QualcommがIntelのチップ設計部門の一部を買収検討? クライアントPC事業強化を目論む。

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QualcommがIntelのチップ設計部門の一部を買収検討? クライアントPC事業強化を目論む。

Intelは、2024年第2四半期決算で最終損失16億1000万ドルを計上し、特に注目されたファウンドリ事業では28億3000万ドルの損失を出すなど、厳しい状況に直面しています。さらに、2024年第3四半期も純利益が前年同期比で-71%となる見込みで、今後もしばらく苦しい展開が続くことが予測されています。

決算発表後、Intelは費用削減策として1万人以上の従業員を解雇することや、投資の抑制を発表しましたが、株価は下がり続け、年初から-60%以上の水準となっています。さらに、1990年代からNYダウ平均株価の構成銘柄であったIntelが除外される可能性や、一部事業の売却が投資銀行などで検討されているとも報じられています。

このような苦境にあるIntelですが、Arm製チップセットでノートPC向け事業に進出しているQualcommが、Intelの一部チップ設計部門の買収を検討していることがロイター通信で報じられました。

Qualcommは2021年、Appleの独自チップセット開発に関わったメンバーを含む新興半導体企業『NUVIA』を買収しました。このNUVIAが開発した製品は、2024年に「Qualcomm Snapdragon Xシリーズ」としてWindows向けのArmチップセットとして発表されました。しかし、Qualcommはさらなる事業拡大を目指しており、独自で事業を展開するよりも、Intelのチップ設計部門を買収することで、Intelの強みであるコンシューマーおよびエンタープライズ向けのクライアントPCセグメントを強化する狙いがあるようです。

IntelのクライアントPCセグメントは同社の収益の柱であり、2024年第2四半期でも利益率は低下したものの、売上は堅調に伸びています。また、2024年にはTSMCの外部ファウンドリを活用して新製品「Lunar Lake」や「Arrow Lake」を、2025年には「Panther Lake」など、Intelを支える新製品が次々と登場する予定です。

そのため、QualcommがIntelに正式にアプローチしても、クライアントPCを担当する設計部門の売却は、Intelが主要な収益源を手放すことを意味するため、得策ではないのは明らかです。しかし、Intelは資金が必要な状況でもあり、FPGA部門「Altera」の売却や、ドイツ工場の建設中止などが検討されているとされています。また、Intelはバイデン政権にも接触し、CHIPS法を通じて8億5000万ドルの助成金と110億ドルの融資を求めており、財政的に苦しい状況にあることは明らかです。そのため、十分な額が提示されれば、Qualcommに対しチップ設計部門の一部を売却するという選択肢が完全に排除されるわけではありません。

Intelは9月9日の週に取締役会を開催予定であり、その後、支出削減と資本調達のための計画が発表される見込みです。この中に、Qualcommへの一部事業売却が含まれるかどうか、注目が集まっています。

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Qualcommは、Snapdragon Xシリーズを通じてクライアントPCセグメントに本格的に参入しましたが、IntelやAMDが築いた市場の壁は厚く、Qualcommの目標である「10年後にArmがシェア50%を獲得」という野心的な計画に対して、現状では販売台数がまだ少ない状況です。そのため、Intelのチップ設計部門を取り込むことで、省電力化やデスクトップ向けを含む多様な商品ラインナップの展開が可能となり、Qualcommにとってはシェア拡大を図るための手段として、豊富な資金力を背景に買収を進めることは有効な戦略と言えるでしょう。

一方、IntelにとってクライアントPC向けチップは最大の収益源であり、ブランド力もあるため、このセグメントを弱体化させることは、OEMがAMDへの切り替えを検討する要因となり、数年後には開発力の低下や収益の減少が避けられません。投資家の信頼を失うリスクも高く、Intelにとって得策とは言い難い決断です。しかし、Intel自身も事業継続には資金が必要な状況にあるため、チップ設計部門の一部売却という大胆な決断を下す可能性は十分にあり、Intelの動向には引き続き注目が集まります。

ソース

Exclusive: Qualcomm has explored buying pieces of Intel chip design business | Reuters

https://www.reuters.com/technology/qualcomm-has-explored-acquiring-pieces-intel-chip-design-business-sources-say-2024-09-06

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。
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コメント

コメント一覧 (1件)

  • Qualcommの開発部門の人数が経営陣側が考えている需要に対して必要数に満たないのかなと思った。
    そこで単純にその手の部門を他社から購入して人数を増やして人海戦術で短期間に市場の需要を満たす事ができる製品を出荷しようとしてるようにも見える。

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