Windows 11 24H2でRyzen CPUのゲーミング性能が約10%向上。海外レビューアーの調査で判明もAMDにとっては諸刃の剣?
AMDが2024年8月8日から発売したZen 5アーキテクチャー搭載のRyzen 9000シリーズでは期待値は高かったものの、ゲーミング性能は先代のRyzen 7000シリーズに対して4%程度しか向上していないなどからレビューなどの評判は芳しくなく、発売後の販売台数も悪いのかすでに大規模な値下げやキャンペーンが行われる状態になっています。
ただ、AMDはそのあとゲーミング性能が引くかった原因としてWindows 11 23H2までではZen 5アーキテクチャーで強化された分岐予測パイプラインに最適化されておらず、Windows 11 24H2にアップデートすることでゲーミング性能が最大13%向上することを明らかにしましたが、海外レビューアーのHardware UnboxedがWindows 11 24H2にアップデートした上でRyzen 7 9700XとRyzen 7 7700Xのゲーミング性能を40タイトル以上で検証し、その性能差を明らかにしています。
Ryzen 7 9700Xのゲーミング性能を24H2と23H2で比べると平均で11%のFPS向上が見られるとのことで、30%以上の向上が見られるゲームもあります。また、最新タイトルである『黒神話:悟空』や『Cyberpunk 2077 Phantom Liberty』などでも5~7%近い向上が見られるため、24H2にバージョンアップするだけでグラフィックカードがボトルネックになっていない場合は比較的大きな違いが体感できるようです。
ただ、この性能の大幅向上はRyzen 9000シリーズだけに当てはまるものではなかったようで、Ryzen 7000シリーズでも平均10%の性能向上が記録されています。また、個別のゲームを見てもRyzen 9000と同じくGears 5は32.6%の向上、Call of Duty Modern Warfare IIIは26.8%と大幅向上し、『黒神話:悟空』や『Cyberpunk 2077 Phantom Liberty』なども6~9%の向上が見られています。
Ryzen 7 7700XとRyzen 7 9700Xの性能向上率で言うとWindows 11 23H2では平均1%、Windows 11 24H2では平均2%と数字自体が小さいのであまり大きな違いには見えません。この原因としては上述の通りRyzen 9000シリーズのみならずRyzen 7000シリーズの性能もこのアップデートで向上するため、Ryzen 7000とRyzen 9000の差が広がらないようです。
今回の比較ではRyzen 7 7700XとRyzen 7 9700Xの2つのCPUで行われていますが、より動作クロックが高くコア数が多いRyzen 9 9950Xやゲーミング性能が非常に高いRyzen 7 7800X3DなどではWindows 11 24H2アップデートによりさらに高い性能向上が期待できるため、今後登場するであろう結果に注目が集まります。
なお、AMDにとってこのWindows 11 24H2アップデートによる性能向上は消費者にRyzen 9000シリーズをアピールする材料になる一方で、Ryzen 7 7700Xの性能向上も10%近く向上しているため、少なくともRyzen 7000シリーズユーザーにとってはRyzen 9000シリーズに乗り換える理由がほぼなくなるためAMDにとっては乗り換えるユーザーが減る可能性があるなど諸刃の剣とも言えるアップデートとも言えそうです。
AMD Ryzen 7 9700X vs. 7700X: 40+ Game Benchmark [23H2 vs. 24H2] | Hardware Unboxed
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