Radeon RX 9070にRX 9070 XT vBIOSを書き込むとゲーミング性能が最大12%向上
AMDのグラフィックスカードは過去に何度か、下位モデルのvBIOSを上位モデルのものに書き換えると性能を引き出すことが可能になる「魔改造」が何度か有効であることが確認されており、それによりRX 480をRX 580にしたり、Vega 56をVega 64などにする例がありました。
そんなvBIOS書き換えによる魔改造ですが、RDNA 4世代のRadeon RX 9000シリーズでもこの方法が有効であることが過去に明らかにされていました。ただ、そのリスクの大きさから試した実体験が明らかにされず、ドイツのPC Gamers Hardwareが一例で素のRX 9070に対してXT化させるとベンチマークで20%ほど性能が向上することを明らかにしていましたが、Redditにてこの魔改造を実施し、ベンチマークに加え、ゲーミングでの性能がどれほど向上するのか明らかになりました。
ベンチマークは25%、ゲーミングは12%向上
RedditユーザーのnoVa_realiZe氏は、自身が所有するPowerColor製のRadeon RX 9070 Reaperに、RX 9070 XTのファームウェアを書き込む改造を実施。その前後でのパフォーマンスを比較した結果を公開しました。



3DMark Steel Nomadスコア:
- 改造前 (Stock): 5821
- XT BIOS適用後: 6461 (+11%)
- XT BIOS + OC/UV調整後: 7277 (+25%)
Cyberpunk 2077 (1440p, RT設定):
- 改造前 (Stock): 平均 70 fps
- XT BIOS + 調整後: 平均 78 fps (+11.4%)
ベンチマークソフトでは最大で25%という驚異的なスコア向上を記録。実際のゲームプレイにおいても、『サイバーパンク2077』で平均フレームレートが約11.4%向上し、さらに最低フレームレート(1% and 0.1% lows)も改善されるなど、体感できるレベルでの性能向上が確認されています。
性能向上の理由は電力制限の解除。消費電力や発熱は増加
このvBIOSの書き換えはRX 9070で無効化されたGPUコアはそのままですが、大きく性能向上が見られる理由としてはRX 9070自体、最大電力が220Wに設定されているものの、RX 9070 XTのvBIOSを書き込むことでこの最大電力が同GPUと同じ300Wに大きく引き上げられるため、性能が大きく上がると言う仕組みになっています。そのため、電力効率の観点ではデフォルトのRX 9070に比べて大きく悪化するほか、発熱も大きくなるため適切なGPUクーラーやケース内のエアフローにも左右されやすい状況になります。
試すリスクは大きめ。Dual BIOS搭載GPUかつ度胸が必要
この魔改造は性能が大きく上がる一方で、製品仕様と異なるvBIOSに書き換えることからグラフィックカードが完全に壊れる「文鎮化」など以下のようなリスクが付きまといます。
- 消費電力と発熱の増加: 電力リミットが解放されるため、消費電力とそれに伴う発熱が大幅に増加します。
- 不安定化のリスク: アイドル時の不安定化などが報告されています。
- GPUが文鎮化する危険性: 特にBIOSを一つしか持たない(シングルBIOS)カードの場合、書き換えに失敗するとGPUが起動しなくなり、完全に「文鎮化」するリスクがあります。Dual BIOSスイッチを持つカードであれば、多少は安全に試すことができます。
- メーカー保証の失効: VBIOSを書き換えた時点で、メーカーの保証は完全に無効となります。
もしこれらのリスクを冒してでもRX 9070で10~20%程度の性能向上を実現したいと言う意思と度胸が試してみる価値はあるかもしれませんが、9万円以上する製品を壊す覚悟も必要となります。一方で上位モデルで元々性能も高いRX 9070 XTが10万円を切る価格で販売されているため、もし新たに購入する場合は素直にRX 9070 XTを買った方がいいと思います。
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