AMDでは2023年3月以降に薄型ノートPC向けAPUのRyzen 7040U、Phoenix APUを投入予定ですが、今回このPhoenix APUの中でミドルレンジモデルのRyzen 5 7640UのCPUベンチマークが登場しました。
薄型ノートPC向け、Ryzen 5 7640UのCPUベンチマーク登場。CPU性能はCore i5-1340Pに5%劣るもGPU性能と電力効率に期待?
AMDは、ノートPC向けRyzen 7040 Phoenix CPUラインナップとして、現在はハイエンドやゲーミングノートPC向けのHSおよびHシリーズのみ市販投入が行われていますが、近い内に薄型ノートPC向けのRyzen 7040Uシリーズを発売予定です。
今回、この薄型ノートPC向けのRyzen 7040Uシリーズについて、ミドルレンジモデル向けとなるRyzen 5 7640UのGeekbenchベンチマークが登場しました。
AMD Ryzen 5 7640Uは、CPU側にはZen 4、GPU側にはRDNA 3を備えたAPUとなっており、CPU側には6コア12スレッド構成で、ベースが3.5 GHz、ブーストが4.9 GHzで動作します。キャッシュはL2は6MB、L3は16MB備え、合計24MBのキャッシュ容量を持ちます。GPU側にはRDNA 3アーキテクチャを採用するRadeon 760Mグラフィックスを備え、Compute Unitは8基搭載されており、高いグラフィックス性能が期待できる設計になっています。このAPUは薄型ノートPCでの搭載を想定しているため、TDPは15~28Wのレンジで設定が可能な省電力モデルになっています。
Geekbenchに掲載されているのはMayan-PHXと呼ばれる評価用マザーボードに搭載された状態でテストが行われており、OSにはWindows 11、メモリーは16GBとなっていますが、これが高速なLPDDR5Xか通常のLPDDR5なのかは不明です。また、TDPについても不明であるため、ノートPCのOEMが選択するTDPによってはスコアが大幅に高くなったり低くなったりする可能性があります。
Ryzen 5 7640UのGeekbenchスコアはシングルコアが1869pt、マルチコアが8853ptを記録しています。
[visualizer id=”26348″ lazy=”no” class=””]
このスコアは前世代のRyzen 5 6600Uのシングルコアで約1600ポイント、マルチコアで約5500ポイントに対して60%の高い性能が得られます。また、シングルコアでは上位でTDPも高いRyzen 9 6900HXをも上回るスコアになっていますがマルチコアではコア数とスレッド数の関係から、Ryzen 5 7640Uが15%劣る結果になっています。
競合のIntelに対してはCore i5-1240PやCore i5-1340PがミドルレンジモデルでRyzen 5 7640Uと同じクラスに位置するCPUになりますが、シングルコア性能に関してはCore i5-1240PやCore i5-1340Pを上回る性能を記録しており、Core i5-1240Pに対しては約1.5倍程度の性能になっています。一方で、Core i5-1340Pに対しても13%上回るスコアになっています。
一方でマルチコアではCore i5-1240PとCore i5-1340Pが4P+8Eの10コア構成である事からRyzen 5 7640UはCore i5-1240PやCore i5-1340Pに対しては5%劣るスコアになっています。
AMDのRyzen 5 7640Uについては強力な内蔵GPUを組み合わせた状態で最大TDPは28Wという事になっていますので、CPU単品で言うとIntelのCore i5-1340Pに対して性能面では低いですが、CPU単体での消費電力は低く、電力効率の観点ではCore i5-1340Pを大きく上回っていると見られています。
このRyzen 5 7640UをはじめとするRyzen 7040Uシリーズでは低消費電力でありながら、強力な内蔵GPUを搭載しているため、薄型ノートPCと言う筐体でオフィス用途から軽いゲームまで対応できる万能なノートPCが各社から発売される事が期待されます。
コメント