Sabrentは2020年にPCIe Gen4.0対応NVMe SSDであるRocket 4 Plusシリーズ発売し、2022年にNANDフラッシュを最新化したマイナーチェンジ版を発売しましたが、今回Sabrent社からSabrent Rocket 4 Plus 2TBモデルのサンプル品をご提供を頂きましたので、使用感やベンチマークなどレビューを行っていきたいと思います。
今回のレビューはSabrent社からサンプル品の提供を受けています。
PCIe Gen4.0対応、NVMe SSD
今回紹介するのはSabrent社のハイエンドNVMe SSDであるRocket 4 Plusシリーズの2TBモデルで、このNVe SSDは2020年に発売がされ、PCIe Gen 4.0に対応するNVMe SSDになっています。また、NVMe SSDのパフォーマンスに直結するコントローラにはPhison E18が搭載されており、2TBモデルでは公称値が読込7000MB/s、書込6600MB/sと非常に高い速度での動作を実現しています。
注意点ですが、今回紹介するRocket 4 Plusは2022年3月頃にマイナーチェンジが行われており、最新モデルではNANDフラッシュやファームウェアに変更が加えられており、公称値が読込7400MB/s、書込7000MB/sへの強化がされています。既にAmazonで販売されているものではマイナーチェンジ版となるため、今回紹介するベンチマーク結果以上のパフォーマンスになると見られています。
今回はタイミング的にマイナーチェンジ前の商品でのレビューとなります。
スペックと価格
製品 | Rocket 4 Plus 1TB | Rocket 4 Plus 2TB | Rocket 4 Plus 4TB |
---|---|---|---|
容量 | 1000 GB | 2000 GB | 4000 GB |
フォームファクタ | M.2 2280 | M.2 2280 | M.2 2280 |
インターフェイス | PCIe 4.0 x4 / NVMe 1.4 | PCIe 4.0 x4 / NVMe 1.4 | PCIe 4.0 x4 / NVMe 1.4 |
コントローラー | Phison PS5018-E18 | Phison PS5018-E18 | Phison PS5018-E18 |
DRAM | 1GB DDR4 | 2GB DDR4 | 4GB DDR4 |
NAND | Micron 176L TLC | Micron 176L TLC | Micron 176L TLC |
シーケンシャルリード | 7,400 MB/s | 7,400 MB/s | 7,400 MB/s |
シーケンシャルライト | 6,100 MB/s | 7,000 MB/s | 7,000 MB/s |
ランダムリード | 800,000 IOPS | 1,000,000 IOPS | 1,000,000 IOPS |
ランダムライト | 1,000,000 IOPS | 1,000,000 IOPS | 1,000,000 IOPS |
TBW | 1275 TBW | 2550 TBW | 2550 TBW |
保証期間 | 5年(登録時) | 5年(登録時) | 5年(登録時) |
現在、Rocket 4 Plusは容量が1TB、2TB、4TBまで様々な容量モデルが存在しており、どのモデルでも読込性能は7000MB/s超えを実現しています。
テスト環境
各種ベンチマークを行っていく前に、テスト機材の構成について紹介します。
テスト機材 | |
CPU | AMD Ryzen 9 5950X |
マザーボード | ASUS TUF Gaming B550 |
メモリー | DDR4-3200 32GB |
グラフィックカード | NVIDIA GeForce RTX 3080 (10GB) |
OS | Windows 11 Pro 64bit (21H2) |
テスト機材についてケースはFractal DesignのDefine R6を水冷を搭載した機材になっています。前面に280mmラジエーター、後面上部に140mmラジエーターを備えている関係上、通常の空冷マシンに比べるとフロントラジエーターで温められた空気がケース内に充満するためNVMe SSDの冷却には不利な環境になります。
また、Rocket 4 Plusには純正のヒートシンク『Rocket NVMe Heatsink』を装着しての実施となります。
ベンチマーク結果
ピーク性能:CrystalDiskMark
