AMD Ryzen AI 9 HX 370のCPUベンチマークが登場。Core i7-12700K並の性能で、先代のRyzen 9 8945HSより低い動作クロックで20%上回る
AMDはComputex 2024にて、Zen 5アーキテクチャーを搭載するノートPC向けAPUのRyzen AI 300シリーズを発表しました。このRyzen AI 300シリーズにはZen 5アーキテクチャーで構成されるCPUを合計12コア搭載し、そのうち4コアはZen 5、8コアはZen 5cを組み合わあせたハイブリッドコア構成になっています。キャッシュ容量はL2を12MB、L3をZen 5が16MB、Zen5c側が8MBで合計36MB備え、動作クロックは最大5.1 GHzで動作することが公式資料では明らかにされています。
ただ、具体的な性能はComputex 2024の場では明かされていませんでしたが、今回このRyzen AI 300シリーズの中で最上位モデルとなるRyzen 9 AI HX 370のGeekbench 6ベンチマークが登場し、その性能が明らかになりました。
Geekbench 6に掲載されているRyzen 9 AI HX 370はASUS製ノートPCに搭載されたモデルなのですが、動作クロックはベースが2.0 GHz、ブースト時の最大が4.2 GHzとRyzen 9 AI HX 370の最大クロックの5.1 GHzを下回る動作クロックに設定されています。また、電力設定も『静粛モード』などCPU性能が最大限発揮できない設定になっています。
そんな不利な設定においてRyzen 9 AI HX 370のシングルコアは2544ポイント、マルチコアを14158ポイントを記録しています。
CPUモデル | シングルコア | マルチコア |
---|---|---|
Ryzen 7 7700X | 2912 | 15273 |
Ryzen 9 AI HX 370 | 2544 | 14158 |
Core i7-12700K | 2532 | 13666 |
Ryzen 9 8945HS | 2380 | 11775 |
Ryzen 9 7940HS | 2367 | 11527 |
Core Ultra 9 185H | 2246 | 12084 |
Ryzen 9 AI HX 370の性能はシングル、マルチ共に近いスコアのCPUはデスクトップ向けCPUのIntel Core i7-12700Kになっており、シングルコアは同等、マルチコアはRyzen 9 AI HX 370が約3.5%上回る性能を発揮しています。
また、Ryzen 9 AI HX 370の先代モデルにあたるRyzen 9 8945HSに対してはシングルコアは7%、マルチコアは20%ほど優れたスコアを発揮しています。
Ryzen 9 8945HSは動作クロックはベースが4.0 GHz、最大5.2 GHzで動作している一方で、今回のRyzen 9 AI HX 370は最大4.2 GHzでの動作と言うことで、同CPUはZen 5そして、ハイブリッドコア採用により電力効率は大きく向上していることが伺えます。
AMDのRyzen 9 AI HX 370をはじめとするRyzen AI 300シリーズ搭載ノートPCは2024年夏から秋にかけて登場するため、今後の最適化によりさらなる性能の向上が期待されます。
AMDがComputex 2024でRyzen AI 300シリーズの発表をした際はあまり役に立たない性能比較グラフを出していたため性能に自信が無いのかなと思ったのですが、少なくともGeekbench上ではなかなか良好なスコアを発揮しているようです。特に動作クロックが低い状態でも高いスコアを叩き出せていることから電力効率が高く、IntelのLunar Lakeに加えQualcommのSnapdragon Xに対してノートPC向けAPUとして高い競争力を持つモデルであると言えそうです。
ASUSTeK COMPUTER INC. ProArt P16 | Geekbench 6
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