AMD RDNA 5 GPUの一部スペックがリーク。性能上げつつコストをさらに削減
AMDは2027年初頭にRDNA 5 (またはUDNA)アーキテクチャーを採用するグラフィックスカードをデスクトップ向けなどに投入すると言われていますが、今回このRDNA 5アーキテクチャーを採用するディスクリートGPUのスペックがリークしました。

AMDはRDNA 5アーキテクチャーにて各製品に投入するAPUやディスクリートGPUラインアップを大きく変更する見込みのようで、特にデスクトップ向けではラインアップが現行のRDNA 4製品に対して細分化するほか、メリハリを付けたスペックとしてコスト低減などを進めるようです。
Moore's Law is DeadによるとAMDはRDNA 5についてAlpha Trion (AT)というコードネームのもと、複数のGPUの投入を検討しているようです。このAT系GPUはすでにNVIDIAのGeForce RTX 6090などハイエンドモデルに対抗するAT0や現行のRadeon RX 9070 XTなどの後継として投入されるAT2などが明らかにされていますが、今回はミドルレンジ向けのAT3とAT4 GPUを搭載するディスクリート向けGPUのスペックが明らかにされています。
エントリー寄りのミドルレンジ向け「AT4」GPU
現時点で判明している最廉価モデルはAT4 GPUと呼ばれ、24基のCompute Unit (CU)を搭載し、128-bitのバス幅を持つ仕様となります。また、メモリーにはLPDDR5Xを搭載する見込みになっています。LPDDR5Xは主にノートPC向けに搭載されるメモリー規格で、一般的なGDDR6が18Gbpsという速度の中でLPDDR5Xは速くても11Gbpsという速度が限界になっています。そのため、帯域幅も176 GB/sとかなり遅めの帯域幅となるようです。ただ、LPDDR5XはGDDR6やGDDR7に比べてコストが非常に安く済むほか、パッケージあたりの容量も非常に大きくなっています。そのため、ゲーミング向けのデスクトップ製品には12GBから32GBものVRAM容量を容易に搭載することが可能なほか、AI用途に特化した製品では128GBという容量も実現することが可能になるようです。
なお、性能はRDNA 5化によりラスタライズ性能はRTX 4060並となり、レイトレーシングはより優れた性能を発揮することが予想されています。
ミドルレンジ向け「AT3」GPU
ミドルレンジで現行のRadeon RX 9060 XTの後継として考えられているのがAT3 GPUと呼ばれる製品で、CUは48基搭載し、上位製品には384-bitのLPDDR6、下位製品には256-bitのLPDDR5Xが搭載される計画になっています。
また、こちらもノートPC向けLPDDR6やLPDDR5Xを採用しているため速度はGDDR7に比べると劣ります。しかし、LPDDR6に関しては速い速度を持つ製品では14.4Gbpsという登場初期のGDDR6にも劣らない速度になっているため、仮に14.4Gbps動作のLPDDR6であれば384-bitというバス幅により691 GB/sという帯域幅になりRadeon RX 9070 XTより優れた性能となります。
また、下位のLPDDR5X版でも256-bitのバス幅を持っているため、11Gbpsの場合でも352 GB/sでRadeon RX 9060 XT並の帯域幅になります。
なお、こちらもLPDDR6などを採用しているため、大容量化は容易でゲーミング向け製品では16GBから32GB、AI向けなどの製品では最大512GBものVRAM容量を容易にかつ低コストに搭載することが可能になると予想されています。
また、性能はラスタライズはGeForce RTX 4070とRX 9070相当となり、レイトレーシングはRTX 5070に迫るなどミドルレンジ向けとしてかなり高い性能を持つことが予想されています。
ノートPC向けメモリ採用で低コスト化と大容量化を実現?
今回のミドルレンジ以下のRDNA 5搭載製品で特徴的なのはなんといってもノートPC向けのメインメモリーに採用されるLPDDR5XやLPDDR6をVRAMとして採用している点となっています。このLPDDR5XなどノートPC向けメモリーは1モジュールあたり最大32GBという容量を持つなど、3GBが最大のGDDR7に対して10.7倍近い容量を持っています。一方でコストはGDDR6やGDDR7より製造数が多く、ノートPC向けのメインメモリーに使われることから汎用性も高いため例えば384-bit分(12枚)搭載したとしてもトータルでのコストは非常に安くなると見られているため、ゲーミング向けやAI向けでエントリーからミドルレンジ向けモデル含めてVRAM容量の大容量化が求められても低コストに対抗することが可能となります。
一方で、LPDDR5XやLPDDR6はGDDR6やGDDR7に比べると速度は大きく劣りますが、LPDDR系メモリーも速度が向上していっていることからAT4では176 GB/s程度、AT3系では350~700 GB/sと狭いバス幅でGDDR6やGDDR7を搭載するよりは広い帯域幅を確保できているため、AMDとしてはLPDDR系を採用することを切り札に、製造プロセス微細化によるGPUダイ価格高騰をメモリーのコストダウンでグラフィックスカードの価格を維持するという作戦であると考えられます。
なお、このRDNA 5アーキテクチャーを採用する製品は2027年初頭に開催されるCES 2027で正式発表されると見られているため、エントリーモデル含めてすべてのラインアップが揃うのは2027年中頃になると考えられますが、AMDの次世代GPUがどのような仕様となり、NVIDIAに対してどのように対抗するのか今後の動向に注目です。
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