Beelink SER6 MAXの実機詳細レビュー:性能から使い心地まで詳しく解説

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Beelink SER6 MAXの基本的な仕様について

Beelink SER6 MAXは小型PCなどを主に販売するBeelinkのミドルレンジ向け小型PCとなっており、CPUにはノートPC向けに供給されているRyzen 7 7735HSが搭載されています。

価格は32GB+500GB+Windows 11 Pro構成が86800円、32GB+1TB SSD+Windows 11 Proを搭載する構成が92,800円から販売されています。(Amazonでは8000円オフのクーポンなど配布しているケース多数)

Beelink gaming mini pc,Beelink mini pc SER6 MAX 7735HS (bee-link.com)

スクロールできます
CPUAMD Ryzen 7 7735HS (Rembrandt-HS 8c/12t)
グラフィックスAMD Radeon 680M
メモリー32GB (16GBx2) DDR5 SO-DIMM 4800 MHz
ストレージ1TB M.2 PCIe Gen 4 NVMe SSD (Crucial P3)
OSWindows 11 Pro
インターフェースフロント側
– USB3.2 Type-C
– USB3.2 10Gbps Type-A
– 3.5mm ステレオジャック
リア側
– 2.5Gbps イーサーネットポート
– USB 2.0 Type-A x 2
– DisplayPort 1.4
– HDMI 2.1
– USB4 40Gbps Type-C x 2
拡張スロット– M.2 x 2 (ストレージ用 x 2)
ワイアレス機能Wi-Fi 6E、Bluetooth 6.1
サイズ幅126mm x 奥行き113mm x 高さ49mm
電源19V ACアダプター
価格78,800~92,800円

今回のレビューはBeelinkからSER6 MAXの提供を受けています。
(だからと言って忖度はしないので安心してご覧ください。)

パッケージ内容と同梱物

箱はシンプルなパッケージになっており、技適マークが箱の側面に記載されています。

また、箱を開けるとリボンでSER6 MAXの本体を持ち上げ、その下に付属品がまとめられた形になっています。(うっかりリボンだけ抜けたりすると箱をひっくり返さないと本体を取り出せません。)

同梱されているものは、ACアダプターの他に、長さ50cmのHDMIと100cmのHDMI、モニターの裏面にBeelinkを設置するためのマウントと簡単な説明書が同梱されています。長さが異なるHDMIが2本入っているのはかなり珍しいですが恐らくモニターの裏に配置する場合に備えて50cmのHDMIを入れているものと考えられます。

Beelink SER6 MAXのデザインと品質、拡張性について

ここではBeelink SER6 MAXのデザインや品質そしてミニPCではあるものの気になる拡張性について解説します。

デザインと品質:本体は前面アルミ筐体。ダイアモンドカットされたエッジも良い

外観はミニPCでありがちな正方形デザインとなっています。素材は本体のすべてがアルミニウム合金製で作られたになっています。素材は本体側面を囲う素材はアルミニウム合金製で表面はサンドブラスト加工がされており、持った時の感触はかなりずっしりしていて、触れた時の質感も非常に高いです。

本体のインターフェイス用の穴とインターフェイス類の間にある隙間の間隔は一定に保たれており、品質感が高いです。本体前面にはBIOSリセット用の穴と3.5mmジャック、USB-C、USB-Aと電源ボタンが配置されています。

本体裏面にはLANを1つとUSB-Aが2つ、DisplayPort、HDMIがそれぞれ1つと、USB4に対応するUSB-Cが2つの他に、磁石でくっつく独自規格の電源口が備わっています。

こちらも質感は高いのですが、本体裏側のインターフェース類は機能毎にまとめられておらず、散らかった印象があるのが少々残念な所です。

上面はパンチホールが無数に設けられており、冷却のために空気が取り入れられやすいようになっています。また、角の部分は面取りがされており質感が感じられる加工になっています。

拡張性:SSDの追加やメモリーの交換などが可能

本体の上面の蓋を開けるとM.2 SSDの追加が可能になっています。また、蓋にはM.2 SSDを冷却するためのサーマルパッドが組み込まれているほか、小型ファンが直接M.2 SSDを冷やす構造になっているため、温度が上がりやすいPCIe Gen 4対応NVMe SSDをヒートシンクを使わずに搭載してもサーマルスロットリングが発生しにくいように工夫がされています。

ファンが備え付けられた黒い部品を外すと、マザーボードが見えるようになります。このマザーボードには2つのSO-DIMMが備えられており、ユーザーがメモリーの換装ができるようになっています。また、右側にはM.2 SSDが備え付けられており、こちらもサーマルパッドがM.2 SSDに当たるように配置されており、サーマルスロットリングに対する対策が入念に行われています。

