Ryzen 9 9950X3D が正式発表。ゲーミング性能はRyzen 7 9800X3Dに劣る？

Ryzen 9 9950X3D が正式発表。ゲーミング性能はRyzen 7 9800X3Dに劣る？

AMDはCES 2025の基調講演にて、3D V-Cacheを搭載するRyzen 9000X3Dシリーズの最新モデルかつ最上位モデルとしてラインアップされるRyzen 9 9950X3DならびにRyzen 9 9900X3Dの2モデルを正式発表しました。

Ryzen 9 9950X3Dは最上位モデルとして位置づけられる3D V-Cache搭載CPUで、通常版Ryzen 9 9950Xと同じく8コア内蔵のCCDを2つ搭載することで16コア32スレッド構成となっています。動作クロックについてはRyzen 9 9950Xと同じく最大5.7 GHzで動作となり、キャッシュ容量は各コアに1MBのL2キャッシュ、各CCDに32MBのL3キャッシュに加え、片側のCCDには64MBの3D V-Cacheも搭載しています。これにより合計144MBのキャッシュ容量を実現しています。

スペックの概要としては先代のRyzen 9 7950X3Dとほぼ変わらないのですが、大きな違いとなっているのがTDPで、Ryzen 9 7950X3DではTDPが120Wに抑えられていたのに対して、Ryzen 9 9950X3Dでは通常版と同じくTDPが170Wのままになっています。これは、Ryzen 9 9950X3D含む、Ryzen 9000X3Dでは3D V-CacheをCCD上面から下に位置するよう変更したことで放熱性が改善し、最大動作温度の向上とそれに伴う動作クロック向上によるものと見られています。

ハイエンドモデルとなるRyzen 9 9900X3Dは6コアが有効化されたCCDを2基搭載することで12コア24スレッド構成となっています。同モデルでは動作クロックは最大5.5 GHzでキャッシュ容量は140MBで、TDPはRyzen 9 9900Xと同じく120Wに据え置かれています。

Ryzen 9 9950X3Dに関しては動作クロック向上にも期待されているため、Ryzen 7 9800X3Dを超えるゲーミング性能にも期待がかかっていましたが、AMDがリリースしたゲーミング性能の比較によると、Core Ultra 9 285Kに対して平均20%上回る性能を記録しているとのことです。この比較結果はRyzen 7 9800X3DとCore Ultra 9 285Kを比較した結果とほぼ同じ性能差になっています。

先代のRyzen 9 7950X3Dとの比較では、Ryzen 9 9950X3Dは約8%上回る性能を記録しているとのことです。この向上率はRyzen 7 7800X3DとRyzen 7 9800X3Dで見られた数値とほぼ同じになっています。

ゲーミング性能に関して、Ryzen 9 7950X3DはRyzen 7 7800X3Dに対して5%ほど劣っていましたがそのRyzen 9 7950X3Dに対してRyzen 9 9950X3Dでは8%向上となるとRyzen 7 9800X3Dに対してもそのまま5%ほど劣る可能性が高くなっています。そのため、最高のゲーミング性能を重視する場合はRyzen 7 9800X3Dがベストなオプションとなりそうです。

ただ、Ryzen 9 9950X3Dでは16コア32スレッドと言う多コア構成により、レンダリングや動画編集などコンテンツ制作での性能が非常に高くなっています。例えばRyzen 7 7950X3Dに対しては20個のアプリの平均で約13%の性能向上、Core Ultra 9 285Kに対しては平均10%向上を記録しています。そのため、コンテンツ制作なども行いつつ、ゲーミング性能も重視したいオールラウンダーなCPUと言う意味ではRyzen 9 9950X3Dは魅力的になっています。

なお、このCES 2025の発表ではRyzen 9 9950X3DとRyzen 9 9900X3Dの価格は明らかにされていませんでした。ただ、Ryzen 9 9950XやRyzen 9 9900Xの上位モデルとして位置づけられるため、前者が12万円ほど、後者が9万円ぐらいで販売されると考えられます。また、発売時期については2025年Q1（1~3月）を予定しているため、リーク通り1月末ごろに発売される可能性がある一方で、もう少し遅れる可能性もありそうです。