Intel Raptor Lake不具合のアップデート内容など詳細判明。既に不安定化したCPUは交換対応以外に救えない
Intelの第13世代Raptor Lakeおよび第14世代のRaptor Lake Refreshで発生していた不具合について、同社は2024年7月22日に公式声明を発表し、高すぎる電圧が原因であるとして、これらを修正するマイクロコードアップデートを8月中旬以降に配信することを明らかにしました。このアップデートにより、新たな不具合の発生が抑えられることが期待されていますが、Intelが公式声明を出して以降、一部OEMやパートナー企業に対して今回の声明に関する補足情報を提供しており、その内容がIgor’s LABによって明らかになりました。
一般発表された内容は以下の通りになっています。
Intel 第13世代/第14世代のデスクトッププロセッサの動作不良品として返品されたものを分析した結果、一部の第13世代/第14世代デスクトッププロセッサが不安定になる原因は高い動作電圧にあることが判明しました。返品されたプロセッサの分析により、この高い動作電圧は誤った電圧要求をプロセッサに送るマイクロコードアルゴリズムに起因することが確認されました。
Intelは、この動作電圧の上昇に対応するマイクロコードパッチを提供します。現在は、報告された不安定性シナリオを解決するために検証を続けており、2024年8月中旬にマザーボードメーカー経由でパッチを配布することを目指しています。
Intelは、顧客に対してこの問題を適切に対処することを約束し、 第13世代/第14世代デスクトッププロセッサで動作が不安定になる問題を経験しているすべてのユーザーに対して、Intelカスタマーサポートに連絡するようお願いしています。
Intel Thomas Hannaford
公式発表では、CPUに組み込まれたマイクロコードの電圧要求の値が間違っており、その結果、CPUに不適切に高い電圧を送り込み、動作が不安定化するとしています。8月中旬までにマイクロコードを修正するパッチが提供され、マザーボードメーカーのBIOSアップデートを通じてエンドユーザーに提供される予定です。
ここまでは正式に発表され、多くのメディアでも取り上げられている内容ですが、さらに追加でOEMやパートナー企業向けに以下の情報が提供されているようです。
影響範囲はデスクトップ向けCore i9とCore i7が中心。ノートPCやサーバー向けCPUは問題ない
Intel
- Intel customers have reported recurring OS and application hangs and errors on 13th and 14th Generation Intel desktop processors, particularly Core i7 and Core i9 SKUs.
- Reports to date have come primarily from end user enthusiast/gaming systems with commercial ODM motherboards, and OEM workstations.
Intelによると、OSやアプリケーションのハングなどの不具合は主に第13世代および第14世代のデスクトップ向けCPU、特にCore i7やCore i9で報告されています。この不具合はエンドユーザー向けマザーボードやOEM向けワークステーションでしか見られていません。
Intelは、主にデスクトップ向けCore i7とCore i9のみが影響を受けるとし、ノートPCやサーバー向けでは発生しないとしています。これは、マイクロコードの設定が異なるため自然なことです。
新しいマイクロコードはVIDを1.55V以下に抑える設定に。パフォーマンスへの影響は僅かだが、既に動作が不安定になったCPUはRMA以外に救えない模様
Intel
- Intel is validating a microcode update to limit VID requests above 1.55V as a potential future corrective action, targeted for production release in mid-August to NDA customers.
- Early testing by Intel on a small number of benchmarks indicates minimal performance impact due to this microcode change.
- While this microcode update addresses the elevated voltage aspect of this issue, further analysis is required to understand if this proposed mitigation addresses all scenarios.
- This microcode update, once validated and released, may not address existing systems in the field with instability symptoms.
- Systems which continue to exhibit symptoms associated with this issue should have the processor returned to Intel for RMA.
Intelは、2024年8月中旬にリリースを予定しているマイクロコードアップデートで、CPUへ送り込む電圧をマザーボードに送る『VID要求値』が1.55Vを超えない設定にすることを検討しています。初期段階の検証では、この変更によるパフォーマンスへの影響は極めて少ないとされていますが、高性能なCore i9-14900Kなどでも影響がないかどうかは慎重に見守る必要があります。
この新しいマイクロコードアップデートによって、新たな不具合の発生が抑制できるかはさらに検証が必要とされており、Intelは引き続きCPUを不安定化させる原因を調査しています。
なお、Intelはこのアップデートを適用しても既にCPUの動作が不安定になったシステムは修正できないとしており、不安定なCPUはIntelに返品し、RMA(保証交換)対応を行う必要があるとしています。
IntelがOEMやパートナー企業に対して発信した内容からは、電圧設定が原因と考えているものの、本当にこれだけが原因なのか自信がない様子が伺えます。実際、Raptor Lake系不具合が発生した後、電力設定を大きく制限したBaseline Profileの設定や、eTVB設定の見直しなど、対応が変わってきました。
また、既にCPUが不安定化した場合はマイクロコードアップデートでは修正できず、CPUの交換が必須です。幸い、日本で販売されているIntel CPUの多くは3年間の保証が付与されているため、Raptor Lakeが2022年10月発売ということを考えると、初期に購入したユーザーでもまだ保証期間が残っています。もし、Raptor LakeまたはRaptor Lake Refreshを使用していて、ゲームが落ちたり、BSoDが多発するなど明らかに不安定な場合は、Intelのサポートに連絡するか、購入した量販店などに問い合わせることで、保証交換を受けることができます。
先日発表されたRaptor Lake系CPUの不具合対策に関しては、マイクロコードアップデートが配信されることで混乱は多少落ち着くと考えられます。しかし、このアップデートだけでこれ以上の不具合を防げるかどうかについては懐疑的なユーザーも多く、Intelもこれだけが原因だと明言できていないようです。そのため、今後も新たな不具合や追加の対策が必要になる可能性があります。
ただ、幸い今回OEMやパートナー向けの説明では、既に不具合が発生したCPUについては交換対応が必要と明言されていますので、アップデート後もCPUが不安定になるなどの症状が出れば保証交換を受け付けてもらえる可能性は高く、少しは安心できる材料にはなりそうです。ただ、万が一CPUが交換になった場合、交換品が届くまでPCが使えないなど大きな影響があるため、8月中旬のマイクロコードアップデートでこれ以上新たな不具合が発生しないように解決されることが望まれます。
Was Intel auf Reddit nicht schrieb aber intern meint – Die Suche nach der Lösung für die Raptor-Lake-S Instabilitäten geht weiter (Leak) | Igor’s LAB
https://www.igorslab.de/suche-nach-der-loesung-fuer-die-raptor-lake-s-instabilitaeten-geht-weiter/
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交換じゃなくて返品返金してほしい