AMD Ryzen AI 7 PRO 360のベンチマークが登場。CPUは3P+5Eと言う変わった構成。しかし性能はRyzen 9 8945HSより7%高性能に
AMDでは2024年7月末ごろにZen 5アーキテクチャーとRDNA3+ GPUを組み合わせたRyzen AI 300シリーズAPUを投入予定ですが、このモデルではRyzen AI 9 HX 370とRyzen AI 9 365の2モデルしかラインアップされないなど、ハイエンドに限定したラインアップになっています。
そのため、AMDでは2024年末にかけて複数のモデルを追加予定ですが、今回この中の1つで主にエンタープライズ向けノートPCなどに搭載が想定されるPROシリーズの、Ryzen AI 7 PRO 360のベンチマークが登場し、性能に加え少々変わったスペックに関する情報が明らかになりました。
ベンチマークに掲載されたのはLENOVO製ノートPCで、CPUにはRyzen AI 7 PRO 160と記載がありますが、AMDではRyzen AI 100を最近になり300に改めています。そのため、このモデルはRyzen AI 7 PRO 360と名付けられると考えられます。
CPU側の仕様はZen 5を搭載するP-Coreが3コア、Zen 5cとなるE-Coreが5コアで合計8コアを実現し、スレッド数も16スレッドになっています。
キャッシュ容量はL2が各コア1MBで合計8MB、L3キャッシュがGeekbench 6上は8MBと記載がありますが。実際にはZen 5側で16MB、Zen 5c側で8MBの合計24MBであるため、CPU全体では合計32MBのキャッシュ容量を持っています。
動作クロックはベースが2.0 GHz、ブースト時の最大が4.25 GHzに設定されています。
そんなRyzen AI 7 PRO 360はシングルコアで2514ポイント、マルチコアで11772ポイントを記録しています。
CPU | シングルコア | マルチコア |
---|---|---|
Ryzen AI 9 HX 370 | 2833 | 14773 |
Ryzen AI 9 365 | 2730 | 13032 |
Core Ultra 9 185H | 2246 | 12084 |
Ryzen 9 8945HS | 2380 | 11175 |
Ryzen AI 7 PRO 360 | 2514 | 11172 |
Ryzen AI 7 PRO 360のシングルコアは同世代のRyzen AI 9 HX 370に比べると11%下がっていますが、これは動作クロックの違いによるものが大きいと言えます。また、先代のRyzen 9 8945HSに対して動作クロックは最大5.2 GHzから4.3 GHzに下がっていますが、スコアは5.6%向上が記録されているなど動作クロックあたりの性能は向上していると言えます。
なお、競合となるIntel Core Ultra 9 185Hに対しては12%優れたシングルコアスコアを記録しています。
マルチコアではRyzen AI 7 PRO 360とRyzen 9 8945HSは同等レベルですが、動作クロックが下がっているためバッテリー持続時間など効率面では優れていると考えられます。また、競合のIntel Core Ultra 9 185Hに対しては7.5%劣るスコアになっていますが、これは動作クロックの違いに加え、Core Ultra 9では6P+8E+2LPEの合計16コアを搭載しているため、コア数の違いが性能の違いに繋がっていると言えそうです。
AMDのRyzen AI 300シリーズでは最初はハイエンドモデルのRyzen AI 9シリーズのみ投入されますが、それだけではIntelに対抗する事も出来ないため、徐々にではあるもののミドルレンジやエントリーモデルを拡充する予定と言えます。その中でRyzen AI 7 PRO 360はアッパーミドルレンジモデルとしてラインアップされそうですが、性能面では先代の最上位モデル並みの性能を持つなど搭載ノートPCの価格次第ですが、魅力的なAPUになると言えそうです。
ただ、注意点がこのRyzen AI 7 PRO 360では内蔵GPUがRadeon 870Mを搭載しているため、Compute Unitは8基程度に減らされると言えます。そのため、Ryzen AI 9などで見られている高いグラフィクス性能は期待できないため、この辺りは注意が必要と言えます。
LENOVO 21M1SIT005 (AMD Ryzen AI 7 PRO 160 w/ Radeon 870M) | Geekbench 6
コメント