12VHPWRは一世代で終了。安全性を向上させた『12V-2×6』がPCIe Gen 6に向けて準備中
12VHPWRについては2022年に発売されたGeForce RTX 4090からはじめて投入されたものの、ケーブルの挿し込み不良が起因となる発煙、溶損する問題が多発するなど幸先の悪い規格となっていますが、どうやらPCI Express規格を定める業界団体、PCI-SIGではこの12VHPWRに替わる新たな規格『12V-2×6』の策定を検討しているようです。
大きさは同じで後方互換性も有するが、下部の4pinは若干変更
この『12V-2×6』についてはATX 3.1と言う規格で実質的に12VHPWRのバージョンアップ版にはなるようですが、コネクター形状については下部に搭載されている4pin以外のレイアウトや大きさなどには変更は加えられておらず、12VHPWRとの互換性も維持されているとのことです。
この下部に搭載されている4pinについては現行の12VHPWRから変更されており、ピンの位置が現行より奥に配置されるようになり、意図せず電力供給の断絶されることや600Wまで供給される事を回避するようになっています。
4pin信号の挙動が変更へ。一部動作モードでは新しいケーブルが必要な可能性
この4pinを使って電力供給に制限を設ける機能が12VHPWRでも搭載されていましたが、12VHPWRではピン0/1が解放状態では最大150Wの電力が流れますが、12V-2×6では解放状態では電力供給は行われず、ピン0/1両方が短絡状態で150W供給と言う設定に変更がされています。なお、この150W供給に関しては設定が異なっているため新しいケーブルまたは電源ユニットが必要となります。
ケーブルの損傷を防ぐためのガイドラインも追加
12VHPWRではコネクター直後に曲げるなどケーブルに大きなストレスを掛けるとピンが不均等に接触し、結果として異常発熱などを引き起こす可能性が指摘されていました。
そのため、コネクターの直後を束ねる場合はガイドライン上一定の距離をあけてから束ねる事が示されており、これによりケーブルやコネクターにかかる負荷が高まりにくくなっています。
温度条件や試験条件も厳格化
12VHPWRにおいて消費者から懸念を持たれるような不具合が多発した事から試験の厳格化や温度条件も厳格化されるようです。例えば、ケーブルを複数回抜き差ししたり、コネクターを上下左右に20Nの負荷を加えた後に各ピンの抵抗値に変動が無いかなどの試験が追加されるようです。
また、温度条件に関する要件も高められているようで、試験としてプレコンディショニング(条件合わせ)のために92時間105℃の熱を加え、その後168時間105℃の熱に耐えられる必要があるようです。これは最近のグラフィックカードの消費電力は上がっている一方で小型化されておりVRMなど発熱部分が電源コネクターに近づく傾向にあるため厳格化が行われたと見られています。
『12V-2×6』規格は初期段階。今後さらに変更が加えられる可能性も
今回Igor’s LABでリークされている『12V-2×6』の仕様や規格については初期段階であるため、情報が漠然としている部分もあります。そのため、今後仕様に関する議論が進むにつれてさらに詳細が明らかになると見られています。
なお、この12V-2×6はPCIe Gen 6対応製品と共に登場すると見られているため、恐らく2024年に発売されるRadeon RX 8000シリーズや2025年に発売されると見られているGeForce RTX 5000シリーズなどで採用される可能性があります。もしかしたら、RTX 4000 Refreshなどに先行して搭載される可能性もありそうです。
コメント
コメント一覧 (8件)
ハァ?と思ったけど互換性は残るならまぁ…
バカほど高い電源買ったんだから頼むよ…
PCI-SIGにまともなコネクタメーカー無いんか
小さなコネクター1個で50Aなんて一目で危険だと分かるだろうに
4070の8ピン買って正解か
12ピン信用ならなかったしな
スパゲティーの束になっても従来までの通り安全な方がいいなー
GPUが電力食い過ぎなのが悪い。
そもそも要らない
それまでの8pin×3で駄目な理由が無い
去年4090のコネクタ溶ける問題が出たときから明らかに失敗規格って感じでしたしね
とにかく安心して使える規格にして欲しいです
もう4070の12VHPWRは一斉に新版になっているとか。
4070Ti以上も新基板で順次変更あるかもね。
それにしても、しっかり挿すのが難しい形状のままとは。
オープンやケース外でペットのいる環境は引き続き要注意。