ノートPC向けRaptor Lakeも劣化? 重要度が高いのマイクロコードが登場
Intelの第13世代デスクトップ向けCPUのRaptor Lakeおよび第14世代のRaptor Lake Refreshでは、不適切に設定されたマイクロコードが原因でCPUが異常な高電圧状態で動作し、結果として数か月後からゲームが落ちる、BSoDが多発するなどの不具合が発生していました。
そのため、Intelはこの問題に対して2024年9月に不適切なマイクロコードを修正するとともに、CPUの保証期間を3年から5年に延長するなどの対策を施しました。しかし、この際にRaptor Lake-HXやRaptor Lake Refresh HXなど、デスクトップ向けCPUをベースにしたノートPC向けCPUへの影響が懸念されていました。実際に、ゲーム開発を手掛けるAlderon GamesはRaptor Lake-HX系CPUでもゲームが落ちるなどの不具合を確認していますが、IntelはRaptor Lake-HXなどノートPC向けCPUは影響を一切受けないと表明しています。しかし、このIntelの発表とは裏腹に、ASUSやLenovo、Dellなど各社OEMはRaptor Lake-HXなどを対象に新しいマイクロコードを配信しており、ASUSに関しては『高重要度』としてこのアップデートを配信していることが明らかになりました。
ASUSがCore i9-14900HXを搭載するROG Strix G16向けに公開したBIOSアップデートでは、『システムのパフォーマンス最適化』という説明がされていますが、実際の重要度はCritical、つまり致命的という表現になっており、すぐにアップデートを行うことが推奨されています。
ただし、この意味不明なアップデートについて、TechPowerUPの掲示板では、このアップデートを適用するとCPUのマイクロコードがデスクトップ向けRaptor Lakeシリーズで展開されている『0x12Bマイクロコード』に更新されるとのことで、ノートPC向けRaptor Lakeについてもデスクトップ向けと同様に劣化問題が発生している可能性が指摘されています。
特に、同様のマイクロコード更新はDellやLenovo、MSI、XMGなども『0x129』などデスクトップ向けに展開されているマイクロコードを配信しています。また、ASUSはマイクロコード更新に対して最も消極的な対応を見せており、ASUSの掲示板にBIOSアップデートに関する記載をすると、管理者からスレッドが削除されることもあったとのことです。ただ、最近になり致命的なBIOSアップデートを配信していることから、デスクトップ向けをベースにノートPC向けに展開しているRaptor Lake-HXやRaptor Lake Refresh HXも不具合とは無縁である可能性がありそうです。
なお、この問題についてIntelは公式発表で「ノートPC向けRaptor Lake CPUは一切影響を受けない」としていますが、仮に影響を受け、交換対応が必要となる場合、デスクトップ向けCPUのようにCPU本体だけを交換するというユーザー主体の対応ができないほか、CPUの問題なのか他の問題が含まれているのかの切り分けや交換コストも莫大になると考えられます。
特に、ノートPCの場合、CPUはマザーボードにはんだ付けされているため、OEM側に送付してマザーボード一式を交換するなど非常に高いコストがかかります。また、このHX系CPUは主にゲーミングノートPCに採用されているため、高価なグラフィックスカードもマザーボードに組み込まれており、たとえ台数が少なくてもIntelやOEMが被る金銭的ダメージは非常に大きいほか、不具合を認めデスクトップ向けと同様の保証延長や交換対応を行えば、さらにその費用は跳ね上がります。そのため、Intelとしては極力ノートPC向けにこの劣化問題を波及させたくないと考えられますが、マイクロコードのアップデートを度々行っていることから、近いうちにYouTuberなどで取り上げられ炎上するリスクもありますので、今後の対応に注目が集まりそうです。
[INTEL]-How To Update Your Microcode for Intel HX 13/14th Gen. CPUs Laptops/Mobile Easily. | TechPowerUP
コメント
コメント一覧 (1件)
こりゃ当面、中古市場が賑わいそうだな