Minisforum Venus NPB5の実機詳細レビュー:性能から使い心地まで詳しく解説

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MinisForum Venus Series NPB5の基本的な仕様について

MinisForum NPB5は小型PCなどを主に販売するMinisForumのミドルレンジ向け小型PCとなっており、CPUにはノートPC向けのRaptor Lake-HのCore i5-13500Hを搭載するモデルとなっています。

価格はベアボーンモデルが58,380円から、16GB+512GB SSD+Windows 11 Proを搭載する構成が75,990円から販売されています。なお、32GBメモリー+1TBのSSDを搭載した組合せも存在し、それらは87,980円で販売されています。

スクロールできます
CPUIntel Core i5-13500H (4P+8E | 12コア/16スレッド)
グラフィックスIntel Iris Xe Graphics (80EU)
メモリー16GB (8GBx2) DDR5 SO-DIMM 4800 MHz
ストレージ512GB M.2 PCIe Gen 4 NVMe SSD
OSWindows 11 Pro
インターフェースフロント側
– USB3.2 Gen2 Type-C
– USB3.2 Gen1 Type-A x 2
– 3.5mm ステレオジャック
リア側
– 1Gbps イーサーネットポート x 2
– USB3.2 Gen2 Type-A x 2
– HDMI 2.0 x 2
– USB4 x 2
拡張スロット– M.2 x 2 (ストレージ用 x 1、WiFi用 x 1)
– SATA (2.5 inch SATA HDD/SSD) x 1
ワイアレス機能Wi-Fi 6E、Bluetooth 6.1
サイズ幅127 x 奥行き127.5 x 高さ54.7mm
電源19V ACアダプター
価格58,380円~87,980円

今回のレビューはMinisforumからNPB5の提供を受けています。
(だからと言って忖度はしないので安心してご覧ください。)

パッケージ内容と同梱物

箱はシンプルなパッケージになっていますが、裏面には注文した構成がステッカーとして貼り付けられています。また、箱の構造はApple製品などでお馴染みの箱を持ち上げると、重力で本体を同梱する下側の箱が落ちて来るパッケージになっています。

同梱されているものは、ACアダプターの他に、長さ100cmのHDMI、モニターの裏面にNPB5を設置するためのマウント、SATA接続用のフラットケーブル、M.2固定用のネジと簡単な説明書が入っています。

MinisForum NPB5のデザインと品質、拡張性について

ここではMinisForum NPB5のデザインや品質そしてミニPCではあるものの気になる拡張性について解説します。

デザインと品質:本体側面はアルミ製で質感は高め。

外観は過去に紹介したMinisForum UN100に似たデザインで、角が丸められた正方形に近いデザインになっています。素材は本体側面を囲う素材はアルミニウム合金製で表面はサンドブラスト加工がされており、持った時の感触、触った時の質感は高いと言えます。

本体のインターフェイス用の穴とインターフェイス類の間にある隙間の間隔は一定に保たれており、品質感が高いです。本体裏面で各種インターフェイス部分が集約されている部分はピアノブラックに色分けされておりこちらもデザインと品質が高く見えるのですが、金属製端子がピアノブラックに当たりやすく傷が付きやすいのが少々気になる所です。

上面についてはプラスチック製となっていますが、画像を見て分かる通り上面の端っこ2か所を押すと本体内部へ簡単にアクセスが可能になっています。プラスチックであるのは残念ですが、後述する拡張性を考えると妥当な選択肢と言えそうです。

拡張性:SSDやWiFi、メモリーに2.5inch SSDも搭載可能。拡張性はかなり高め。

本体の上面の蓋を開けるとM.2 SSDとWiFi、DDR5 SO-DIMMそして、フラットケーブル型のSATA端子など取り換えが可能な部分すべてへアクセスが可能になっています。

特に評価できるのがメモリーの拡張性で、ミニPCでもメモリーをマザーボードに内蔵してしまっているモデルも多くある中でメモリーの拡張が可能なSO-DIMMスロットを用意している点は高評価です。なお、このNPB5では16GBを2枚、最大32GBのメモリー容量までサポートしています。

本体の分解は底面の4つのゴム足を取ればネジが現れます。このゴム足は両面テープでの固定となっています。

裏面の蓋をあけると巨大な冷却ユニットが姿をあらわしますが、これだけにしかアクセスは出来ません。ですので、主に掃除するために裏面の蓋をあけるぐらいしか用途は無さそうです。

冷却ユニットは2本のヒートパイプで本体側面と本体背面に向けて排熱するヒートシンクが設けられています。

本体同封の取扱説明書には液体金属を用いているため、CPUクーラーの取り外しは推奨されないと注意書きがありますのでCPUクーラーを取り外す事は控えた方が良さそうです。

