サムスンの第2世代3nmプロセスの歩留まりは20%程度に。TSMCへの対抗は難しく
サムスンはファウンドリー事業においてTSMCに対抗するために業界で初めてGAA技術を適用した3nmプロセスの量産化に成功し、ていますが、歩留まりがQualcommやMediaTekなど主要な顧客が要求する70%の水準に達する事が出来ず、顧客のほとんどは従来型のFinFETを利用するTSMC 3nmプロセスを採用するなど、同社のファウンドリー事業が好調とは言えない状況です。
そのため、サムスンでは現行の3nmプロセスを改良した第2世代3nmプロセスを開発中で、同社が開発中のスマートフォン向けチップセットのExynos 2500で採用する事が決まってはいますがどうやらこの第2世代3nmプロセスについても歩留まりの低さに苦しんでいる様子が明らかになっています。
TSMC/Samsung Foundry Customers by Node pic.twitter.com/SFroObsdhX
— J. Reve (@Revegnus1) May 17, 2024
3nmプロセスを採用する顧客を見てみると、AppleやIntel、AMD、MediaTek、Qualcomm、NVIDIAなど数々の大手企業はTSMC 3nmを採用している一方で、サムスンの3nmについてはシーメンスのみと顧客獲得に苦慮している様子が明らかになっています。
そのため、サムスンではExynos 2500で第2世代3nmを採用し、同社向けスマートフォンの性能向上につなげるほか、TSMCの3nmを検討している顧客を取り込むことも狙っているようですが肝心な歩留まりについて最近テープアウトされた3nm製品では20%の歩留まりであることが明らかになっているようです。
歩留まりついてはExynos 2500などは本格的な量産化が2024年下半期以降であるため、今後の量産工程改善などで歩留まり向上を行っていくと考えられますが、サムスンファウンドリーは8nmや4nmなど先代プロセスでも30~50%台と言う低い歩留まりが原因で顧客を逃し続けています。そのため、早急に歩留まりを改善しなければ第2世代3nmで顧客獲得はおろか、その先に2nmでの顧客獲得にも悪影響を及ぼす可能性があります。また、この第2世代3nmを採用する同社製スマートフォンのGalaxy S25シリーズ向けに十分な数のチップセットが供給できない場合、一部地域ではコストが高いSnapdragon 8 Gen 4などを採用する必要が出てきてしまうなどスマートフォン事業の足も引っ張る可能性すらあります。
ただし、業界関係者は楽観的な様子で「サムスン電子は今年下半期にGalaxy Watch 7に3nm製品を搭載し、その中で最適化を進めながらExynos 2500の性能の向上に力を入れる」と述べ、「下半期に本格的な量産が進行し、歩留まりと性能の改善が進めば、来年のGalaxy S25全シリーズにExynosを全面的に搭載する事になる」とも述べています。
サムスンの半導体事業はDRAMが好調ですが、肝心なファウンドリー事業は売上高が伸び悩んでおり赤字を垂れ流している状態になっています。そのため、サムスンも第2世代3nmで顧客を獲得するなどしなければTSMCとの技術競争に必要な研究開発費を捻出する事が難しくなるため、現在言われている20%の歩留まりはかなり深刻な事態と言えます。
特に歩留まりはサムスン側が割引などを提供したとしても、QualcommやMediaTek、NVIDIA、AMDなど大口顧客のほとんどは供給不足に陥る事を最も嫌うため歩留まりが低い限り、いくら安い価格を提示したところで、安定供給が可能なTSMCに大口顧客のほとんどは流れる状態になります。
あとExynos 2500も2024年秋ぐらいには量産開始となるため、長くてもあと4か月しかない中で20%の歩留まりを一気に改善することは難しいようにも考えられますが、どのような展開になるのか見守りたいところです。
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