Google Pixel 9搭載『Tensor G4』のCPUとGPU性能が判明。GPU性能は22%向上もサーマルスロットリングが心配される状態に

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Google Pixel 9シリーズ搭載『Tensor G4』のCPUとGPU性能が判明

Googleは、同社が開発するPixelシリーズの最新モデル『Pixel 9シリーズ』を発表しました。このPixel 9シリーズでは、本体デザインが刷新され、カメラやAI機能などが強化されています。これらの強化を支える心臓部として、新しいチップセット『Tensor G4』が搭載されています。

Pixel 9シリーズの発表に伴い、各地のイベントでハンズオンが行われ、その中でTensor G4の製品版のCPUおよびGPU性能が明らかになりました。

スクロールできます
仕様Google Tensor G4Google Tensor G3Google Tensor G2
CPU(1Prime+3P+4E (8コア構成))
1x Arm Cortex-X4 (3.1GHz)
3x Arm Cortex-A720 (2.6GHz)
4x Arm Cortex-A520 (1.92GHz)
(1Prime+4P+4E構成 (9コア構成))
1x Arm Cortex-X3 (2.91GHz)
4x Arm Cortex-A715 (2.37GHz)
4x Arm Cortex-A510 (1.70GHz)
(2Prime+2P+4E構成 (8コア構成))
2x Arm Cortex-X1 (2.85GHz)
2x Arm Cortex-A78 (2.35GHz)
4x Arm Cortex-A55 (1.80GHz)
GPUArm Mali-G715 (MC7?) (940MHz)Arm Mali-G715 MC7 (890MHz)Arm Mali-G710 MP7
RAMLPDDR5XLPDDR5XLPDDR5
NPU (AI処理)第3世代Tensor Processing Unit第3世代Tensor Processing UnitTensor Processing Unit
メディアデコードH.264, H.265, VP9, AV1H.264, H.265, VP9, AV1H.264, H.265, VP9, AV1
モデムExynos 5400
衛星通信対応
Exynos 5300iExynos 5300b
プロセスSamsung 4nm (4LPP+?)Samsung 4nmSamsung 5nm

Tensor G4は、Samsungが開発しているExynos 2400をベースにしたチップセットですが、Exynos 2400の10コア構成(1Prime+5P+4E)から、Tensor G4では8コア構成(1Prime+3P+4E)に減らされています。これは、Googleが独自に搭載するNPU(Tensor Processing Unit)を組み込むために、ダイの一部がNPUに使用されているためと考えられます。

これにより、先代のTensor G3の9コアからPコアが1つ減り8コア構成となりましたが、すべてのコアでARMアーキテクチャが1世代新しいものに変更され、動作クロックも向上しています。その結果、後述のベンチマークでは先代よりも性能が向上していることが確認されています。

CPU性能はTensor G3に対して8%ほど向上も競合に劣る結果

冷却面も踏まえてTensor G4の性能を最も引き出せると考えられるPixel 9 Pro XLのベンチマークではシングルコアが1963ポイント、マルチコアが4723ポイントを記録しています。

チップセットシングルコアマルチコア
Snapdragon 8 Gen 3 (Galaxy S24)20766377
Exynos 2400 (Galaxy S24)19716290
Snapdragon 8 Gen 2 (Galaxy S23)18975038
★Tensor G4 (Pixel 9 Pro XL)19634723
Apple A14 Bionic (iPhone 12 Pro)20724721
Tensor G3 (Pixel 8 Pro)17514384

シングルコア性能は先代のTensor G3に対して12%の向上を見せ、これは比較的大きな性能向上です。また、ベースとなっているExynos 2400とほぼ同じスコアが出ており競合チップセットに対しては見劣りしない性能になっています。

一方、マルチコア性能では先代に対して7.7%の向上を記録し、CPUを多用するタスクではPixel 8シリーズよりも高速化が期待できます。ただし、競合するチップセットと比較すると依然として見劣りし、Exynos 2400に対しては25%、同世代のSnapdragon 8 Gen 3に対しては26%劣っており、同等の性能を持つチップセットは2020年10月に発売されたiPhone 12 Proに搭載されているApple A14 Bionicに匹敵する程度です。

GPU性能は23%向上。ブーストクロックを向上させた可能性もあるが、競合より低めに

OpenCLベンチマークによると、Pixel 9 Pro XLのGPU性能は6537ポイントを記録しました。

チップセットOpenCL
Exynos 2400 (Galaxy S24)14838
Snapdragon 8 Gen 3 (Galaxy S24)14633
Snapdragon 8 Gen 2 (Galaxy S23)8747
★Tensor G4 (Pixel 9 Pro XL)6537
Tensor G3 (Pixel 8 Pro)5315

このスコアはTensor G3に比べて23%の向上を示していますが、動作クロックが890MHzから940MHzへと約5.6%しか向上していないにもかかわらず、性能が大幅に向上していることから、ブーストクロックが大幅に引き上げられた可能性があります。そのため、瞬間的な性能は向上していますが、3DMark Wildlifeのように持続的に負荷がかかる状況ではサーマルスロットリングが懸念されます。

競合チップセットと比較すると、Exynos 2400やSnapdragon 8 Gen 3に対して約55%、Snapdragon 8 Gen 2に対しても25%劣るため、グラフィクス性能は高いとは言えず、ゲームを快適にプレイしたいユーザーにとっては少々残念な結果となっています。

競合チップセットの差は埋まらないが先代のTensor G3からは順当な進化?

Pixel 9シリーズに搭載されるTensor G4は、先代のTensor G3に比べて順当な性能向上が見られ、CPUやGPUの性能が必要な場面ではより高速になったことを体感できるでしょう。しかし、競合モデルに対して依然として遅れを取っており、Tensorを搭載したPixel 6以降から状況は大きく変わっていないようです。

なお、Googleは当初の計画ではTensor G4に完全独自開発のチップセットを搭載する方針だったようですが、急遽変更された可能性があります。実際、Tensor G4のコードネームも『Zuma Pro』となっており、Tensor G3の改良版であることが伺えます。そのため、CPU性能はアーキテクチャの変更で向上していますが、GPUはアーキテクチャやコア構成が全く同じであり、性能向上の要因はブーストクロックの引き上げなどに限定されます。特にGPU性能に関してはサーマルスロットリングなどの課題が今後注目されるでしょう。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
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