NVIDIAは2022年9月20日に次世代GPUとなるAda Lovelaceアーキテクチャーを採用するGeForce RTX 4000シリーズですが、価格はRTX 4090が1599ドル、RTX 4080が899ドルまたは1199ドルと高価な設定となっていますが、この価格設定にはNVIDIAの戦略ミスが大きく反映されてしまっているようです。また、今後の電源ユニットの出来次第でTITANなど消費電力が600Wを超えるモデルが登場するようです。
NVIDIA GeForce RTX 4000シリーズ
NVIDIAはGTC2022の最終日に当たる2022年9月20日(日本時間9月21日)にAda Lovelaceアーキテクチャーを採用するGeForce RTX 4000シリーズの発表を行いました。
このGeForce RTX 4000シリーズでは最上位モデルのRTX 4090からRTX 4080が2モデルの合計3モデル展開となっていますが、RTX 4090が北米価格で1599ドル、日本円では298,000円、RTX 4080 16GBが1199ドル、日本円で219,800円、RTX 4080 12GBが899ドル、日本円で164,800円からと言う高価な価格設定となっていますが、30万円に迫るようなRTX 3090 Tiが15万円でも売れないというご時世になぜここまで高価な価格設定を行ったのかや今後さらに用意されているウルトラハイエンドなRTX 4000シリーズの情報がMoore’s Law is Deadで配信されています。
RTX 4000 Reveal Analysis: What’s Nvidia thinking?! Will RDNA 3 be any better? – YouTube
製造コストはRTX 3000シリーズに対して1.5倍。RTX 4070が消えた理由にも。
NVIDIAではGeForce RTX 4090を1599ドル、RTX 4080 16GBが1199ドル、12GBが899ドルから販売すると公式サイト上では発表されています。ただ、グラフィックスカード市場はRTX 3080が750ドルでも売れないという冬の時代を迎えているにも関わらずNVIDIAが強気の価格設定でRTX 4000シリーズを販売する背景にはどうやらコストの問題が絡んでいるようです。
NVIDIAはRTX 4000シリーズについてはRTX 3000シリーズが発売するよりも前に開発が開始されており、RTX 4000シリーズ各モデルの仕様検討は丁度マイニングブームでGPUが飛ぶように売れていた頃にされてい2021年初旬に行われたとの事です。
そのため、NVIDIAはグラフィックスカードは2022年もどれだけ高くても性能が高ければ売れるという前提の元にRTX 4000シリーズの仕様は決定され、実際に性能面では1.8万コアのCUDAコアを搭載するなど性能は非常に高くなっています。
しかし、その反面コストは大幅に上がってきており、複数のソースによると同一ティアの製品に対してRTX 4000シリーズはRTX 3000シリーズに対して製造コストが1.5倍にまで膨れ上がっているとの事です。
この大幅なコスト増加が、今回のRTX 4000シリーズの強気な販売価格に反映されているようです。強気といいつつも、これぐらいの価格設定でないと最低限のマージンでさえも取れないので内心は弱気のようです。
また、このコスト増が本来であればRTX 4070として発表されるはずだったRTX 4080 12GBが生まれた理由にもなっており、RTX 4080 12GBについてはRTX 3070に対して1.5倍、つまりRTX 3080を超える製造コストになっており、RTX 3070に近い価格での販売は絶対に行えない状態だったようです。そのため、ティアを1つ上げて899ドルと言う価格で販売しても許されそうなRTX 4080としてラインアップしたそうです。
もっとパワフルなRTX 4000シリーズが準備中。出ない理由は電源ユニットが耐えられないから?
NVIDIAではRTX 4000シリーズの発表会で、搭載されるAda Lovelaceが最大3 GHzを超える動作クロックにまでオーバークロックが可能と発言をしていますが、NVIDIAではRTX 4090の660Wを超えるような消費電力と性能を持つRTX 4090 TiやTITANなどを準備しているとの事です。
ただ、NVIDIAとしてはこれらのモデルでは消費電力が高すぎるため12VHPWRを搭載する電源ユニットでも品質の悪いものでは故障を引き起こす事を心配しているようです。そのため、12VHPWRを搭載する電源ユニットが広く普及かつ信頼性の高い製品が一定数登場すればこれらの超高性能モデルを発売する可能性があるようです。
RTX 4000シリーズについては2021年頃に出現していたリークから既に消費電力度外視の超高性能モデルになるという話がありましたが、確かに2021年の時の様にGPUは20万円近くするのが当たり前のような時代であれば、今回のRTX 4000シリーズの様な性能があれば20万円を超えるような価格でも需要はあったかもしれません。
ただ、2022年現在はアメリカでは前年比で8%を超えるようなインフレ、エネルギーコストも世界各国で上がっており、GPUの価格はマイニングブームの終焉で大幅な価格下落が起きているため、例え性能が高くても20万円を超え、消費電力が電子レンジを超えるようなGPUは支持を得られない状態に逆戻りしています。
この辺りは、NVIDIAは2021年Q2の決算発表時に『ゲーム分野の需要は並外れて強く、引き続き供給を上回ると見られます。』とコメントしており、このノリでRTX 4090の仕様策定を行ったと考えると価格や消費電力、CUDAコアなどの仕様は何となく納得はいきます。結果論ですが、NVIDIAは当時、あまりにも楽観的に考えだったのかもしれません。CMPも当時バカ売れすると言っていたし・・・
コメント
コメント一覧 (1件)
過去の発言に注目するのは参考になりますね。勉強になります。
この楽観的な計画で、TSMCの生産キャパを確保しているという話もあったから値崩れしてくるのでしょうか。
RADEON7000シリーズも自信満々にブツけてくるようなので価格競争も期待したいw
マイニングバブル以前の水準に戻ってほしいですね。