MinisForum NPB5の各種パフォーマンスについて

内蔵のCore i5-13500Hについて

内蔵されているCore i5-13500HはIntel第13世代ノートPC向けCPUになっており、末尾にHが入っているという事でTDPはベースが45W、最大95Wで動作する高性能なゲーミングノートPCなどに搭載されるCPUになっています。詳細な仕様としては高性能コアであるP-Coreが4コア、高効率コアのE-Coreが8コアで合計12コア、16スレッド構成になっており、動作クロックはブースト時は最大4.7 GHzでの動作になっています。定格は2.5 GHzになっています。

グラフィックス面ではCore i5-13500HにはIris Xe対応グラフィックスが80EU内蔵されており、AMDのRyzen 7000に内蔵されているRDNA 3ほど強力ではありませんが、負荷が軽いゲームであれば十分プレイする事が可能になっています。

NPB5のCPUパフォーマンス

CPU性能としては、TDP45W帯のCPUを積んでいることもあり、ノートPC向けのCore i5クラスではありながらもデスクトップ向けのCore i5-12400を超える性能を発揮するなどCPUパフォーマンスは非常に高いと言えます。

これぐらいの性能があればゲーミングではCPUがボトルネックとなる事は無く、動画編集も1440pレベルまでであれば十分対応は可能と言える性能になっています。

MinisFourmと大きさや用途そして仕様的にも似ているIntelのNUC13が搭載しているCore i5-1340Pに対してはGeekbenchのシングルコアでは同等レベルですが、それ以外のスコアでは15%程度上回っており、TDP28W帯のCore i5-1340PとTDP 45W帯のCore i5-13500Hの差を見せつける結果になっています。

PCMark 10のスコア:動画編集も1440pまでなら可能?

PCMark10においては合計5430pt記録されており、各項目においてはウェブブラウジングや各アプリの起動など日常用途の快適性を表すEssentialsでは10671ptを記録しており、デスクトップ向けのCore i5-12600K並みの性能になっています。

Wordやエクセルなどオフィス用途での性能を示すProductivityにおいては7249ptでCore i5-12400Fを基準に考えると25%ほど劣るスコアになっており、これは主にシングルコア動作時の動作クロックや持続時間がCore i5-12400Fより低く短い事が原因となっています。しかし、元々スコアが高いため違いは感じられないと言えます。

RAW画像や動画編集、3Dのレンダリングなどを評価するDigital Content Creationにおいては7274ptを記録しています。こちらはスコア面ではCore i3-12100Fと同等レベルになっており4K動画の編集などは厳しいものの、1440p程度の解像度であれば特に問題なく編集が可能と言えるレベルになっています。また、RAW画像の編集なども6000万画素を誇るソニーのα7R Vなど高解像度なRAW画像でも特に問題なく編集する事が可能と言えそうです。

NPB5のゲーミング性能

NPB5についてはCore i5-13500Hに内蔵されているIntel Irisグラフィックスが搭載されており、CPU二内蔵されるGPUコア数は80基(EU)になっています。

3DMark TimeSpyのGraphicsスコアにおいては1509ptを記録しており、AMDのRyzen 5000シリーズまで内蔵されていたRadeon Vega 8相当のパフォーマンスになっています。ただし、Core i5-13500Hの内蔵グラフィックスについてはそこまでパワフルな分類ではなく、RDNA 2アーキテクチャーを採用するRyzen 6000シリーズに内蔵されているRadeon 680Mに対しては35%ほど劣る性能となっています。

Apex Legendsは厳しい。1080p最低画質でも60fpsは維持できず

Apex Legendsについてはゲームとしては軽い分類には入るのですが、NPB5に搭載されているCore i5-13500Hの内蔵グラフィックスにとっては重く、マッチ中は解像度1080pで画質を最低に落としても平均44fpsを記録しています。

なお、720pまで解像度を落とせば60fpsを辛うじて維持する事は可能になりますが、遠くの敵がほとんど見えないなどあまり実用的な設定ではありません。

Valorantは余裕。1080p解像度なら平均100fpsを超える

Valorantはゲームとして非常に軽い動作が特徴であるため、NPB5搭載のCore i5-13500H内蔵のグラフィックスでも平均100fps程度を記録しています。ただ、動作は60fpsを超えているため快適ではあるものの90fpsから120fpsの間をウロウロする挙動であるため、120Hz対応モニターなどでプレイすると不安定さを感じるとともに、エイムの間隔が若干ズレるなど本気でプレイするにはストレスが溜まってしまいます。ただ、軽くプレイする程度であればValorantレベルの軽いゲームであればプレイ自体は可能と言えます。

