Google Pixel 11 搭載 Tensor G6 は性能を下げる可能性。コスト削減が理由

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Google Pixel 11 搭載 Tensor G6 は性能を下げる可能性。コスト削減が理由

Googleでは2025年に発売予定のPixel 10からチップセットを全面自社開発に変更し、その第一弾がTensor G5となり、TSMC 3nmを採用することで性能向上が期待されています。しかし、2026年に登場予定のPixel 11に搭載されるTensor G6では、性能よりもコスト削減を優先する方針であることが、Googleのチップ開発部門であるgChipsから流出した情報により明らかになりました。

現行Tensorはコストが高く、温度も高すぎる

GoogleではTensor G4をはじめとするカスタムチップはサムスンのExynosシリーズをベースにAI処理を担うTPUなどを搭載するカスタマイズが施されていますが、Google内部資料によると、このカスタムチップセットはGoogleが定めるコスト目標を達成していないとのことです。QualcommのSnapdragon 8 Eliteの$180に対して、GoogleはTensorの目標コストを$65に設定していましたが、最終的にこのコスト目標は未達であることが明らかにされています。

また、Tensorシリーズに関してユーザーが持つ大きな不満は発熱の大きさとバッテリー寿命の短さであることが分析結果から明らかになっています。

資料ではPixelシリーズの返品理由の28%がオーバーヒートであり、同時にバッテリー寿命の短さも短所として認識されています。Pixel 6および7ユーザーの約24%はバッテリーを1日持たせることができず、バッテリー駆動時間の延長が消費者満足度を高めるために非常に重要である一方、現状は満たせていないとする調査結果が示されています。Googleではコスト削減と消費者から注目されている上記2つのポイントに対し、Pixel 11搭載のTensor G6で重点的に対策を施すことを検討しているようです。

性能よりダイ面積削減を優先。Tensor G5よりスペックが劣る見込み

Tensor G6ではTensor G5と同等の性能を維持しながら、ダイ面積を削減することを優先事項として取り組む方針のようです。Tensor G5はダイ面積が121mm²と比較的大きく、コスト面でも不利であったため、Tensor G6では105mm²に縮小することを目標に開発が進められています。ただし、この2つのチップセットはTSMCの3nmプロセスを使用しているため、Tensor G5と同等の性能を目指すものの、計画されているスペックでは実質的に性能が劣る可能性が高いようです。

GPUは旧世代化、DSPのコア数やSLCも削減

チップセットGPU動作クロックレイトレーシング対応GPU仮想化対応ダイ面積
Tensor G4 (“zumapro”)Arm Mali-G715 (7 cores)900 MHz非対応非対応14.7 mm² (4LPE)
Tensor G5 (“laguna”)IMG CXT (3 cores)1100 MHz非対応非対応14.82 mm² (N3E)
Tensor G6 (“malibu”)IMG DXT (2 cores)1100 MHz対応非対応14.1 mm² (N3P)

GoogleはTensor G5でIMG DXTと呼ばれる新しいGPUコアを採用し、レイトレーシングやGPU仮想化など性能に力を入れたものを採用予定でした。しかし、Tensor G6ではTensor G4向けに開発されていたIMG CXTと呼ばれる旧世代のGPUを採用する見込みで、レイトレーシングやGPU仮想化には非対応となるなど、スペック面で劣ることになります。ただし、この変更によりGPUのダイ面積はTensor G5の16.6mm²から12%削減された14.1mm²に縮小されます。また、DSPのコア数削減やシステムレベルキャッシュ(SLC)を4MBに削減するなど、ダイ面積削減のために機能削減が随所で行われる予定です。

CPUはE-Coreを無くし、Prime+Pコアの合計7コアに

チップセットPrimeコアPコアEコア
Tensor G3 (“zuma”)Arm Cortex-X3Arm Cortex-A715Arm Cortex-A510
Tensor G4 (“zumapro”)Arm Cortex-X4Arm Cortex-A720Arm Cortex-A520
Tensor G5 (“laguna”)Arm Cortex-X4Arm Cortex-A725Arm Cortex-A520
Tensor G6 (“malibu”)Arm Cortex-X9Arm Cortex-A730Arm Cortex-A520-

CPU側では、Tensor G4では1 Primeコア+3 Pコア+4 Eコアでしたが、Tensor G5では性能を強化するためにPコアの数を3から5コアに増やし、1 Primeコア+5 Pコア+2 Eコアに変更されています。しかし、Tensor G6では1 Primeコアは同じですが、Eコアを無くし、Pコアを6コアに増やす変更を行っています。また、各コアのアーキテクチャーもCortex-X930やCortex-X730など最新鋭のものが使用されるため、コア数が8コアから7コアに減るものの、性能はTensor G5に対して同等以上になると考えられます。ただし、4 Primeコア+4 Pコア構成のQualcomm Snapdragon 8 Eliteに対しては性能が劣ると考えられ、2025年に登場予定のSnapdragon 8 Elite Gen 2に対して性能差が開いたままであると予想されます。

ベンチマークにはこだわらない姿勢は評価されるか?

GoogleはPixel 9シリーズに搭載されているTensor G4の性能について、ベンチマーク性能を追求しない姿勢であることを明らかにしていますが、リーク資料でもユーザーは発熱低減やバッテリー持続時間などを求めていることが示されています。ただし、PixelシリーズはSnapdragon 8シリーズやDimensity 9000シリーズを搭載するスマートフォンと同等の価格帯で販売されています。そのため、Pixel 11が同価格帯のスマートフォンに対して発熱が少なく、バッテリー持続時間が伸びていても絶対的な性能が大きく劣る場合、ポジティブよりネガティブなポイントが強調されがちな市場で受け入れられるのか注目点と言えそうです。

ソース

Google Pixel 11’s Tensor G6 might be a downgrade, but could also fix some big Pixel phone flaws | Android Authority

https://www.androidauthority.com/google-tensor-g6-downgrades-3497725

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
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