取る可能性があるようです。
Computex 2024が開催されている台湾で行われたメディア向けブリーフィングで、QualcommのCEOであるCristiano Amon氏が将来的に投入されるチップセットがTSMCに加えサムスンとも協力する可能性について聞かれ、Amon氏は両社のファウンドリーを活用したデュアルソーシングパートナーシップと言う方法を取る可能性について検討していると回答したようです。
QualcommがSnapdragon 8をデュアルソーシング化するという話は何度か登場しており、過去にはSnapdragon 8 Gen 3でもそのような話があり、直近ではSnapdragon 8 Gen 4をTSMC 3nmとサムスンの3nm GAAプロセスで製造することを計画していました。しかし、サムスン側の歩留まりがQualcommの要求に満たなかったためすべてTSMCで製造されている事になったと言われています。
なお、QualcommではTSMCとサムスンに対して2nmのサンプル品の提供を求めたと言われており、デュアルソーシング化の可能性を真剣に検討している事は明らかであると言えます。しかし、デュアルソーシング化の最大の課題は製造ファウンドリーの違いによる性能や電力効率の差をどれだけ小さくするかであり、この性能差が大きい場合は消費者やスマートフォンメーカーがSnapdragon 8 Gen 5を敬遠する可能性さえあります。
そのため、仮に性能差があるようならQualcommはSnapdragon 8 Gen 5で性能が高いファウンドリーを採用したモデルを例えばSnapdragon 8+ Gen 5などより高価格帯チップセットとして投入し、性能が低いファウンドリー側はSnapdragon 8 Gen 5など差別化を図ることで全体的にコストダウンを図ると見られています。
QualcommのSnapdragon 8については製造プロセスが微細化する度にコストが高騰しているため、次世代モデルでも同様に価格転嫁ができるとは言えず、コスト低減を図る必要性が高くなっています。そのため、今回もデュアルソーシング化の道を模索しているのですが、Snapdragon 8 Gen 5ではTSMCはほぼ確定と言えますが、サムスンが歩留まりの面でQualcommの要求を満たすことができるのか注目とも言えます。
Qualcomm CEO Discusses Collaboration with Samsung on Diversifying Smartphone Chip Foundry | BusinessKorea
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補足情報
製品ジャンル | メーカー | 製品名 | 発売予定時期 |
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スマートフォン向けSoC | Qualcomm | Snapdragon 8 Gen 5 | 2025年秋以降 |
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