NVIDIA GeForce RTX 3060系で使うGA106やGA104 GPUの在庫は600万台以上。これが原因でRTX 4050などは登場せず。
NVIDIAのGeForce RTX 3060 TiやRTX 3060、RTX 3050については2021年に発売されたエントリーおよびミドルレンジ向けグラフィックスカードになっています。このグラフィックスカードが発売された当時は仮想通貨のマイニングブーム真っ只中で、新しいグラフィックスカードは価格が定価を上回っていようが飛ぶように売れ、NVIDIAも需要に追いつくために供給を大きく増やしていました。
しかし、2022年に入ると仮想通貨の価格は下がり始め、2022年9月には仮想通貨マイニングで最も高い収益が得られたEthereumがマイニング可能なProof of Work (PoW)からマイニングができないProof of Steak(PoS)に切り替わったことでマイニング需要は終了し、多くの中古GPUが市場に流入し始めます。
さらに、2023年に入ると各国でインフレが深刻化したことやグラフィックスカードやPC本体の需要が2021年に集中した反動として需要が大きく減少、NVIDIAのGeForce RTX 3000シリーズの多くのモデルは在庫として残り、RTX 4000シリーズもほとんど売れないという事態になっています。
非常に厳しい市況になっているグラフィックスカードですが、NVIDIAではGeForce RTX 4000シリーズとしてミドルレンジモデルのGeForce RTX 4060を2023年6月に発売し、次はエントリーモデルのGeForce RTX 4050の登場が期待されますが、どうやらこのRTX 4050については先代のRTX 3060 TiやRTX 3060、RTX 3050などで使われているGPUのAD104やAD106 GPUの在庫が大量に余っているため登場しない可能性が高いことがMoore’s Law is Deadで明らかにされています。
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Moore’s Law is Deadがサプライチェーン関係者から得た情報によると、NVIDIAではRTX 3070やRTX 3060 Ti、RTX 3060などに使われているAD104 GPUおよびRTX 3060とRTX 3050に使われているAD106 GPUについて2つ合わせて合計600万台ほどの在庫を抱えているようです。
そのため、エントリー向けGPUとしてはTSMC 4nmを採用しコストと販売価格が高いGeForce RTX 4050などを導入せず、今後もRTX 3060 TiやRTX 3060、RTX 3050がNVIDIAのエントリー向けグラフィックスカードとして存在し続けるものと見られています。
2023年6月に発売したRTX 4060についてはRTX 3060に対して性能面では10~15%程度しか差がなく、仮にNVIDIAがRTX 4050を出してもRTX 3060並の性能しか出せないと考えられる一方で、価格は先代のRTX 3050以上で、RTX 3060並になると見られています。
この中でRTX 3060 Tiについては価格は4万円後半から5万円台前半を行き来する販売価格になっていますが、6万円近くするRTX 4060 Tiに迫るパフォーマンスを発揮するため、コストパフォーマンスを重視するユーザーにとってはRTX 3060 Tiはベストな選択肢になると考えられます。ただ、NVIDIAについてはRTX 4060 TiやRTX 4060で使われているAD106やAD107 GPUについても需要以上に製造してしまっていると見られるため、RTX 5000シリーズ登場後の2025年もRTX 5050などのエントリーモデルも長らく登場しない可能性もありそうです。
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