AMD Ryzen AI 9 HX 370の製品版CPUベンチマークが登場。Ryzen 7 7700Xに迫る性能
AMDではノートPC向けにRyzen AI 300シリーズの一斉発売を2024年7月15日に予定していますが、今回同CPUの中で最上位モデルとなるRyzen AI 9 HX 370のGeekbench 6ベンチマークが登場しました。
Ryzen AI 9 HX 370ではZen 5アーキテクチャーで構成されるCPUを合計12コア搭載し、そのうち4コアはZen 5、8コアはZen 5cを組み合わあせたハイブリッドコア構成になっています。キャッシュ容量はL2を12MB、L3をZen 5が16MB、Zen5c側が8MBで合計36MB備え、動作クロックは最大5.1 GHzで動作することが明らかにされています。
今回のベンチマークではこのCPUをASUSのZenbook S 16に搭載した状態で計測が行われており、CPUとしてもES品と記載はありますが、ほとんど最終版に近い状態であると考えられます。
結果はシングルコアが2795ポイント、マルチコアが14124ポイントを記録しています。
CPUモデル | シングルコア | マルチコア |
---|---|---|
Ryzen 7 7700X | 2912 | 15273 |
Ryzen 9 AI HX 370 | 2795 | 14124 |
Core i7-12700K | 2532 | 13666 |
Ryzen 9 8945HS | 2380 | 11775 |
Ryzen 9 7940HS | 2367 | 11527 |
Core Ultra 9 185H | 2246 | 12084 |
今回は動作クロックが最大5.0 GHzで動作しており、先代で最大5.1 GHzで動作するRyzen 9 8845HSに対してシングルコアは17%、マルチコアは20%と大幅な性能向上を記録しています。マルチコアについては設定されているTDPが不明なため、もう少し上がる余地がありますが、シングルコアはComputex 2024で発表されているIPC 16%向上とほとんど同じで、Ryzen AI 9 HX 370の最大値である5.1 GHzでの動作であれば18~19%向上も実現できそうです。
ほかのCPUと比べてもシングルコアはデスクトップ向けのRyzen 7 7700Xの4%、マルチコアは7.5%劣るレベルにまで迫っており、デスクトップ向けCPUと遜色ない性能になっています。また、ライバルであるIntelのMeteor Lakeシリーズ最上位モデルのCore Ultra 9 185Hに対してはシングルコアでは24%、マルチコアでは17%優れるなどノートPC向けCPUとして非常に高い性能を持つモデルになっています。
このRyzen AI 9 HX 370を搭載するノートPCについては2024年7月15日より一斉に発売される予定で、Qualcoomm Snapdragon Xシリーズに対して性能はもちろんの事、バッテリー持続時間でどれぐらい喰いつけるのか注目です。
AMDのRyzen AI 300シリーズではシングルコアが発表資料通り先代を16%程度超えるレベルで伸びているなど、CPU性能もかなり高い事が明らかになっているのですが、あとはノートPC向けCPUとして重要なバッテリー持続時間がどんなものなのかが気になるところです。特にQualcommのSnapdragon Xでは非常に長いバッテリー持続時間が確認できているため、Ryzen AI 300シリーズもZen 5cを備えるなどしているため、どれだけArmに喰いつけるかは注目ポイントと言えそうです。
ASUSTeK COMPUTER INC. ASUS Zenbook S 16 | Geekbench 6
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