TSMC 3nmが供給不足に直面。AI需要拡大で生産枠は2026年まで予約が埋まる
TSMC 3nnプロセスは2023年から投入されたTSMC最新鋭の製造プロセスで、当初はAppleのみが使っていましたが2024年以降はIntel、AMD、Qualcomm、NVIDIAなどの巨大企業がこれらの製造プロセスを用いた半導体製品の開発を進めています。
そんなTSMC 3nmについては、AI需要の拡大により注文が爆発的に増えているようで、台湾の経済日報によると3nmプロセスの生産枠はApple、Qualcomm、NVIDIA、AMD、MediaTek、Intelなどによって2026年分まで注文が埋められているとのことです。
TSMCの3nmに注文が集中する原因としては、高い性能と歩留まりにあると言われており、競合のサムスンでは技術的には優れたGAAを採用した3nmプロセスが作れますが歩留まりがTSMCに比べて大きく劣っていると言われています。そのため、サムスンファウンドリーではTSMC 3nmの価格は安いものの、良品率まで考慮するとTSMC 3nmのほうがコストパフォーマンスに優れていると言われています。
このように高い需要に直面しているTSMC 3nmですが、TSMC側は今のところ3nmウェハー価格の値上げについては明らかにしていません。ただ、TSMCの会長がNVIDIAのJensen Huang氏との会談の中で値上げを示唆するなど値上げに向けた検討は進められている可能性が高いと言えます。
実際にTSMCは過去に需要状況に応じてウェハー価格を引き上げる動きは何度か行っており、2020年から2022年ごろに見られたTSMC 7/5nm系半導体が不足した際には10~25%程度の値上げを複数回にわたって実施していました。
この値上げの結果、最終製品の販売価格に転嫁される事になるなど、半導体を使った製品の値上がりに繋がりましたが、今回のTSMC 3nmについても値上げが行われれば3nmプロセスを使う最終製品に値上げされた価格が反映されると考えられるため、今後も最先端の半導体を使った最終製品であるスマートフォンやCPU、グラフィックスカードなどの値上がりは避けられない状況であると言えそうです。
TSMC 3nmは量産化当初は5nmに比べて25%以上コストが高いことが原因でApple以外に採用するメーカーはいないなどあまり人気があるとは言えない状況でした。しかし2023年終わりごろから始まったAIブームによりコスト度外視で性能を重視したチップ開発が進んだことや、TSMC 3nmの歩留まりとコストが新しい3nmであるN3E導入により大きく改善していることが背景に人気が集まり始めているようです。
なお、2024年にTSMC 3nmを採用する製品はAMDのサーバー向けZen 5 CPU、QualcommのSnapdragon 8 Gen 4、MediaTekのDimensity 9400そしてIntel Lunar LakeおよびArrow Lake-Hなど盛りだくさんで、2025年になるとここにNVIDIAのサーバー・データセンター向けGPUのVera Rubinも入ってくると見られています。
大客戶包下產能訂單滿到2026 台積電3奈米掀搶購潮 | 経済日報
https://money.udn.com/money/story/5612/8021970?from=edn_subcatelist_cate
コメント