グラフィックカードが世界的に不足する中で、マイニング需要により更に窮地に追いやられてしまっているグラフィックカードの供給状態ですが、NVIDIAはマイニング専用ラインアップであるNVIDIA CMPを発表しました。
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マイニング専用機で需要を流す算段か
グラフィックカードを使ったEthereumマイニングが熱気を増す一方で、グラフィックカードの不足は深刻化しておりこのマイニングブームはこのグラフィックカード不足に更なる追い打ちをかけている状態となっています。そのような事態を見てか、NVIDIAではマイニング専用機であるCMP(Cryptocurrency Mining Processor)シリーズを発表しました。
NVIDIA CMPでは4つのモデルがリリースされる見込みとなっています。CMP-30HXはTDPから見て恐らくNVIDIA RTX 3060ベースのモデルでEthereumのハッシュレートは26MH/s。40HXではRTX 3060 Tiベースで36MH/s、50HXはRTX 3070ベースで45MH/s、最後90HXはRTX 3080ベースと見られておりハッシュレートは86MH/sとなっています。
このEthereumのハッシュレートですが、どのモデルでもベースとなるRTX3000シリーズより若干低い数字となっています。そのため、ひょっとしたらベースとなるRTX3000シリーズからコア数などが少し差し引かれたモデルがCMP-HXに流用されている可能性があるとwccftechでは推察されています。これによりRTX 3000シリーズ製造時には捨てられていた一部ダイは製品として売る事が出来、歩留まりやグラフィックカードの供給量改善に役立てる事が出来ます。
これらのマイニング専用NVIDIA CMPシリーズですが、ASUS、Colorful、EVGA、Gigabyte、MSI、Palitなどグラフィックカードを販売している主要メーカーから販売される見込みとなっています。
RTX 3060はドライバーレベルでマイニング性能を制限
このマイニング専用機であるNVIDIA CMPがリリースされた際のプレスリリースにて気になる文言が記載されています。
We are gamers, through and through. Yet NVIDIA GPUs are programmable. And users are constantly discovering new applications for them, from weather simulation and gene sequencing to deep learning and robotics. Mining cryptocurrency is one of them.
With the launch of GeForce RTX 3060 on Feb. 25, we’re taking an important step to help ensure GeForce GPUs end up in the hands of gamers.
RTX 3060 software drivers are designed to detect specific attributes of the Ethereum cryptocurrency mining algorithm, and limit the hash rate, or cryptocurrency mining efficiency, by around 50 percent.
To address the specific needs of Ethereum mining, we’re announcing the NVIDIA CMP, or, Cryptocurrency Mining Processor, product line for professional mining. CMP products — which don’t do graphics — are sold through authorized partners and optimized for the best mining performance and efficiency. CMP lacks display outputs, enabling improved airflow while mining so they can be more densely packed. CMPs also have a lower peak core voltage and frequency, which improves mining power efficiency.
肝心な部分だけ日本語訳すると以下の通りです。
NVIDIA GeForce RTX 3060が2月25日の発売を控える中、NVIDIAではゲーマー達にGPUが行き渡るように重要な対策を実施します。
それは、RTX 3060のドライバーでは、Ethereumマイニングを検知すると同時に、マイニング性能を50%程度低下させる仕組みが導入されています。
NVIDIAによると、ドライバーレベルでマイニングを制限する機構がRTX 3060からは導入されるようになっています。この対策ドライバーが他のRTX 3080などにも投入されるかは明確にはなっていませんが、少なくとも今後発売されるRTX 3080 Tiなど現時点でドライバーが無いモデルではこのようなマイニング制限が投入される見込みとなっています。
この対策では既にリリースされているRTX 3090、RTX 3080やRTX 3070ではマイニングが可能なドライバーが流通してしまっているため制限は困難ですが、今後発売される新製品ではマイニング性能が不明確となり、組織的にマイニングを行う人間にとっては投資利益率(ROI)を求める事が困難になります。
こうする事で、発売初期に大量に買われる事を回避でき、結果的にゲーマーなどグラフィックカードが届くべき所に届きやすくする事が出来ます。
GeForce RTXとして売り物にならなかったGPUダイをマイニング専用機として利用する事や、ドライバーでのマイニング性能の制限などゲームをしたいがためにグラフィックカードを欲しい人にとってはこの話は朗報と言えます。
難しいかもしれませんが、一番期待したい展開はRTX 3080など既に販売しているグラフィックカードでも3月生産分からは最新ドライバーでしか動作しないなど細工を施してくれればマイニング目的にグラフィックカードを買う人間を一気に制限できるため多少は入手性が改善されそうです。(日本では電気代が高いのであまりマイニング目的でグラフィックカードを買う人は少ないと思いますが)
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