2021年10月初旬頃にNVIDIAがGeForce RTX 3090 Tiを2022年1月発表に向けて準備をしているというリークの中で、電源コネクターに新たにPCI Express 5.0対応のものが搭載されるという話しがありました。そんなPCI Express 5.0対応電源コネクターについて詳細情報が出現しました。
RTX 3090 Tiで採用予定の新型電源コネクター
High Power PCIe Gen5 power connector for next-gen GPUs pictured, up to 600W – VideoCardz.com
2022年1月頃にNVIDIAでは既存のGeForce RTX 3090を強化したGeForce RTX 3090 Tiの投入が予測されており関連するリークが10月初旬に出現しました。そのリークの中で、RTX 3090 TiにはPCIe Gen 5.0から採用される新しいタイプの電源コネクターが搭載されるという話が出ていましたが、詳細はない状態でした。そんなPCIe Gen 5.0電源コネクターですが、ドイツのIgor’s LABが規格の詳細情報を入手し、公開しています。また、電機部品メーカーのAmphenol ICCがこのコネクターに対応した製品の発表を行っています。
PCI Express 5.0から投入される『12VHPWR』
PCI Express 5.0対応製品は2021年11月4日から発売されるAlder Lake-Sで初めてとなります。このPCI Express 5.0では転送速度の向上が図られますが、同時に長らく使われていた6/8pin電源コネクターでは消費電力の高いグラフィックカードなどに対応する事が出来ず新たに12VHPWRと呼ばれるPCI Express用電源コネクター規格が登場します。この12VHPWRは『12V High PoWeR』という事で12VHPWRと言う名称がつけられているようです。
PCI Expressの電源コネクターは広く普及しているのは6/8pin電源コネクターでは、6pinが最大75W、8pinが最大150Wの電源供給が行えます。一方で新しい電源コネクターである12VHPWRではPCI-SIGの規格情報によると、ピン数が電源供給用に12ピン、信号用に4ピンの合計16ピンが搭載されており、1ピンあたり最大9.2A、スペック上の供給電力は最大600Wまで対応する事が可能と見られています。
また、コネクターの形状も従来の6/8pinと比べて小型化が図られており、ピンの間隔は従来の4.2mmから3.0mmに縮小しており、コネクターの横幅は18.85mmとなっています。18.85mmは8pin電源コネクターとほぼ同じ大きさとなっていますので、自作PCやワークステーション、サーバーなどPCI Express電源を要求する環境でケーブルの取り回しが行いやすくなると見られています。
ちなみに、この12VHPWRには信号用に4ピンが用意されているため、GeForce RTX 3090 Tiがこの12VHPWRコネクターを装備する場合、グラフィックカード自体がPCI Express 5.0に対応する事となりそうです。
GeForce RTX 3090 Tiが登場する模様。Superは無く、PCIe Gen5対応
Ampheolが12VHPWR対応コネクターとケーブルを発表
今回新たに出現した12VHPWRですが、既にケーブルなどの部品を製作するAmpheol社からコネクター類に関する情報が公開されています。
Amphenol ICC introduces the Gen 5, Minitek® Pwr PCIe® connector system. This new introduction CEM 5.0 PCI Express® 12VHPWR auxiliary hybrid connector and cable assembly support the 600W GPU cards. The 12VHPWR connector is not designed to mate with legacy PCI Express® 2×3 and 2×4 12V Auxiliary Power connectors. The 12VHPWR connector power pins have a 3.00mm pitch, while the contacts in a legacy 2×3 and 2×4 connector lie on a larger 4.20mm pitch. New PCIe® Connector System (CEM5) is designed for power applications with current rating upto 9.5A/pin (12 pins energized) and the 4 signal pins supporting signal transmission.
- Rated current up to 9.5A per contact with all 12 power contacts and 4 Signal contacts
- Fully isolated terminals
- Positive locking on housing with low thumb latch operation
- Low level contact resistance: 6mΩ max.
商品説明では、600W GPUまで対応する事や、既存の6/8pin電源コネクターとの互換性が無い事などが記載されていますが、Igor’s LABが公開した以上の情報は特に記載されていませんでした。ただ、コネクターやケーブルの写真などは掲載されているため、どのような形状になるかは確認ができます。
なお、この12VHPWR電源コネクターですが、NVIDIAがRTX 3080やRTX 3090のFounders Editionなどで採用している12pin電源コネクターと形状はほぼ同一で、コネクター形状的に接続する事は出来そうですが、12VHPWRでは信号用の4pinが追加されているため、互換性はない可能性がありそうです。
ただ、互換性が無いのに繋げられるとなるとグラフィックカードの故障や最悪の場合、火災にも繋がるためNVIDIAがどのような対策を施すのかは気になる所です。単純に信号用コネクターが接続されていないと電力が供給されないという仕様が取り入れられているとも考えられますが。
Core i5-12400のベンチマーク出現。3万円以下でRyzen 5 5600X超えに?
この12VHPWRでは最大600Wまで対応という事ですので、エントリー向けからハイエンドのグラフィックスカードまでケーブル1本で対応することが可能となります。そのため、Mini-ITXなど非常に限られたスペースしかないケースではより大きな恩恵を受けられそうです。
ただし、この12VHPWRでは信号用ケーブルが搭載されるため、恐らく電源ユニットの新調は必須と言えそうです。この信号って何を送るんですかね・・・
コメント