Snapdragon X EliteのGPU性能は高め。x64エミュレーションでもRyzen 7040並みのゲーミングパフォーマンスを実現
QualcommではARM版Windows向けに性能を大幅に高めたSnapdragon X Eliteを2024年春以降に投入しますが、ARM版Windowsで懸念されているゲーミング性能についてBaldur’s Gate 3をパフォーマンスに悪影響があると言われているx64エミュレーションモードでプレイした際の大まかなパフォーマンスについて明らかになりました。
Snapdragon X Eliteでゲームを動かす際には、パフォーマンスと効率が高い順に、ARM64向けに開発したソフト、ソフトウェアのみエミュレートし一部グラフィックスは最適化した『ARM64ECモード』、通常のWindowsソフトをそのまま使う『x64エミュレーション』の3種類あり、今回の動画で掲載されているのは最もパフォーマンスに不利な『x64エミュレーション』で動作しています。
Baldur’s Gate 3の画質設定は不明ですが、1080p解像度で30FPS程度を維持しており、十分プレイすることが可能だったとのことです。
Baldur’s Gate 3は比較的軽いゲームではありますが、TDPが30Wに設定されたAMD Ryzen 9 7940HSでも25~40FPS程度のパフォーマンスであり、Snapdragon X Eliteでは最大28Wで動作することからパフォーマンスは同等で電力効率も若干優れていると言えます。ただ、今回のゲームプレイは端末自体の最適化が完了していない段階であるほか、性能に影響があるx64エミュレーションで動作してのパフォーマンスであるため、製品版かつARM64に最適化されたゲームであればRyzen 9 7940HSを余裕で超えるようなグラフィックス性能が期待できます。
従来までのARM、例えばSnapdragon 8cx Gen 3などはグラフィックス性能自体が低く、ゲームをネイティブでも動作させるというのは積極的に選択肢にも含めることができませんでした。しかし、今回のSnapdragon X Eliteではx64エミュレーションにおいてもかなり高めのパフォーマンスで動作することが今回明らかになりましたので、ARM版Windowsはあまり使えないという悪評を吹き飛ばす1つの材料になりそうです。また、エミュレーション実行時でも多くのゲームでパフォーマンスに影響が出ないなどであればARMが持つ低い消費電力と相まってハンドヘルド型ゲーム機などでもSnapdragon X Eliteが採用されるかもしれません。これは今後、他のゲームでどのようなパフォーマンスを出せるかによりますが、IntelとAMD以外にも選択肢が増えることは消費者にとっていい事と言えます。
Devin Arthur @Lecyn | X (Twitter)
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