なお、このSER6 MAXでは16GBを2枚で合計32GBのメモリーが標準で備え付けられているためあここまで分解する必要は無いと言えそうです。

ちなみに、SER6 MAXでは液体金属が用いられているため、CPUクーラーの取り外しは推奨されていません。そのためこれ以上分解する事は今回はしていません。

Beelink SER6 MAXの各種パフォーマンスについて

内蔵のRyzen 7 7735HSについて

内蔵されているRyzen 7 7735HSはAMDが2021年に投入したZen 3+ CPUとRDNA 2 GPUを内蔵するRembrandt世代APUになっています。当時はRyzen 6000シリーズとして投入されていましたが、2023年に登場したZen 4から型番の付け方が変わっています。

このRyzen 7 7735HSはCPU側にはZen 3+アーキテクチャーを採用するコアが8コア内蔵されており、動作クロックはベースが3.2 GHz、ブースト時は最大4.7 GHzで動作します。

GPU側にはRDNA 2アーキテクチャーのコアを12基内蔵したRadeon 680Mを内蔵し、動作クロックは最大2.2 GHzで動作します。そのため、グラフィックス性能についてはSteam Deck以上でそこそこ負荷が高いゲームでもプレイする事が可能になっています。

SER6 MAXのCPUパフォーマンス

CPU性能としては、TDPが最大54Wに設定されている事もあり、マルチコア性能はTDP65Wクラスのデスクトップ向けCPUに迫るスコアを見せています。ただ、シングルコアについては2020年に発売されたZen 3アーキテクチャーをベースとしているためIntelのAlder LakeやRaptor Lake系CPUに比べると伸び悩んでいます。

ベンチマーク上ではシングルコアの低さが目立つ所ではありますが、これだけ高いスコアであればゲーム時にCPUがボトルネックとなる心配はなく、動画編集などでも1440pやエフェクト無しであれば4K解像度にも対応できると言えそうです。

PCMark 10のスコア:動画編集も1440pまでなら可能?

PCMark10においては合計6445pt記録されています。

各項目においてはウェブブラウジングや各アプリの起動など日常用途の快適性を表すEssentialsでは10423ptを記録しているため、この分野においては特に不満に感じる点は無いと言えそうです。

Wordやエクセルなどオフィス用途での性能を示すProductivityにおいては9413ptでデスクトップ向けCPUと比べるとCore i5-12600K並みを記録しています。ただ、こちらもスコアが非常に高いため特に不満を感じる事は無いと言えます。

RAW画像や動画編集、3Dのレンダリングなどを評価するDigital Content Creationにおいては8618ptを記録しています。こちらはスコア面ではCore i5-12400と同等レベルになっており4K動画の編集などは基本的な編集なら対応可能で、1440p程度の解像度であればエフェクトを加えた状態でも特に問題なく編集が可能と言えるレベルになっています。また、RAW画像の編集なども6000万画素を誇るソニーのα7R Vなど高解像度なRAW画像でも特に問題なく編集する事が可能と言える性能を有しています。

SER6 MAXのゲーミング性能

SER6 MAXにはRDNA 2アーキテクチャーのGPUコアを合計12基搭載しており、GPUの構成的にはSteam Deckと同じになっています。ただ、Steam Deckに比べるとAPUの消費電力が最大35Wから最大54Wに増やされている事からグラフィックス性能は大きく向上、3DMark TimeSpyのグラフィックススコアは2445ptを記録しています。このスコアはGeForce GTX 1050 Ti並みのスコアとなっており、Apex LegendsやValorantなど人気のオンラインゲームを1080p解像度で60fps程度であればプレイ可能と言えます。

Apex Legendsは余裕。1080p、高画質設定では60fpsを超える

Apex Legendsについては解像度1080pですべての設定を高画質にしてカジュアルトリオをプレイした場合、60fpsを上回り、平均85fps程度を記録しています。ただ、最小40fps、最大160fpsとバラツキが大きいためフレームレートの制限を設けるなどした方が安定感を感じる事ができる結果になっています。

Valorantは余裕。1080p解像度なら平均100fpsを超える

Valorantはゲームとして非常に軽い動作が特徴であるため、SER6 MAXでは平均200fpsを超えるフレームレートを記録しています。ただ、こちらもフレームレートが220~280fpsとバラツキが大きいためフレームレートを抑えてフレームレートを安定させてプレイした方が快適と言えそうです。

SER6 MAXの消費電力

SER6 MAXの消費電力についてはCinebench R23のマルチコアを10分間動作させた際には最大110Wほどを記録していますが、上述の通り比較的高い性能を持つ8コアCPUを搭載しているため許容範囲と言えます。