Crystal Disk Markにおいては読み取り、書き込み共に公称値に近い値を記録しています。読み取りはシーケンシャルライトで7061MB/s~7179MB/sを記録、シーケンシャル書き込みでは6602MB/s~6764MB/sを記録しており読み込み、書き込み共にPCIe Gen 4.0 x4レーンでの理論上の転送速度である8000MB/sに近い値になっています。
容量:AS SSD Benchmark
AS SSD BenchmarkにおいてもCrystal Diskmarkに近い結果となっていますが、若干読み取り、書き込み性能が低く出ています。ただ、総合スコアは10348ptとSamsungやWestern Digitalなど競合メーカーのハイエンドNVMe SSDに対して同等以上の性能が計測結果として出ています。
3D Mark Storage (ゲームなどを想定)
3D Markのストレージ用ベンチマークにおいては3150ptを記録しています。このストレージテストでは2004ptが平均値で、3000ptを上回るスコアであれば非常に速い分類になるので、オープンワールド系ゲームなどでもロード時間の短縮などが期待できる性能となっています。
温度推移とサーマルスロットリング
Rocket 4 PlusではPCIe Gen 4.0に対応する高速なNVMe SSDという事で発熱は大きい傾向にあります。
IOMeterを使い、連続的に読み取りを行った際には温度は右肩上がりでの上昇が記録されています。テストとしてはスタート後はシーケンシャルライトを7000MB/s近傍で100秒間維持していたものの、SSD温度が62℃に到達した所から2秒程度500MB/s程度にまで速度が落ち、20秒間7000MB/sで書き込み、また2秒間速度を抑制するサーマルスロットリングが発生しています。
一方でテストを終了した後は純正ヒートシンクを装着しているだけあって、62℃から1分程度で45℃程度にまで低下しているため、ゲームのロードや動画ファイルの読み込みなど一時的に高負荷がかかるという状態にも十分耐えられる仕様になっています。
PCIe Gen4.0対応NVMe SSDの多くはファイルコピーなど継続的に書き込みと読み取りが行われる環境下では温度が上がり、サーマルスロットリングなどが起きてパフォーマンスが落ちる場合があります。そのため、Sabernt Rocket 4 Plusでは純正のヒートシンクを販売していますが、今回のテスト環境のように水冷PCなどエアフローがあまり無い環境では継続的に負荷を掛ける続けると放熱が追い付かずサーマルスロットリングが起きる可能性はあります。
ただし、ゲームや動画編集などで利用する場合は断続的に7000MB/sの負荷が発生する場面は限られており温度は上がるものの、サーマルスロットリングが発生する所まで温度上昇をするという状況はあまり考えられず、ヒートシンクを装着していればエアフローが少ないPCでの利用でもあまり心配する必要はないと考えられます。
まとめ:ゲームはもちろん、動画編集など過酷な環境でも使える性能。
Sabrent Rocket 4 Plusではハイエンドモデルに相応しい読み込みおよび書き込み性能を有しており、3月にMicrosoftが発表したゲームロード高速化技術であるDirectStorage APIを活用したゲームなどが今後出現した際にも余裕で対応が可能と見られています。
また、ゲームだけでは無く動画編集などで大量の読み込みや書き込みが発生する作業においても純正ヒートシンクを装着すればサーマルスロットリングが抑制できるため、高いパフォーマンスを維持したまま作業に取り掛かれるなど遊びでも、仕事でも、趣味でもどんな用途においても不満を持たせないNVMe SSDに仕上がっていると考えられます。
おまけ:PS5用のヒートシンク
Rocket 4 PlusではPCIe Gen4に対応しているため、PlayStation5内蔵のM.2スロットに差し込むことで拡張ストレージとして利用することが可能となっています。
ただ、ベンチマークなどで紹介されている通り非常に高速な読み書き性能を持っている代わりに発熱量が大きく、適切な冷却がされなければSSDを保護するために性能を落とすサーマルスロットリングが発生してしまいます。
これらを防ぐためにRocket 4 PlusではPlayStation5専用のヒートシンクが販売されています。
こちらはPlayStation5に搭載されている蓋をヒートシンクに置き換えるものになっており高い冷却性能が期待できるものになっています。
そのため、もしPlayStation5の拡張SSDとして利用する際はこのヒートシンクを購入するようにしましょう。
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