AMD Ryzen 5 9600XのAIDA64の結果が登場。L1とL2キャッシュの帯域幅が2倍高速化
AMDはZen 5アーキテクチャーを採用したデスクトップ向けCPUのRyzen 9000シリーズを2024年7月末をめどに発売する計画ですが、今回この中で最もエントリーレベル向けとなるRyzen 5 9600Xを用いたAIDA64ベンチマーク結果が登場し、Computex 2024で改善されたと言われているL1やL2キャッシュの帯域幅に関する性能が明らかになりました。
今回登場したのはRyzen 9000シリーズの中でエントリーモデルのRyzen 5 9600Xで、Zen 5コアを8コア備えたCCDを1基搭載し、その内6コアが有効化されたモデルになっています。動作クロックはベースが3.9 GHz、ブースト時は最大5.4 GHzで動作します。
キャッシュ容量はL1は1コアあたり48KBのデータキャッシュと32KBの命令キャッシュを備えるなどZen 4に対してデータキャッシュが16KB増えています。L2キャッシュとL3キャッシュはそれぞれ6MBと32MBでZen 4から変わりはないのですが、AMDではこのキャッシュ関係が最大2倍高速化されたことをComputex 2024ではプレゼンテーションの中で明らかにしていました。
AIDA64のメモリーベンチマークの計測ではES品が用いられているため、製品版と性能が異なる可能性がありますが結果は以下の通りになっています。
メモリー階層 | Ryzen 5 9600X | Ryzen 5 7600X |
---|---|---|
L1キャッシュ (読み取り/書き込み/コピー/遅延) | 3756.4 / 1884.4 / 3755.9 / 0.8ns | 2029.6 / 1026.9 / 2048.1 / 0.7ns |
L2キャッシュ | 1874.6 / 1795.1 / 1859.7 / 2.8ns | 1028.5 / 1017.0 / 1017.6 / 2.6ns |
L3キャッシュ | 782.08 / 771.46 / 772.32 / 10.1ns | 847.82 / 854.86 / 822.01 / 9.7ns |
L1キャッシュ、L2キャッシュ共にRyzen 5 9600XはRyzen 5 7600Xに対して80%ほど早い読み書き性能を発揮する一方で、レイテンシーが若干増えるなどトレードオフはあるようです。ただ、AMDがプレゼンテーションで明らかにした通り、L1とL2キャッシュの帯域幅は倍増しているため、ゲーミングなどキャッシュの速さも重要になるワークロードにおいてはパフォーマンスの向上が期待できると言えそうです。
Zen 5アーキテクチャーの技術的な説明はComputex 2024では明かされていませんでしたが、少なくともプレゼンテーション通りキャッシュ系の高速化はES段階で実現できている事が確認できます。そのため、キャッシュの性能が影響しやすいと言われているゲーミング時ではRyzen 9000シリーズは優れたパフォーマンスが期待できそうです。
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