Intel Raptor Lake系CPUの不具合の根本的原因はeTVBではないと否定。原因は現在も調査中
IntelのRaptor Lake系CPUの中でCore i9などハイエンドモデルを中心にCPUの動作が不安定化する不具合について、Igor’s LABがNDAで保護されたIntelの資料をリークしました。この資料の中で、この一連の不具合はThermal Velocity Boostを司るマイクロコードの設定値ミスにより許容すべきではない温度条件時に動作クロックおよび電圧を向上させてしまう事が原因であると書かれていたとされていますが、Intelはこの情報が明らかになるとすぐに否定する声明を発表しました。
最近の報道に反して、Intelではまだ第13世代と第14世代デスクトップCPUで発生している不具合について、根本的な原因を突き止めるには至っていません。
報道されているeTVBのバグについては今回の不具合調査の過程で見つかりましたが、これが原因である可能性はあるものの、不具合を引き起こす根本的な原因ではありません。
Intel
Igor’s LABが明らかにしたIntelの資料ではeTVBを修正したマイクロコードを反映したBIOSを2024年7月19日までに更新するように各社マザーボードメーカーに呼びかけていると記載されていました。
今回のIntelの声明によるとeTVBにバグがあることを認めるものの、これが原因でCPUが劣化し、動作が不安定化する訳ではなさそうです。ただ、このCPUの劣化が1つの原因に絞り込めるのかは微妙であるため、IntelはeTVBが原因の1つであるなど含みを持たせた状態で声明を出しています。
ちなみに、IntelはRaptor Lake系CPUで発生している一連の不具合について推奨されるBIOS設定を2024年5月中に発表する事を明らかにしていましたが、既に6月中旬を超えていることから原因の特定か顧客への対応などの検討に手間取っている様子が伺えます。ただ、Intelは2024年9月に新世代CPUであるArrow Lake-Sをデスクトップ向けに発表することを予定しているため、この問題を可能な限り早く片付けなければ新製品の販売にも悪影響を及ぼす可能性があるため、早急な原因究明と対策発表や不具合を抱えているCPUに対する対応策が待たれるところです。
今回、IntelがIgor’s LABの記事内容を否定する内容について、根本原因ではない事を強調し、否定しているもののeTVBの設定自体が間違っていたことや、高い電圧や動作クロックに晒される事でCPUの信頼性が低下するという内容を明確に否定していないためCPUの劣化については事実である可能性がありそうです。
ちなみに、海外YoutuberのHardware UnboxedがComputex 2024で各社マザーボードメーカーにこの件を聞いたところ、CPUの劣化は確実に存在するという証言が複数得られているようです。また、一連の不具合に関するIntelの対応も明確な情報が無く信頼を失っている様な声も出ているとのことです。
そのため、Intelも原因究明や今後の対応策について急ぐか、せめてリードタイムを提示するなどもう少しコミュニケーションを図る必要がありそうです。
Intel denies reports that it identified a root cause for Core i9 crashing issues — investigation continues | Tom’s Hardware
コメント
コメント一覧 (1件)
原因がどうであれ、根本的な問題は熱や電力の盛り過ぎなんだと思います。
つまり、それを許している事自体がダメなんじゃないですかね。
やたらマザーが高くなったり、空冷クーラーじゃ冷却が厳しくなったりと、ユーザーの出費がかさむ原因になっています。
原因調査に時間がかかっているのは、それらに加えてファームウェアのバグ等がコラボして手が付けられない状態なのでしょう。