Intelがサーバー・データセンター向けに開発したSapphire Rapidsをワークステーション向けに転用したXeon W 3400シリーズを2023年2月に発表されましたが、今回この中で最上位モデルで56コアを搭載するXeon W9-3495Xを海外Youtuberが4.2 GHzにオーバークロックしベンチマークで世界新記録を達成したようですが、1000Wを超える消費電力も記録されたようです。
Sapphire Rapidsを4.2 GHzにオーバークロックし、Geekbenchで世界記録達成。消費電力1000W超えと言う記録も併せて達成・・・
IntelではAlder Lakeで採用されていたGolden Coveアーキテクチャーをサーバー・データセンター向け製品に転用したSapphire Rapids-SP Xeonを発売、最大60コア、TDP350Wで構成される事が明らかになっています。このSapphire Rapids-SP Xeonをベースに、長らく更新されていなかったワークステーション・HEDT向けCPUのSapphire Rapids-WSが2023年2月15日に発表が行われましたが、一足先にこのSapphire Rapids-WSの最上位モデル、Xeon W9-3495Xを入手したドイツのYoutuber、Der8auer氏がこのCPUを56コアすべてを4.2 GHzにオーバークロックし、Geekbenchの世界新記録の達成と1000Wを超えるような消費電力が記録されたようです。
Intel HEDT is BACK! Insane Overclockable 56 Core Sapphire Rapids CPU – YouTube
Der8auer氏はIntelのオーバークロック用の開発部門に招待され、そこで2023年2月15日に発表が行われたXeon W9-3495Xをオーバークロックする機会が与えられたとのことです。
システムの構成としては、マザーボードにはテスト用のW790チップセット搭載マザーボードが用意されており、フェーズのVRMでメモリーには8チャンネル、DDR5-5600動作で192GBの容量が搭載された状態で構成されています。冷却にはCooler Master製のAIOが搭載されており、ラジエーターは360mmでCPUが冷却される構成になっています。
オーバークロック自体はIntelのXTU(Extreme Tuning Utility)が用いられており、Xeon W9-3495Xに搭載される56コアすべてを4.2 GHzで動作するように設定が行われています。
このオーバークロック状態で、Geekbenchベンチマークを行ったところ、シングルコアは1600ptだったものの、マルチコアは53817ptを記録しています。
このスコアはGeekbench世界記録である4.3 GHzで動作させた64コアのRyzen Threadripper 5995WXが記録した48025ptを12%上回っており、Dr8auer氏によるとテスト用マザーボードではなくオーバークロックに特化したマザーボードや更に強力な冷却を使えば4.6 GHz程度まで伸ばす事が可能でさらに高いスコアが目指せるとの事です。
なお、56コアすべてを4.2 GHzで動作させた場合アイドル状態でもシステム全体の消費電力は300~350Wとなり、ベンチマーク動作時には1000Wを超えるような消費電力が記録されていたとのことです。この構成はGPUにはGT1030を搭載しているため、システム全体と言っても支配的なのはCPUであり、CPUだけで恐らく900W近い消費電力は使っている可能性が高いです。
今回は消費電力だけでベンチマーク中のCPU温度は明らかになっていませんが、恐らく360mm AIOでは明らかに冷却能力が不足しているように見られます。
Xeon W9-3495X New Cinebench WR (LN2 5.2 GHz):
🔵R23 MT: 128,391
🔵GB3: 378,078Threadripper 5995WX previous WR (LN2 5.4 GHz):
🔴R23 MT: 121,215
🔴GB3: 302,214SAFEDISK 👏🏻https://t.co/qL43wDoyeu pic.twitter.com/V2u16H9A0t
— Hassan Mujtaba (@hms1193) February 22, 2023
そのため、韓国のオーバークロッカーSAFEDISKではXeon W9-3495XをLN2で冷却してオーバークロックした結果、動作クロック5.22 GHzを達成したとのことです。また、この状態でのベンチマーク動作にも成功しており、Cinebench R23のマルチコアは128,391ptを記録しています。
このスコアはRyzen Threadripper 5995WXをLN2冷却でオーバークロックし、達成した世界記録の121,215ptを6%上回っています。
Sapphire Rapids-WSについては一般ユーザーにはあまり関係のないCPUにはなりますが、オーバークロックをした際の性能と消費電力については想像を遥かに超える製品である事は良く分かると思います。このSapphire Rapids-WSの登場に対抗してAMDでは96コア搭載のRyzen Threadripper Pro 7000シリーズを2023年末から2024年に発売を予定していますが、このCPUでオーバークロックをしたら一体どのような性能と消費電力が叩き出せるのか気になる所ですね。
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