Snapdragon X Eliteの性能が判明。Apple M2 Maxを超える性能を発揮

QualcommのノートPC向けArm『Snapdragon X Elite』の性能が判明。Apple M2 Maxを超える性能だが消費電力は最大80W？

スマートフォン向けの高性能SoCなどを開発するQualcommではAppleのMシリーズSoCに対抗するSoCとしてSnapdragon 8cxシリーズを投入していましたが、2023年10月24日に開催されたQualcommのイベントにて、ノートPC向けARM CPUであるSnapdragon X Eliteが発表されました。

このSnapdragon X EliteはQualcommが買収したNuviaが開発した独自CPUであるOryonを搭載し、最大12コアのP-Coreを搭載する事が明らかにされていますが、今回このP-Coreを12コア搭載した最上位モデルのベンチマーク結果がリークされ、その性能が明らかになりました。

Qualcomm Snapdragon X Elite Performance Preview: A First Look at What’s to Come (anandtech.com)

Qualcommのイベントにて展示されていたSnapdragon X Eliteを搭載したリファレンスモデルのノートPCについて最大設定であるTDP80Wの状態で計測されたGeekbench 6ベンチマークにおいて、シングルコアで2979ポイント、マルチコアで15382ポイントを記録しています。

一方で、通常のノートPCの使用に耐えうるTDP 28W帯でのベンチマーク結果はシングルコアが2780ポイント、マルチコアが14029ポイントになっています。

CPUの性能としては、同じくArmベースのApple M2に対して80W版ではシングルコアが10%、マルチコアでは50%優れた結果で、TDP 28W版ではシングルコアが5%、マルチコアが39%と消費電力が低いモデルでも非常に高い性能を記録しています。この性能はAppleのMacBook Proに搭載されているM2 Maxと同等以上の性能でTDP 28W版ではシングルコアは1.6%、80W版は7.5%上回り、マルチコアは28W版は4%劣る性能ですが、80W版は高いTDPな事もあり4.4%上回っています。

ベンチマークではCinebench 2024での結果もありますが、こちらもSnapdragon X EliteはTDP 28W版でさえもシングルコアではApple M2と同等、マルチコアは66%上回るなど驚く様な性能を記録しています。

GPU性能もApple M2並みを記録

3DMark WildlifeやAztec RuinsなどのベンチマークではSnapdragon X Elite 80Wはそれぞれ前者が44.5fps、後者で350fpsを記録しており、Apple M2に対して3DMarkでは9%、Aztec Ruinsでは19%優れた性能を記録しています。TDP 28W版ではM2と比べると3DMarkでは6%劣るものの、Aztec Ruinsでは295fpsと同等のfpsを記録しており、GPU性能についてもApple M2並みを確保していると言えます。

QualcommのSnapdragon X Eliteについては2024年中頃より搭載したノートPCなどが各社から発売される見込みになっています。ただ、Appleでは新しいSoCであるApple M3を搭載したMacBook Proなどを2023年11月に発売予定としているため、今後このApple M3に対してどれだけの差になるかが注目となるポイントです。Qualcomm Snapdragon X Eliteに内蔵されているOryonは初登場のCPUで発売まであと半年程度ある中でもここまでの性能が出せるのであれば現時点の性能をApple M3に上回られても、発売までには相当縮める事も可能性としてありそうです。