AMD Ryzen 7000X3Dの焼損原因はEXPOメモリー。通常版もリスクあり

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AMDのRyzen 7000X3DとASUS製マザーボードを組み合わせた構成で、CPUとマザボが焼損する不具合が数件報告されていますが、どうやらRyzen 7000X3DやASUS製に限らずすべてのRyzen 7000とマザーボードで起き得る現象で、原因の一つがEXPOである可能性が挙げられているようです。

目次

CPUが焼損する不具合はすべてのRyzen 7000 CPUで起き得る現象。EXPOのプロフィール次第でCPU許容電圧を超える可能性

AMD Ryzen 7000 Burning Out: Root Cause Identified, EXPO and SoC Voltages to Blame | Tom’s Hardware

AMDのRyzen 7000X3D、特にRyzen 7 7800X3DなどとASUS製マザーボードでCPUとマザーボードが焼損する不具合がここ最近、複数件報告されていましたが、Toms Hardwareが業界関係者から入手した情報によると、この不具合はASUS製マザーボードに限らず、すべてのマザーボード、そしてCPUについてもすべてのRyzen 7000シリーズCPUで起き得る問題である事が明らかになったようです。

不適切な電圧設定で温度センサーが破損。その後はRyzen 7000から導入された『95℃』で制御する機能が仇に・・・

匿名希望の業界関係者によると、Ryzen 7000 CPUが焼損してしまった理由はSoCへの電圧が規定より高い値で流れてしまったことが挙げられるとのことです。このSoC電圧が規定を超えてしまった理由についてはBIOS設定から電圧オフセットを変える事で発生する他、EXPOメモリーオーバークロックプロフィールの設定次第で、SoC電圧が規定を超えるケースがあるとのことです。

ただ、SoC電圧が規定を超えるとCPUがすぐに焼損するという訳ではないようですが、これが原因で連鎖反応的に故障へ突き進んでいくようです。

まず、SoC電圧が規定を超えるとCPUに内蔵されている複数の温度センサーの内、一部が損傷してしまうとのことです。これによりCPUが熱暴走を検知しTDPを下げる機能や、強制シャットダウンする機能が適切に動作しなくなります。

Ryzen 7000シリーズではCPU温度が95℃を超えない範囲まで動作クロック(TDP)を引き上げてパフォーマンスを向上させる機能が搭載されていますが、この機能の根幹はCPUに内蔵されている複数の温度センサーです。

ただ、温度センサーが適切に動作しない状態でCPUに負荷がかかると、CPUは95℃を超えていても動作クロックを下げずに動作し続ける他、ホットスポットなども見逃してしまうため、結果的にCPUが焦げたり歪んだり物理的な破壊に繋がってしまうようです。

Ryzen 7000シリーズが壊れる簡単な流れ・・・

  1. EXPOやユーザー設定でSoC電圧が規定を超える。
  2. 過大な電圧によりCPUの温度センサーの一部が損傷する。これによりCPUの熱暴走を防止する機能が無効化される。
  3. CPUに負荷を掛けた際に、ホットスポットなどが許容温度が超えても検知が出来ず、高TDPで動作し続ける
  4. CPUが熱によってハンダが溶け一部分が膨張したり、マザボのピンやCPU側のパッドが焦げたりする

なお、SoCの電圧については1.25Vまでが安全圏内で、1.4Vを超えると上記の様な現象が発生する可能性が高まるようです。ただし、1.4Vを超えた瞬間に起きる訳ではなく、これはシリコンガチャ次第のようです。

AMDでは不適切な電圧設定を防ぐファームウェアを準備中。登場時期は不明のためそれまではEXPOは無効化を推奨。

AMDではこの問題を防ぐためにSoCの電圧を制限するBIOSファームウェアなどを準備中とのことです。これにより、ユーザーやEXPOプロフィールががCPUが故障するレベルまで電圧を上げる事を防ぐ事が可能になるとのことです。ただし、現在EXPOのルール作りやSoC電圧の設定値などをマザーボードメーカーやメモリーメーカーなど含めて協議しているようですので、登場時期がいつになるのかは不明です。

なお、SoC電圧に制限を課してもマザーボードメーカーがオーバークロッカー向けに電圧設定などを解放する可能性は残されているのですが、Ryzen 7000シリーズについては電圧関係がセンシティブと言うのが今回の事例で明らかになっていますので、素人は触らない方が賢明です。

また、今回のCPU焼損の原因の一つにEXPOプロフィールの適用が挙げられているため、不適切な電圧設定を防ぐBIOSアップデートが反映されるまではEXPOは無効化する事が推奨されます。

ちなみにEXPOはオーバークロックの一種であるため、EXPO有効の状態で今回の様にCPUが損傷しても保証対象外となるようです。(ただし、ASUSなどではBIOSの不具合でもあるとして、特例で保証修理を受け付けたようです)


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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。
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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 『EXPOはオーバークロックの一種であるため、EXPO有効の状態で今回の様にCPUが損傷しても保証対象外となるようです。』

    知らんかった・・・・
    最近EXPO ONにすると起動しなくなったのでOFFにしてたんだけど、
    『既に・・・』って事なのか?

  • ユーザーとしては
    2、過大な電圧によりCPUの温度センサーの一部が損傷する。これによりCPUの熱暴走を防止する機能が無効化される。
    の損傷チェックツールが欲しいところ…

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