サムスン製HBM3EがNVIDIAの受注テストに不合格。過大な熱と電力が原因
NVIDIAのサーバー・データセンター向け製品の最新鋭モデルのHopper H200やBlackwell B200では超高速メモリーであるHBM3Eを採用していますが、このHBM3EはSK hynixとmicronにより供給されており、非常に高い収益を上げることができています。
そのため、メモリー大手のサムスンはこのHBM3Eの供給に向けて名乗り出たのですが、どうやらサムスン製HBM3EはNVIDIAが受注に踏み切るか判断する認定テストに不合格になったことが業界筋より明らかになりました。
HBMはサムスンのDRAM事業にとって次なる収益の柱で、NVIDIAからHBM3Eの受注を獲得することでHBMで多くの収益とシェアを確保しているSK hynixを追撃する狙いを持っていました。しかし、サムスン製HBM3EはNVIDIAが定めた熱および消費電力の基準を満たすことができていなかったようです。また、Hopper H200やBlackwell B200ではTSMCのCoWoSを使ってパッケージングが行われますが、TSMC側も歩留まりや供給の安定性の問題からサムスンがサプライチェーンに参入することに消極的だったとも伝えられています。
NVIDIAが定めているHBM3Eの基準はSK hynixが大部分を定めており、SK hynixにとって有利な基準になっているとも言われています。ただ、micronがこの基準に合格し、同社のHBM3EがHopper H200などに採用される事が決定しているため、今回の問題はサムスン側の技術的な問題であると言えそうです。
SK Hynixやmicronなどメモリー大手はNVIDIAのAI向けGPUの高い収益率を支える製品であり、その部品の1つであるHBMを供給する企業も莫大な利益を確保できている状況になっています。そのため、サムスンもNVIDIAのサプライチェーンに入れば多くの利益を確保できるはずでしたが、HBM3Eの受注テストに不合格になってしまったのは同社のDRAM事業にとってかなり痛い失敗だと考えられます。
サムスンが再びHBM3Eの受注テストに合格するためプロセス改善などを行う時間などを考えると、Hopper H200やBlackwell B200などの製品に採用される事は困難で、2025年以降投入の次世代GPU『Vera Rubin』などでの採用を狙う事になりますが、これらの製品ではHBM4を使うとも言われているため、サムスンがHBM3Eで再びリベンジするのか、諦めてHBM4での採用を目指すのか注目です。
Exclusive: Samsung’s HBM chips failing Nvidia tests due to heat and power consumption woes | Reuters
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