スマートフォン向けメモリ価格が数ヶ月で20%以上高騰へ。スマホ価格を大きく跳ね上げるか、スペックダウンに繋がる可能性も
各種デバイスのメインメモリーに用いられているDRAMや記憶媒体に使われているNANDフラッシュなどのメモリー価格は2023年中頃までは右肩下がりでサムスンやMicron、SK Hynixでは需要減少と価格下落に伴い生産量を大きく減らす措置を取っていました。
この対応に伴い2023年下期からは徐々にメモリーの供給価格は1桁%台で上がり始めていましたが、半導体製品関係の市場調査を行うTrendForceがまとめた最新のメモリー価格動向においてスマートフォン向けDRAMとNANDメモリーについて直近数か月間で供給価格が跳ね上がる事が明らかになりました。
TrendForceによると2023年第4四半期においてはeMMC/UFSなどスマートフォン向けNANDフラッシュの供給価格が前期に比べて10~15%程度上昇しているとのことです。また、LPDDR5Xなどスマートフォン向けDRAMについては前期比で18%~23%と暴騰と言えるレベルで供給価格が上がっているとのことです。
この供給価格が大きく上がった原因としてはサムスンが供給を大幅に減らしたほか、Micronが供給価格を20%程度値上げした事が影響しています。また、中国で非常に売れているHuawei Mate 60も価格高騰を後押している状態になっています。
2024年の第一四半期についても値上げ傾向は続く見込みで、eMMC/UFSなどのNANDフラッシュとLPDDR5などスマートフォン向けDRAMは2023年第4四半期に対してさらに18~23%の値上げが予測されています。
これは供給側が供給量を大きく増やさない見込みである事に加え、急激な価格高騰に対してAppleなどスマートフォン大手がスマートフォン用メモリーを大量の買い付けを行う可能性があるほか、中国では引き続きスマートフォン販売が好調な点、そして世界的に景気が回復傾向にある事からスマートフォン全般の売上が好調であることから需要が大きい事が要因になっているとのことです。
なお、このメモリー価格の予想含めて2024年の第一四半期までしか明らかにされていませんが、例え価格高騰のペースが多少鈍化しても2023年時点の価格に対して大きく上がっている事は確実です。
そのため2024年に発売されるスマートフォンについてはTSMC 3nmを採用するなどSoCのコストが上がる他に、メモリー関連のコストも上がるため一部ハイエンドモデルではさらに値段が上がるか、メインメモリーやストレージ容量を据え置きにするか、先代より減らすなどスペックダウンが見られる可能性もありそうです。
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