TSMCでは日経新聞が1月に15%ほどの値上げを実施する可能性がある事を報じていましたが、特段新たなニュースはありませんでした。しかし、3月29日付の台湾の聯合報によると、TSMCが約25%にも及ぶ値上げを第二四半期に予定している事が報じられています。
300mm(12inch)ウェハーと200mm(8inch)ウェハーが値上げ対象
台積12吋代工價 逐季上調 | 科技產業 | 產經 | 聯合新聞網 |udn.com|
台湾の新聞社、聯合報によるとTSMCが300mmと230mmウェハーの値上げを第二四半期から予定している事が報じられています。
業界関係者によると、TSMCでは300mmと230mmウェハーを前年比25%増にあたる400ドルにまで引き上げる事が示唆されており、TSMCが設定したウェハー価格としては過去最高となる見込みとの事です。この原因としては、半導体需要の高まりもありますが、5nmプロセスの生産拡大や2022年に予定されている3nmプロセスでの量産体制構築など更なる需要拡大に向けた値上げと見られています。
実際に、台湾の業界関係者によると、TSMCと大口顧客(AppleやAMD)との間で行われた2021年における半導体の割引(3~5%)について一度合意されたものの、世界的な半導体不足の影響からか破棄されたとも報じられています。
苦難続きの半導体。サービス残業が一般化?
台積電員工怨「沒加班費」 網一面倒狂酸:你以為做慈善? | 科技產業 | 產經 | 聯合新聞網 |udn.com|
自動車関連の半導体不足やスマートフォンやパソコンなど高度な半導体を要求する製品需要の高まりの一方で、台湾では水不足が顕在化している状態の中、TSMCでは長時間労働が続いており、一部では残業時間が記録されないサービス残業状態になっている事が同じく聯合報によって報じられています。TSMCでは残業時には理由含め、上司の承認を得る必要があるとの事ですが、このルールが全く機能していないとの事です。
TSMCの値上げ話は半導体需要の高まりから報道される機会が増えてきていますが、秘匿性が非常に高い『コスト』に直結する話のため、このような噂話が主になりがちです。ただ、火のない所に煙は立たぬということわざがある通り、事実である可能性は高く、今後はAMD製CPUやGPUが値上げされても不思議ではない状況と言えるでしょう。
ちなみに、TSMCの労働環境ですが、TSMCに勤めた経験のある人と昔話を聞く機会がありましたが、言っていたのは「給料は高いけど激務で上司との関係や指示など色々とブラック」と話していました。その人は台湾人でしたが、コロナ前には日本のメーカーに転職しましたが、この話を聞いたのは2019年初旬で半導体不足になる前の話であるため、このようにサービス残業などがあっても不思議ではないと個人的には思っています。
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