AMDでは2024年頃にZen5アーキテクチャーを採用するRyzen 8000シリーズを投入すると言われていますが、AMDでZen CPUの生みの親でもあるJim Keller氏がCEOを務めるTenstorrentのイベントにてZen5の動作クロック、電力効率などの予測を明らかにしました。
AMDでZen生みの親のJim Keller氏がZen5について語る。性能はZen 4比で30%高速化する可能性
AMDでは2024年を目途にZen5アーキテクチャーを採用するCPUを順次投入する計画で、このZen5についてはアーキテクチャーが大きく刷新されるというリークなども出ており大幅な性能向上が期待されていますが、このZen5についてZenシリーズの生みの親でもあるJim Keller氏が自身がCEOを務めるAIチップのスタートアップ、TenstorrentのイベントにてどのようなCPUになるのか動作クロック、電力効率などについてインタビューで語りました。
Jim Keller氏はAMDに2012年から2015年にかけてAMDに在籍し、AMD復活をカギとなった初代Zenの生みの親でもある人物で、Zen 2やZen 3についても構想などを立てていた人物です。
Jim氏がイベントではZen5についてZen 4に対してIPCは約30%ほど高速化されるという予測を立てています。Zen 3からZen 4ではIPCが約15%の向上であったことを考えると大きな向上となっています。
この30%の高速化は SPEC2K17 INTと言うサーバー向けシステムのワークロードを基準に考えられているのですが、AMDでは収益の柱でもあるサーバー・データセンター向け製品のEPYCを重視する姿勢を強めている事や今後この分野の需要が大きく伸びる事からこの指標が用いられているようです。
この性能はNVIDIAが開発しているARMベースのCPU、GraceやIntel Sapphire Rapids Xeonに対して18~20%高速になると見られています。
動作クロックや電力効率についてもJim氏は予測を立てており、Zen5についてはサーバー・データセンター向け製品においてはじめて4 GHzを超える製品になると予測しています。
IntelではSapphire Rapids世代のXeonで既に最大3.8 GHzに到達しており、Sapphire Rapidsの小改良に留まるEmerald Rapidsでは消費電力の関係から4.0 GHzを超えられない可能性が高く場合、Zen5搭載EPYCが初めて4.0 GHzの大台を超えるCPUとなりそうです。
電力効率面ではTDP自体はZen 4搭載のGenoaに対してZen5 Turinでは同じ400Wとなる一方で、TSMC 4nmまたは3nmの採用やアーキテクチャーの刷新により性能は30%程度向上するなど電力効率は大きく向上すると予測しています。
Jim Keller氏については在籍期間が2012~2015年とかなり昔ではあるものの、彼が考えた構想はZen 3やZen 4にまで受け継がれている可能性もあり、Tenstorrentに在籍するエンジニアも最近までAMDでCPU設計を担っていた人物が多く存在するため、今回Jim氏が発表した予測については精度がかなり高いモノである可能性があります。もちろん、退職時にNDAなどを書かされているためかなりざっくりした予測ではあるものの、リーク情報でも30%近いIPC向上の話も出ているため、Zen5については期待しても良いCPUになるかもしれません。
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