Ryzen 9 9950X3D の殻割で温度が25度も低下。消費電力も20W低下
AMDの最上位CPUのRyzen 9 9950X3Dは先に発売されたRyzen 7 9800X3Dと同じく3D V-Cacheをダイの下に配置することで動作クロックの向上が図られており、Ryzen 9 9950Xに対してゲーミング性能を大きく向上させながらも、動作クロック向上によりマルチコア性能が通常モデルに対して同等性能を発揮するなど弱点が大きく改善されたモデルになっています。そのため、最上位モデルに相応しく高い性能をゲーミングやレンダリングなどのマルチコア処理で発揮するようになっていますが、海外のオーバークロッカーのDer8auerがRyzen 9 9950X3D のヒートスプレッダーを取り外す殻割を実施し、パフォーマンスや温度がどれだけ良化するかを明らかにしています。


殻割に使われたツールはRyzen 7000シリーズ時代に登場したThermal Grizzly – Delid-Die-Mateが使われていますが、3D V-Cache搭載モデルでは通常モデルに比べてより慎重な作業が求められるとのことで、焦らず慎重に作業を進めることが非常に重要であると強調しています。


殻割後の温度はアイドル時は20℃前後を指していますが、水冷ユニットの水温が24~25℃であることからCPUに内蔵されている温度計の誤差がかなり大きいことが明らかになっていますが、どちらにせよアイドル時は水冷であれば室温程度とかなり低い温度での動作が可能になるようです。
Cinebench R23を動作させた際の温度もかなり低く、設定はCurve Optimizerや電圧調整を加えてパフォーマンスを最優先した設定になっていますが、殻割後の温度は65℃程度に抑えられています。殻割前の温度は約90℃だったことから25℃近く温度が低くなっています。また、消費電力も殻割前は310W程度で動作していましたが、殻割後の電力は290Wと性能が同じでありながら消費電力の低下も見られています。


低くなったCPU温度を活かすために使える範囲で最大限のオーバークロックを加えた状態でのベンチマーク結果も明らかにしていますが、動作クロックを最大5625 MHzにオーバークロックした状態では定格状態に対してCinebench R23では約9%の性能向上が確認され、Counter Strike 2でのフレームレートは約3%向上しています。ただ、背反として消費電力が大きく上がっており、Cinebench R23では定格の201Wから348Wと約73%、Counter Strike 2では109Wから161Wと48%増えているため、動作クロックを引き上げることで電力効率は大きく落ちるほか、その性能向上幅も極めて限られているようです。
なお、殻割を行った場合、保証などが効かないほか殻割時にCPUを壊してしまうリスクがありますが、今回の結果から見えることは殻割により温度が大きく低下すると言うより、Ryzen 9 9950X3Dは定格状態でも限界性能にかなり近い状態で動いていると言え、適切な冷却を与えていればピーク性能に近い状態であるためとにかく高いパフォーマンスを求めるユーザーにとっては非常に魅力的なCPUであると言えそうです。(ただ、入手性がかなり悪いのが最大のネックですが・・・)
Delidding the Ryzen 9950X3D makes it Even Stronger | der8auer
コメント
コメント一覧 (1件)
AM5になってからずっと、
これAM4とクーラーとか併用できるようにしたいがために
AM5のIHSが厚すぎるんじゃないのかと思ってる。
将来より積層を見越して、とかの可能性も無くはないけど、
だとしても熱の面でAM5貧弱すぎる。。