NPB5の消費電力

NPB5の消費電力についてはCinebench R23のマルチコアを動作させた際にはCore i5-13500Hが最大ブースト状態である3.7 GHzで20秒間動作します。その際のピーク消費電力は140Wを記録していますが、その後は動作クロックは2.5 GHzに下がり、その際の消費電力は平均60Wを記録しています。

なお、アイドル時の消費電力の平均値は13W程度でノートPC向けのCPUという事で非常に低く抑えられています。

内蔵されているSSDの性能

NPB5ではKingstone製のPCIe Gen 4接続の512GB NVMe SSDを搭載しています。Crystal Disk Markでは読み込みでは約4700MB/s、書き込みは約3500 MB/sで高速な分類に入るSSDが採用されています。恐らくオフィス用途やRAW画像の編集などであれば必要十分な性能になっています。

Minisforum NPB5の日常での使い心地と使い勝手

PCではパフォーマンスなどが重要でもありますが、毎日使うという点で気になる使い勝手や使い心地について取り上げて行きます。

ファンノイズ:ベンチマーク時など高負荷はうるさめだが、それ以外なら静か

このようなミニPCの多くはブロワー型ファンを搭載しており、高負荷時にファン回転数が上がるとモーターノイズと共に甲高い風切り音が目立ちます。この甲高い音についてはNPB5も例外ではなく、ベンチマークなどCPUをフルに活用する場面ではファンノイズは割と大きめと言えます。しかし、CPUを多少使うレベルの作業、例えばブラウジングやMicrosoft Office、Valorantなど負荷が軽いゲームであればファンノイズは全くと言っていいほど聞こえません。

置き方によっては排熱がキーボードに向く

NPB5では背面と本体正面から見て右側に排熱用のファンが設定されています。そのため、このようにキーボードの左に本体を置くと作業内容によっては排熱が手に当たります。ただ、本体サイズは小さいため置き場所については自由度は高いためあまり気にする必要は無いかもしれません。

ACアダプターが大きめ+USB-PDには非対応。

NPB5については上述の通り消費電力は最大130Wを超えるケースがあります。というのも内蔵されているCore i5-13500HはTDPが45Wに設定されているものの、ブースト時には最大4.7 GHzで動作することもあり、瞬間最大的に非常に大きな消費電力を必要とします。

そのため、搭載されているACアダプターについてはかなり巨大で重量感のあるものになってしまっています。

また、NBP5の1世代前のモデルであるNAB6などではUSB-PDに対応していたため、対応している充電器や液晶モニターなどがあればUSB-Cケーブル1本で使えるなど使い勝手は良かったのですが、NPB5ではより高い消費電力が要求される事からUSB-PD対応は行われておらず、ACアダプターの使用は必須となっています。

MinisForum NPB5の最終評価:軽いゲームや動画編集まで可能な万能型ミニPC

  • NUC13を超える性能で2万円以上安価
  • 上蓋を簡単に取り外してPC内部へアクセス可能
  • メモリーの交換や増設が可能
  • USB-CやThunderbolt4など拡張性が高い
  • 金属製筐体であるため質感が高い
  • USB-PDに対応していない
  • ACアダプターが巨大
  • グラフィックス性能はイマイチ

Minisforum NPB5については価格は6~8万円と比較的高価なモデルとなります。そのため、性能面で期待する人も多いかと考えられますが、Netflixなどストリーミングサービスでの動画視聴などの日常使用はもちろんのこと、WordやPowerPoint、メールの他に、RAW画像やValorantなど軽くゲームをするという用途でも快適に使用する事が出来ます。また、HDMIを2ポート、Thunderbolt4対応USB-Cを2ポート搭載する事で、最大4画面出力が可能であるなど拡張性も非常に高いモデルになっています。

日常での使い勝手や使い心地ではUSB-PDなどには対応していない他、ACアダプターが巨大な点は残念ポイントです。しかし、筐体デザインと品質は優れておりリビングや机の上に置いても馴染むデザインになっている他、ファンノイズもCinebench R23などレンダリング作業さえしなければ特に気になる場面はほとんどなく、使い心地は良いです。

恐らくこのNPB5についてはゲームや4Kでの動画編集などをするユーザーでない限り、これ一台あれば不自由する事はないぐらい優れた性能を備えているため、もしコンパクトで性能も良く、質感に優れたミニPCを探しているのであればMinisForumのNPB5は検討対象に含めるべき機種と言えそうです。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。
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