AMDの3D V-Cacheを搭載するRyzen 7 5800X3DではCPUの破損を防ぐためにオーバークロック機能は無効化されていますが、MSI Centerをはじめとする各社マザーボードに付属されるオーバークロックソフトでこのオーバークロック無効化をバイパスし、さらにCPUを破損させるまでオーバークロック可能なバグが存在しているようです。
MSI Centerなどマザーボード付属ソフトで、Ryzen 7 5800X3Dを破損させるまでオーバークロックが可能なバグが存在。
AMDでは3D V-Cacheを搭載するRyzen 7 5800X3Dを2022年に発売、このCPUではZen 3ダイの上に64MBのL3キャッシュを追加で搭載する事でL3キャッシュ容量を96MBに増やし、ゲーミング性能を大幅に向上させています。この技術は2023年に発売されたZen 4アーキテクチャーを採用するRyzen 9 7950X3Dや7900X3D、Ryzen 7 7800X3Dなどにも引き継がれていますが、弱点としてCPUダイに追加でキャッシュダイを重ねている関係からCPUの放熱に影響を与え、CPU自体は低い動作クロックで動作させる必要があります。
そのため、Ryzen 7 5800X3Dではオーバークロック機能は無効化され、最大コア電圧も通常のRyzen 7 5800Xで設定されていた1.5Vから1.35 Vへ引き下げられています。
しかし、Igor’s LABがこのCPUの制約を完全に無視する不具合がMSI Centerなどマザーボードに付属されるオーバークロックソフトに存在する事を発見したようです。
この不具合はオーバークロックを行いたいユーザーにとっては朗報と言えそうですが、通常のオーバークロック機能にはCPUの破損を防ぐためある一定の電圧以上には設定が出来ない様にされていますが、このMSI Centerではすべての安全制限をバイパスし、CPUが破損してしまう設定値の入力と実行が可能であるとのことです。なお、このバイパスはMSI Centerだけではなく、Asus、Gigabyte、ASRockソフトウェアでも発見されているようです。
Igor’s LABでは実際にRyzen 7 5800X3Dでこのバスの存在を確認したようで、マザーボードではMSI B550 Unifyが使われていました。このマザーボードではBIOS上ではすべての電圧設定はブロックされ、ユーザーが設定の変更が出来ない様にされていたのですが、MSI CenterではこのBIOS設定を完全に無視し、オーバークロック設定の変更が可能なほか、詳細設定ではCPUの電圧設定も可能な状態になっているとのことです。
また、このCPU電圧については制限なく入力が可能でRyzen 7 5800X3Dの上限値である1.3V以上の値の入力が可能だった上、に設定する事が可能だった上、1.3Vを超える電圧を入力すると実際に反映されたようで即座にシステムがクラッシュ、マザーボード上のデバッグLEDではCPUが正しくセットされていない事を示す『00』が表示され、たった数秒でRyzen 7 5800X3Dを故障してしまったとのことです。
この不具合についてRyzen 7 5800X3Dだけではなく、Ryzen 9 7950X3Dや7900X3DそしてRyzen 7 7800X3Dでも同様の様で、実際にオーバークロックを行うYoutuber、Der8aur氏もソフトウェア側から電圧設定を変更してRyzen 9 7950X3Dを故障させてしまっている事から、これからRyzen 7000X3Dを購入し、オーバークロックを行おうとしている人は注意が必要と言えます。
この不具合についてはAGESAアップデートやチップセット、ソフトウェアアップデートで修正が必要と見られていますが、現時点でこの不具合を防ぐアップデートがいつ提供されるかは明確になっていないため、3D V-Cacheを搭載するRyzenを持っているユーザーはオーバークロックや電圧設定などは触らない方が賢明と言えそうです。
コメント
コメント一覧 (2件)
読んだかぎり、x3d関係無くryzenすべてに影響がありそうな、、、。悪用したウィルスが出ないか心配です。
これ不具合というより某オーバークロッカーの清水氏がオブザーバーについてるようにユーザーに対して自由なOCを提供しているだけの話のような?