Intel Raptor Lake-Sでは最大68MBのキャッシュ搭載。L2容量はZen4の2倍に

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Intelの第13世代CPUであるRaptor Lakeについては2022年後半に発売がされると予想されていますが、同時期に登場するAMDのZen4 Ryzen 7000シリーズを意識してか、従来までのIntel CPUに比べてL2、L3キャッシュを大幅に増やしたCPUになるようです。

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AMD Zen4と対抗するIntel Raptor Lake

Intel 13th Gen Raptor Lake CPUs Could Feature Up To 55% More Cache Over Alder Lake For Enhanced Gaming Performance (wccftech.com)

Intelでは2022年末までに現在発売中のAlder Lakeの後継モデルにあたるRaptor Lakeを準備していますが、このRaptor LakeではP-CoreとE-Coreをそれぞれ8コアづつ搭載できたAlder Lakeに対して、E-Coreを16コアまで搭載できるように倍増させるモデルとなる事が明らかになっています。

しかし、新しい情報によると、コア数自体は変わらないようですが、P-Core、E-Coreそれぞれに搭載されているL2キャッシュおよびL3キャッシュ容量を大幅に増やす事が計画されているようです。

L2キャッシュ、L3キャッシュそれぞれ30MB超えに

現在発売されているAlder LakeではP-CoreであるGolden Coveの各コアに1280KBのL2キャッシュ、3072KBのL3キャッシュを備えており、E-CoreであるGracemontには4コア毎に2048KBのL2キャッシュと3072KBのL3キャッシュを備えた設計になっています。

そのため、Alder Lake CPUの中でP-Core、E-Core共に8コアを搭載した最上位モデルであるCore i9-12900KではL2キャッシュを合計で14MB、L3キャッシュを合計で30MB搭載しています。

一方で、Alder Lakeの後継モデルにあたるRaptor Lakeに関してはL2、L3キャッシュの容量を大幅に増やす予定となっているようです。CPUやGPUなどのリーク情報を扱うRaichu氏によると、Raptor LakeではL2、L3キャッシュの合計は最大68MBになるとの事です。

また、この情報に補足する形で「2*8+4*4+3*12」と返信が来ており、この情報が正しければRaptor Lakeのキャッシュ容量は以下のような構成になるようです。

Raptor LakeではP-CoreにはGolden Coveコアを改良したRaptor Coveを最大8コア、E-Coreには引き続きGracemontが採用されますが、コア数は8コアから16コアに倍増されています。

キャッシュの構成としてはP-CoreであるRaptor Cove側には各コアに2MBのL2キャッシュ、3MBのL3キャッシュが備わると見られています。E-CoreであるGracemont側には4コア毎に4MBのL2キャッシュ、3MBのL3キャッシュが備わり、P-Core8コア、E-Core16コアの合計24コアを搭載するRaptor LakeではL2キャッシュが合計で32MB、L3キャッシュが合計で36MBでCPU全体では合計68MBのキャッシュ容量を持つ計算となります。

Alder Lakeに比べるとL2キャッシュは2.6倍、L3キャッシュは1.2倍となっており、CPU全体でもAlder Lakeに比べて1.5倍以上のキャッシュ容量増加が予定されているようです。

キャッシュ容量を増やしてZen4との差を縮めたい?

IntelのライバルであるAMDではRaptor Lakeの発売時期より前の2022年Q2~Q3の間でZen4アーキテクチャーを採用したRyzen 7000シリーズの発表および発売を予定しています。このRyzen 7000シリーズでは7nmから5nm化され、アーキテクチャー面でもZen 3からZen4と言うように全面刷新しており、Alder Lakeを超えるパフォーマンスが期待されています。そんなZen4ですが、最近AMDが力を入れている3D V-Cache技術が搭載されると見られています。

この3D V-Cacheは既にRyzen 5000シリーズやEPYC Milanに搭載されており、1ダイ辺り64MBのキャッシュを追加する事が可能になっています。このキャッシュ容量の追加で、CPUアーキテクチャーに変更を加える事無くゲーミング時のパフォーマンスは15%以上、エンタープライズ用途の作業では最大50%程度の性能向上が実現が出来ているためキャッシュ容量を増やす事でCPUパフォーマンスは向上すると見られています。

AMDではこの技術を活かしてZen4を搭載するRyzen 7000シリーズではL3キャッシュ自体を3D V-Cache化し、64MBの容量を搭載すると見られており、CPUダイを2基搭載する最上位モデルでは合計128MBのL3キャッシュが搭載されると予定されています。

IntelとしてはRaptor LakeではAMDのようにCPUアーキテクチャーを大きく刷新する予定は無く、いわばAlder Lakeの小改良でZen 3からZen4へ大刷新したCPUアーキテクチャーに対抗する必要があります。その際に、可能な限りRyzen 7000シリーズとの性能差を埋める必要があるため、L2キャッシュやL3キャッシュを大きく増やす方向で計画を立てていたと見られています。

 

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キャッシュ容量に関しては、動作クロックやコア数などに比べて地味な存在として扱われていますが、キャッシュ容量を増やせばレイテンシ低減などに効果があり、結果的にIPCが向上する事が多いようです。そのため、AMDではキャッシュ容量を増やす方針に動いており、Ryzen 9 5900Xや5950Xなどでは既に64MBのL3キャッシュを搭載、そして3D V-Cacheを搭載するRyzen 7 5800X3DではL3キャッシュを96MB搭載するなどしています。

Intelとしても同じ様な考え方を持ち始めたのか、Raptor Lakeではキャッシュ容量を大幅に増やす方向性のようです。気になるのが、Raptor LakeではよりCPUと近いL2キャッシュの容量が大きく増えているためIPCとしてはAlder Lakeに比べてどれほどパフォーマンスの向上が図られるのか気になる所です。

数年前からCPUは4コアが主流でしたが、AMDが一気に多コア化を進めた事で今では8コアCPUが普通になりつつまりますが、最近ではソフトウェア、特にゲームなどが対応していないためコンシューマー向けCPUでは多コア化は頭打ちになりつつまります。ただ、次のトレンドとしてキャッシュ容量を増やして行く方向に動くのかもしれませんね。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
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