AMD Ryzen 5 9600Xのベンチマーク登場。シングルはCore i9-14900KS超え、マルチはCore i5-14600Kに迫る
AMDでは2024年7月末にZen 5アーキテクチャーを採用するデスクトップ向けCPUのRyzen 9000シリーズの発売を予定していますが、既にレビューサンプルが出回り始めているのかここ最近このCPUに関するベンチマーク情報のリークが続いていますが、今回Ryzen 9000シリーズの中でミドルレンジモデルとして投入される、Ryzen 5 9600XのGeekbench 6ベンチマークが登録されている事が発見されました。
Ryzen 5 9600Xは6コア12スレッドで構成され、L2キャッシュは1コアあたり1MBで合計6MB、L3キャッシュは32MBで合計38MBのキャッシュ容量を持っています。動作クロックはベースが3.9 GHz、ブースト時の最大が5.40 GHzに設定されています。
先代のRyzen 5 7600Xとの変更点としてはベースの動作クロックが800 MHzほど下げられていますが、ブースト時のクロックは100 MHzほど上がっています。また、TDPが大きく変わっており、今まで105W、ブースト時の最大消費電力を示すPPTは142Wに設定されていましたが、Ryzen 5 9600XではTDPは65Wに引き下げられ、PPTも88Wになっています。
Geekbench 6で計測されているRyzen 5 9600Xは過去に登場しているRyzen 9 9900Xと同じくASUS製マザーボードのROG CROSSHAIR X670E HEROで計測が行われており、メモリーはDDR5-6000MT/sと言う事で標準的な構成で計測が行われています。
結果としてはシングルコアが3284ポイント、マルチコアが14594ポイントを記録しています。
CPU | シングルコア | マルチコア |
---|---|---|
Core i9-14900KS | 3189 | 21890 |
Core i9-14900K | 3088 | 20881 |
Core i9-13900K | 2982 | 20183 |
Ryzen 9 9900X | 3401 | 19756 |
Ryzen 9 7950X3D | 2918 | 19608 |
Ryzen 9 7950X | 2941 | 19277 |
Core i7-14700K | 2945 | 19269 |
Ryzen 9 7900X | 2925 | 17849 |
Ryzen 9 7900X3D | 2825 | 17462 |
Core i7-14700 | 2710 | 16437 |
Ryzen 7 9700X | 3312 | 16341 |
Core i5-14600K | 2798 | 15881 |
Ryzen 7 7700X | 2912 | 15272 |
★Ryzen 5 9600X | 3284 | 14594 |
Core i5-14600 | 2575 | 13413 |
Ryzen 5 7600X | 2868 | 12825 |
Ryzen 5 9600Xのシングルコア性能は先代のRyzen 5 7600Xと比べると15%向上しており、Core i9-14900KSを3%上回る性能を記録しているなどミドルレンジながらシングルコア性能は非常に高くなっています。
Ryzen 5 9600XではRyzen 5 7600Xに対してTDPやPPTなど消費電力関連の設定は40%ほど減らされた値になっていますが、マルチコア性能では14%向上を記録しており、ワットパフォーマンスで言うと83.8%向上とほぼ2倍上がっている計算になります。
他のCPUと比較すると、先代の上位モデルであるRyzen 7 7700Xに対しては4.5%、Core i5-14600Kには8%及ばない性能になっていますが、電力効率の高さは圧倒的と言え、消費電力は上がりますが、PBOなどを有効化すればこれらのCPUと同等レベルの性能を確保することは可能になると言えそうです。
Ryzen 5 9600XはCPU性能としては6コアであるため、デフォルト状態では6P+8EのCore i5-14600Kを性能面で超える事は出来ていません。ただ、消費電力はフルロード時でも88Wと非常に低く、Core i5-14600Kに対してワットパフォーマンスは156%優れるなど驚異的な電力効率を発揮しています。そのため、絶対的な性能を求めるのであればCore i5-14600KやCore i7-14700などが良いかもしれませんが、発熱と消費電力の低さなどバランスを重視するユーザーにとってはRyzen 5 9600Xの電力効率の高さはかなり魅力的と言えそうです。
AMDのZen 4ではIntelに勝つためなのかPBOがデフォルトで有効化されるなど電力効率を無視した出来栄えでしたが、今回のZen 5ではアーキテクチャーを刷新などで再び電力効率を重視した設計に戻っている様です。そのため、性能が高い代わりに電力ゴリ押しなIntelとは差別化が図れている点はユーザーとして選択肢が増えるので嬉しい方針変更と言えそうです。
ASUS System Product Name (AMD Ryzen 5 9600X 6-Core Processor) | Geekbench 6
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