サムスン3nmの歩留りはまだ50%程度。Qualcommは歩留まりが70%以上に向上しない限り発注をしない方針
3nmプロセスで製造される半導体についてはAppleのA17 ProがTSMC 3nmで量産された初の半導体となっていますが、このTSMC 3nmについては歩留りの面で問題を抱えている他、FinFETを使っている事が原因なのか電力効率の面でボトルネックになっている可能性が指摘されています。ただ、受注については好調でTSMC 3nmについては改良版に当たるN3EはAMDやIntel、Qualcomm、MediaTekなど多くの受注を獲得しています。
一方でTSMCのライバルであるサムスンについてはTSMC 3nmで使われているFinFETの進化版にあたるGAAを活用した3nmの技術開発を行っており、歩留まりについてもTSMC 3nmを超えたと噂されていましたが、どうやらこれはある特殊な半導体での歩留りだったようです。
サムスンの3nmについては中国のBitcoinファーム用の半導体が最初の顧客になっており、このBitcoin用ASICの製造を行っています。しかし、韓国メディアによるとこのBitcoin用ASICはスマートフォンやPCなどで使われる半導体とは異なりSRAMが存在しない半導体になっていたとの事です。そのため、過去に挙げられていた65%の歩留りはこのSRAM無しのモノであり、実際にSRAMを搭載する半導体を製造すると歩留りは50%台にまで悪化するようです。
一時期、QualcommのSnapdragon 8 Gen 4はTSMC 3nmの改良版であるN3Eに加えて、サムスン3nmも使ったデュアルソーシングにて製造が行われると言う話がありましたが、新しい情報によるとQualcommはサムスンファウンドリーを採用する条件として3nmの歩留りが70%を超える事を求めているようです。
この歩留りに対して過去にサムスンを利用した事があるQualcommではSnapdragon 8 Gen 4やGen 5など将来機種においてサムスンファウンドリーを採用する条件としては70%の歩留りを求めているようです。この70%と言う数字に関しては、TSMCの改良型3nmであるN3Eの歩留りとほぼ同等レベルと言え、Qualcommとしては供給量や不良ウェハーなども買い取る必要があるなどのコスト面を考えて70%と言う水準を求めているようです。
この歩留りが達成できない場合、QualcommはSnapdragon 8 Gen 4などですべてTSMCのN3Eにすべて製造することとなるため、サムスンがQualcommの受注を逃せば研究開発費の回収の他に、実績作りの機会も失う事となり同社にとって大きな損失になると考えられています。
コメント
コメント一覧 (1件)
歩留まり上がっても
たびたび問題になるSamsung製の発熱問題も解決しないとなかなか難しいのではないかと邪推致します。