Radeon RX 9060 XT 8GB版も地雷。PCIe Gen 5に対してGen 4で性能は10%以上低下

Radeon RX 9060 XT 8GB版も地雷。PCIe Gen 5に対してGen 4で性能は10%以上低下

AMDが2025年6月5日に発売したRadeon RX 9060 XTではRDNA4アーキテクチャーをミドルレンジモデルに初めて採用し、競合のGeForce RTX 5060 Tiに近いパフォーマンスでありながら価格は20%程度安価で販売することでレビューでは比較的高い評価を得られています。ただし、高い評価を得られているのは16GBのVRAM容量を持つRX 9060 XTで、8GBの容量を持つRX 9060 XTはVRAM容量がボトルネックとなり高い評価は得られていませんが、特にPCIe Gen 4などミドルレンジモデルと組み合わせる際に多い環境で使うとさらにパフォーマンスが落ちることが明らかになりました。

Hardware UnboxedがRadeon RX 9060 XT 8GB版についてレビューではあまり評価できないとしていましたが、さらに追加検証でPCIe Gen 5をベースに、ミドルレンジモデルと比較的組み合わせて使われやすいPCIe Gen 4やGen 3でのパフォーマンス変化について検証しています。

PCIe世代	転送速度
PCIe Gen 5 x16	64 GB/s
PCIe Gen 4 x16	32 GB/s
PCIe Gen 3 x16	16 GB/s

Radeon RX 9060 XTは標準でPCIe Gen 5 x16レーンに対応しているため、Gen 5対応マザーボードやCPUと組み合わせることで最大64 GB/sと言う転送速度で動作することが可能になっています。ただ、一般的にミドルレンジなどのグラフィックカードではこの転送速度を使い切ることは少なく、PCIe Gen 5 x16から転送速度が半分のGen 4で動作させてもパフォーマンスへの影響は僅かと言うケースが多かったです。

しかし、Hardware Unboxedによると8GBのVRAMを搭載するRX 9060 XTではPCIeの転送速度はかなり重要となるとのこです。実際に、F1 25においてはPCIe Gen 5で動作するRX 9060 XT 8GBに対して、Gen 4で動作させると平均フレームレートは12%低下、Gen 3だとGen 5に比べて25%低下することが明らかになっています。

他のタイトルでも傾向は同じで、モンスターハンターワイルズではGen 5で51FPSを発揮できていたところをGen 4にすると45FPSで約12%低下、Gen 3にすると40%の性能低下しています。また最もひどかったMarvel Spider-Man 2ではGen 4動作にするとGen 5に比べて20%、Gen 3だと42%とPCIeの転送速度がボトルネックになる様子が明らかになっています。

なお、PCIeの転送速度が原因でパフォーマンスが落ちると言うのはNVIDIAのGeForce RTX 5060 Ti 8GB版でも見られており、同モデルではGen 5からGen 4に引き下げるとFPSが平均13%低下することが明らかになっていました。ただ、RTX 5060 Ti 8GB版はPCIeがx8レーンと少なくなっていたためパフォーマンスへの影響が大きいと考えられていましたが、x16レーン使うRX 9060 XT 8GB版でもこのような結果になっています。

この原因はVRAM容量が少ないとGPUからPCIeバスを経由してメインメモリでデータ転送が頻繁に発生するため、PCIeの転送速度が性能に直結すると言うことになります。

また、これだけ頻繁なデータ転送が発生することからCPUやメモリーへの負荷も高まるようで、RX 9060 XT 8GB版をPCIe Gen 4で動作させた際にDDR5と組み合わされたRyzen 7 9800X3Dを使っている場合は平均150FPSを出せている一方で、DDR4と組み合わされるRyzen 7 5800X3Dを使った環境では平均132FPSとパフォーマンスがさらに12%低下しています。

基本的に、Radeon RX 9060 XTなどのミドルレンジグラフィックカードはコストを意識したユーザー層へ訴求された製品であるため、ミドルレンジ相当のCPUを使ったPCやハードウェアも最新鋭と言うよりは2~3年前の製品と組み合わされる例が多くなっています。しかし、RX 9060 XT 8GB版に関してはミドルレンジのCPUや数年前のハードウェアと組み合わせると性能が大きく制限される癖のある製品であるため、RTX 5060 Ti 8GBと同じく、ユーザーにとっては16GB版より安価であることに釣られると性能が全く発揮できない地雷モデルであることは確実な出来栄えになっています。

そのため、Radeon RX 9060 XTの購入を検討している人は間違っても8GB版の購入は避けて、必ず16GB版を購入するようにしましょう。