動作クロックもベンチマーク中は4.1 GHzを維持する結果になっておりCPUの性能に対して適切な冷却性能を持っていると言えます。

なお、アイドル時の消費電力の平均25W程度でノートPC向けAPUを積んでいる割には高めになっています。ただ、この状態ではファンはほとんど稼働しておらず、ファンノイズは聞こえないに等しいため問題は無いと言えます。

内蔵されているSSDの性能

SER6 MAXではCrucial製のPCIe Gen 4接続の1TB NVMe SSDを搭載しています。Crystal Disk Markでは読み込みでは約4800MB/s、書き込みは約3400 MB/sで高速な分類に入るSSDが採用されています。恐らくオフィス用途やRAW画像の編集などであれば必要十分な性能になっています。

Beelink SER6 MAXの日常での使い心地と使い勝手

PCではパフォーマンスなどが重要でもありますが、毎日使うという点で気になる使い勝手や使い心地について取り上げて行きます。

ファンノイズ:ベンチマーク時など高負荷はうるさめだが、それ以外なら静か

ミニPCの多くはブロワー型ファンを搭載しており、高負荷時にファン回転数が上がるとモーターノイズと共に甲高い風切り音が目立ちます。この甲高い音についてはSER6 MAXも例外ではなく、ベンチマークやゲームなどCPUやGPUをフルに活用する場面ではファンノイズは割と大きめと言えます。ただし、アイドル時やウェブブラウジングなどではファンノイズはほとんど聞こえる事はありません。

カラーバリエーションあり。全部で4色と言うミニPCとしては珍しい多さ。

ミニPCでは基本的に黒かシルバーなどの単色構成であることが多いのですが、SER6 MAXでは好みに合わせて4色のカラーバリエーションから選ぶことができます。人気色はオブシディアンブラックになるとは思いますが、オレンジや今回のサンプル品でのカラーであるグリーンなど個性的な色も存在しており、好みやインテリアに合わせた組合せが可能になっています。

ACアダプターは小さめ。USB-PDには対応するが互換性問題などアリ。

SER6 MAXに同梱されているACアダプターは100W出力に設定されたものになっていますが、ACアダプターのサイズは100W出力の割にはコンパクトにまとめられています。

なお、SER6 MAXではUSB-PDに対応しているため、本体裏面のUSB-Cポートにケーブルを刺すだけで電源を入れる事ができるのですが、本体の消費電力が100W程度であるためメジャーではない100W出力に対応する充電器などを用意する必要があります。また、最大140W出力まで対応するAnker 737 Power Bank 24000では起動はするもののWindowsの起動まではたどり着く事が出来ませんでしたので、互換性と言う観点からも本体同梱のACアダプターを使用する事をおすすめします。

電源がマグネットで接続される仕様。Magsafeの様に落下防止にはならず。

ミニPCで一般的な電源入力は円形のプラグを差し込むタイプが主流ですが、SER6 MAXではマグネットでくっ付く独自のプラグになっています。こちらは仕組みとしてはAppleのMagSafeに似た機構なのですが、くっ付いた後は簡単には外れず、MagSafeの様な落下防止機構としては動作しません。独自のプラグであるため、故障した際には市場流通品を使いまわす事が出来ず、Beelinkから取り寄せる必要性があります。

Beelink SER6 MAXの最終評価:ゲームもプレイできる万能ミニPC

  • セール中なら7.9万円台から購入できるなど安価
  • 底面の蓋を取り外せばPC内部へアクセス可能
  • メモリーの交換や増設が可能
  • ACアダプターが小さい
  • 金属製筐体であるため質感が高い
  • USB-PDには対応するが動かないケースあり
  • ACアダプターが独自形状のため故障時は取り寄せが必要。

Beelink SER6 MAXについては価格は7~9万円台とミニPCの中では比較的高価なハイエンドモデルとなります。ただ、価格相応の質感や機能性、性能を有しておりCPU性能としてはデスクトップ向けCPUに迫る性能であり、GPU性能もPCゲームでメジャーなApex LegendsやValorantなどもプレイ可能であるため、PCとしても、簡易的なゲーム機としても使いたいと言うユーザーにはオススメなモデルと言えます。

短所はあまり無いモデルなのですが、挙げるとするとUSB-PDで動作しない点やACアダプターが独自形状であるため故障時の対応に不安が残る点が挙げられます。

価格はAmazonでは32GBメモリー+500GB SSD構成で86,800円が定価となっており、1TB構成は92,800円からになっています。ただ、Amazonでは8000円値引きのクーポンが適用されるケースもあり最安値で78,800円から購入する事が可能になっています。競合で似たスペックを持つMinisforumのUM773 SEがセール時でも80,980円で販売されている点を考えると安価な価格設定になっています。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。
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