AMD Ryzen 5 9600XのCPU-Zベンチマーク結果が登場。ES品でシングルコア性能は約14%向上、OC耐性も良好?
AMDでは2024年7月にZen 5アーキテクチャーを搭載したRyzen 9000シリーズの発売を予定していますが、今回このRyzen 9000シリーズの中でエントリー向けモデルとなるRyzen 5 9600XのES品を5.7 GHzにオーバークロックした状態で計測されたCPU-Zベンチマークの結果が登場しました。
Ryzen 5 9600Xは6コア12スレッド構成で、L2キャッシュは各コアに1MBで計6MB、L3キャッシュは32MB搭載し、動作クロックはベースは3.9 GHz、ブースト時は最大5.4 GHzに設定されます。ただ、今回ベンチマーク計測が行われたのはステッピングが0と記載されていることから、初期段階のES品で、ユーザー側で動作クロックが全コア5.7 GHzで動作する様にオーバークロック設定が加えられた状態でベンチマークが計測されています。
そんな設定で計測されたRyzen 5 9600XのCPU-Zベンチマーク結果はシングルコアが871ポイント、マルチコアが7097ポイントを記録しています。
CPU | シングルコア | マルチコア |
---|---|---|
Ryzen 5 9600X (ES 5.7 GHz OC) | 871 | 7097 |
Ryzen 9 7950X | 767 | 15824 |
Ryzen 5 7600X | 765 | 6195 |
先代のRyzen 5 7600Xに対して、Ryzen 5 9600Xはシングルコア、マルチコア共に約14%の性能向上を記録していますが、Ryzen 5 7600Xは最大5.3 GHzで動作する上に、今回のCPUはオーバークロックされているため参考レベルと言えます。
ただ、今回のRyzen 5 9600Xと同じ5.7 GHzがブーストクロックに設定されているRyzen 9 7950Xではシングルコアが767ポイントであるため、Ryzen 5 9600Xと比較すると約13.6%の性能向上が記録されています。
この約13.6%の性能向上はAMDがComputex 2024で発表したZen 5のIPC向上率の16%を下回っていますが、今回計測に用いられたCPU自体、初期のES品であることに留意する必要があります。また、AMDがZen 4発表時にはCPU-ZのシングルコアはZen 3に対して1%程度の性能向上しか記録していないと明らかにするなどCPU-Z自体AMD製CPUの性能を十分に発揮できていない可能性もあるため、今後登場するであろう他のベンチマークでどういった傾向を示すのか注視する必要がありそうです。
なお、今回のベンチマークでは全コア動作状態で5.7 GHzにオーバークロックが行われていますが、先代のRyzen 5 7600Xでは電圧調整などを行っても全コア動作の場合は5.5 GHz程度が限界でオーバークロック耐性はかなり低いと言われていました。しかし、Ryzen 5 9600XではES品で既に全コア5.7 GHzでCPU-Zを完走できていることから、市販版ではより高い性能に加え、Ryzen 5 7600Xを大きく超えるオーバークロック耐性も見られるかもしれません。
AMDのデスクトップ向けZen 5にあたるRyzen 9000シリーズは発売まで1か月半と言う事で、徐々にこういったベンチマークのリークが登場すると予想されますが、今のところAMDの発表に近しい数字がリークのベンチマークででも登場しているため、実際にIPCの向上率は16%程度で落ち着く可能性が高そうと言えます。あとはマルチコア性能のほかにゲーミング時の性能も気になるところですが、この辺りも近々明らかになると言えそうです。
オーバークロック耐性については少なくともRyzen 5 9600Xはかなり高そうで、TSMC 5nm系統である4nmを使ったことでよりチップの安定性が増している可能性があります。ただ、ここで調子に乗って動作クロックを追求するとIntelの様にCPUが劣化するなど不具合に見舞われる可能性もあるため、Ryzen 9000シリーズではRyzen 7000シリーズに対して動作クロックがほとんど据え置きになっていると言えそうです。
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