AMDがArmアーキテクチャで作られるAPU『Sound Wave』を2026年投入に向けて開発中
AMDはx86アーキテクチャで作られるCPUをここ数十年は主力として開発していますが、過去にジム・ケラーが在籍している際にはZenアーキテクチャの開発と同時並行でK12と呼ばれるArmプロセッサの開発も進めていました。
しかし、当時のAMDには2つのCPUアーキテクチャを作る余裕はなく、Armの使用用途も限られることからZenアーキテクチャーに専念し、ArmプロセッサのK12は2018年に開発が中止になったと言われています。
この件についてAMDを退職したジム・ケラー氏は「愚かなな判断」と語っていますが、AMDはここ最近Windows on ArmなどArmが活躍する場が増えていることからArmアーキテクチャを採用する製品の開発をスタートさせたという情報がMoore’s Law is Deadよりリークされています。
このArmアーキテクチャを採用する製品は『Sound Wave』と言うコードネームが与えられているとのことです。
このSound Waveと言う名称は過去にAMDでStrixなど主力製品の開発に携わる人物のLinkedInプロフィールに登場し、当初はZen 6では無いかと言われていましたが、これはどうやらこれはArmアーキテクチャで作られるプロセッサのことだったようです。
Sound WaveはAPUであるため内蔵GPUとNPUも搭載する計画で、この中でもNPUはかなり高性能なものが搭載される計画になっています。この高い性能を武器にArm版SurfaceのプロセッサをQualcommからAMD製に乗り換えてもらうことも目論んでいるとのことです。
Sound Waveは2026年に市場投入することを目標に開発が進められているようです。また、AMDの幹部はStrix PointとStrix Haloの投入が約1年遅れた反省から、このSound Waveについて管理を厳しくしており、各部長クラスもこのプロジェクトに対して細心の注意を払っているなどAMD社内ではかなり大きなプロジェクトとして進んでいるようです。
Arm系アーキテクチャはスマートフォンでは一般的でしたがWindowsでは制約も多かったことからなかなか普及することはありませんでした。しかし、MicrosoftがWindows 11でArmプロセッサ向けにx86/x64アプリをエミュレーションさせることに対応したことで状況は変わりつつあり、Qualcommがまもなく投入するSnapdragon Xシリーズの出来栄え次第ではノートPCなど消費電力にシビアな用途ではArm系に置き換えられていく可能性があります。
そのためAMDは絶好調なx86系CPUに固執せず、Armプロセッサの開発を進めることで市場環境が大きく変わった場合でもシェアを落とさないようにすると同時に、対応製品をすぐに投入できるように準備しているようです。
AMDは過去にArmプロセッサのK12を開発していましたが、当時はArmとWindowsの相性は最悪で、MicrosoftもArm版Surfaceを度々導入してきましたが、普及することはありませんでした。
しかし、Microsoftもx86やx64アプリをArmで動作するエミュレーション機能を正式投入し、まもなく高いパフォーマンスが期待されているSnapdragon Xシリーズが投入されるなどArmへの期待は高まっているため、AMDもリスクヘッジを兼ねてArmベースのAPUの開発を進めていると考えられそうです。このArm搭載APUの登場はまだまだ先ですが、組み合わせとして非常に面白いため、注目の製品となりそうです。
AMD Sound Wave ARM APU Leak: Built to KILL Apple M4 & Qualcomm Snapdragon X Elite! | Moore’s Law is Dead
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